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教師1年目

テスト休み

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「……先生、明日の数学を……」

1日目のテストが終わり、帰って寝ようと早々と荷物を片付けていたライヤはシャロンに捕まってしまった。

「数学はウィルに教えてもらってただろ?」
「あら、先生。いくら私でも前日くらいは自分の復習に充てたいですよ?」
「……確かに。元々先生の仕事だもんな。すまん」
「いえいえ、お役に立ててうれしいですから」

中々健気なことを言うウィル。

「うーん、どこでやるかなぁ」

テスト後は答案用紙が教員の家にきて、採点作業を行うため生徒を入れるなどもっての外なのだ。
とはいえ、他に落ち着いて勉強が出来るところなど心当たりがない。
図書館があるといえばあるが、基本的に一人で勉強するための場所で司書の方にも目を付けられたくない。

「……あ、なら、うちに来ませんか……?」
「なるほど?」

確かにシャロンの家なら誰に気兼ねすることもないか。




「あらー、いらっしゃい」
「なぜ王妃が……?」
「……おばさま……?」

シャロンの家に向かうと、なぜか王妃に出迎えられた。
シャロンの家はもちろん貴族なので、平民のライヤは少し煙たがられるかなと思っていたが、すんなり通してもらえた。
まぁ、ライヤもシャロンから慕われていないとは思っていないので、そんなもんかと思っていたのだが。

「あら、私の実家だもの。居ておかしいことなんてないわ」
「一般的にはそうかもしれないですけど……」

貴族は平民と違って嫁いだらその人間は嫁ぎ先の人間となる。
基本的に実家に戻ったりはしないはずだ。
王様がその辺におおらかな人物という事か。
はたまた王妃がちょっとやんちゃなのか。

「今日はどうしたの? シャロンちゃんと逢引き?」
「逢引きなんて言葉使わないでくださいよ……。テスト前なので最後の追い込みです」
「そう言えば、そんな時期ね。ウィルはどうかしら」
「確かなことは言えませんが、大丈夫だとは思いますよ」

ウィルは間違っても点数を取り落とすことはないだろう。
それよりも今はシャロンだ。

「ほら、シャロン。数学が心配なんだろ? 勉強しようぜ」
「……ぁい……」

逢引きという言葉に反応して固まっていたシャロンをどうにか使用人の案内で部屋へと連れて行く。

「さぁ、テスト勉強だ。どこからだ?」
「……えと、全体的に……」
「なるほど。じゃあ問題集から抜粋して問題を解いてから間違ったところを解説してくか」
「……はい……!」

その後、めっちゃ勉強した。




「終わったぁー!」

各級(クラス)の棟から生徒たちの歓声が響く。
今日のこの時間をもって全ての科目のテストが終了したのだ。

「終わったか……」

ティムが某ボクサーのように燃え尽きた様子で椅子にもたれかかる。
ティムも決して成績は悪くないのだが、王女の護衛として恥ずかしくないようにと無理して詰め込んでいたからな。
終わって一安心といったところか。

「あと数日しないと結果は返ってこないからな。存分に休むといい。今日はこれで終わりで、明日も休みだからな」

この学園のテストの次の日には休みの日とするのは日本の学校にも見習ってほしい。
先生は採点の時間が増えるし、生徒はテスト勉強で疲れた体を癒せる。
Winwinではないだろうか。

「さぁ、帰って採点するか」

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