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教師1年目
決闘の結果
しおりを挟む「反省の言葉を述べてください」
「もうアンが来そうなときにライヤの部屋に侵入するのはやめます」
「ちょっと! それは論点がおかしいでしょ!?」
「うるさい!」
「「はい……」」
痴女ってたフィオナさんとアンは今俺の部屋で正座で並んでいる。
一応、反省している風を装っているがすぐに罪の擦り付け合いをしている。
「まず、先輩」
「なにかしら」
「今後、俺の許可なく俺の部屋に入ることを禁じます。これを破った場合、この寮を退去することも厭いません」
「そんなぁー」
実際のところ、使い道がないのでお金には困っていないのだ。
確かにフィオナさんが作る料理は惜しいが、こんな生活が続くのは心臓に悪い。
「次に、アン」
「はい……」
「どうしてうちに来てたのは問わない。だが、ドアをぶち破るのはいただけない。もちろん弁償はしてもらうし、次にやったら報告することも辞さない」
無論、ご両親にである。
「それだけは……!」
「次からは気を付けろよ」
一応、今回はきつめに2人に言っておいたからそう簡単には破らないだろう。
というか、そうであってほしい。
「おはよー」
「「「おはようございます」―」……」
今日も今日とて挨拶は3人のみ。
手厚い歓迎に目頭が熱くなるね。
しかし、今日は見慣れない光景が。
「お、ゲイル。来たのか」
「お前が来いって言ったんだろうが……!」
なんとクソ真面目にもゲイルが席についていたのだ。
約束していたこととはいえ、「貴族は平民との約束を守る義務などない!」とか言ってバックレられると思っていたからな。
いや、来てくれたことは単純に嬉しいのだが。
なんだか複雑な気分だ。
「ふん、負けは負けだからな。とりあえずは来てやった、だが、お前の授業がくだらないと感じたらすぐにでも帰るからな」
「先生だ」
「は?」
「前までは大目に見ていたが、ここにいる立場上、俺は先生でお前は生徒だ。当然だろ?」
「……先生」
「よろしい」
よし。
「まぁ、朝礼はこんなもんだろ。めでたくゲイルが帰ってきましたと。で……」
「先生」
「なんだ、ウィル」
「昨日先生が使った魔法について説明していただけませんか?」
子供というのは正直だ。
強いもの、格好いいものを見るとそれについて聞きたい欲を抑えられない。
特に男子は。
今回の場合、ウィルは学術的な意味合いが強いようだが。
「説明するって言ってもな。特に変なことはしてないぞ」
この世界に雷の龍を作る呪文なんて存在しない。
ゲイルの家の魔法には確か「極光の火炎」とかいう名前が付いていたが、それは眩い炎を出すという魔法で、何かの形をとるものではない。
その魔法がどういった姿になるのかはその魔法の使用者の魔力制御にかかっている。
「今更だが、なぜ魔法は球の形が安定するのか、わかるか?」
これに対してはウィルもわからない様子。
天才共が……。
多分下のクラスはこれを習ってから魔法そのものに移るんだけどな。
「基本的に魔力ってのは一か所に留まらないものなんだ。あらゆる方向へ四散しようとする。これを抑えるのが俗に言う魔力制御なわけだが、まぁ単純に一点をイメージしてそこに集中するように魔力をコントロールするのが簡単なんだよ」
ある一点に出ていこうとする魔力を留める。
言葉だけだと簡単そうだが、実はそうでもない。
この魔力で構成された何か、今回は雷になるわけだがこれが1つの物質として捉えられるわけではない。
何なら、水や炎、雷などは無数の流動体としての感覚がある。
これらをコントロールしようと考えると、自分で一点を設定してそこに全てが向かうようにした方が手っ取り早いのだ。
そして、魔力制御。
これが端的に何を現すのかについてだが、結局、どれだけの魔力による物質を支配下に置けるかという話である。
この場合で言う支配とは、球の形に集めるというわけではなく、1つ1つを繊細に支配し、ひものような形に出来たら支配下にあるといえるだろう。
「それで、細部はこれをより合わせて作っているような感覚だな」
よって、俺の魔法が今回ドラゴンの形になったことに意味はない。
何なら、そこに意識を割かなければいけない分、もったいないまである。
だが、あそこは俺とゲイルの実力差を示す場であったし、貴族が含まれる保護者たちにも満足のいく結果を示さなければいけなかった。
よって、容易に難しいと想像できるドラゴン型に形作っただけなのである。
用は、見栄を張ったのだ。
「今は俺はお前たちに魔法の強弱の仕方を覚えてもらっている最中なわけだが、これが学年が上がるにつれてひもを形作るようになったり、より複雑な形を作っていくようになるわけだ」
「それは同時並行で学ぶことは出来ないのですか?」
「良い質問だ、エウレア」
「良い質問をしてくれたご褒美として試してみようか。ちょっとこっちおいで」
怪訝な顔をしながらも前に出てきてくれる。
「さあ、ひもを形作ってみてくれ」
「!? いきなりですか!?」
「大丈夫だ。暴発しても俺が守ってやるから」
躊躇したものの、俺の実力をわかっているからか、魔法の構築を始める。
「な、なんで!?」
魔法が言う事を聞かない!
どうして!?
私は小さくしようとしてるのに言う事を聞かない!
エウレアが放つ魔法は得意な雷魔法。
得意な魔法であるがゆえに、全くいう事を聞かないというのは初めての事だったのだろう。
焦って、放電しまくっている。
俺の制御範囲から出る前に打ち消してはいるが、普段の冷静さは失われている。
「落ち着け」
前にかざしている両手を包み込むようにしながら魔力の同調を始める。
「まだ慣れていないだけだ。俺が導いてやるから合わせろ。お前にならできる、な?」
コ、コクリ。
恐る恐る頷いて、俺に魔力をゆだねてくる。
結果、放電は徐々に治まり、多少大きなひものようなものが出来る。
「どうだった?」
「……怖かったです」
「そうだな。悪かった」
自らの魔力が意思に反して増長していく感覚はかなり怖いものだろう。
俺も経験したからわかる。
「見てもらったように、まず魔力を小さく制御できないとより複雑に制御することは出来ないんだ。無理にしようとすれば、魔力が支配下を離れて暴走してしまう」
俺はこれで大怪我しかけたからな。
下手に手を出すより目の前で見せたほうが効果があるだろうと思ったのだ。
「まぁ、まだ1年だから気にしなくていいぞ。とりあえずは力を小さく制御することからだっていうのはわかってもらえたかな」
「もうアンが来そうなときにライヤの部屋に侵入するのはやめます」
「ちょっと! それは論点がおかしいでしょ!?」
「うるさい!」
「「はい……」」
痴女ってたフィオナさんとアンは今俺の部屋で正座で並んでいる。
一応、反省している風を装っているがすぐに罪の擦り付け合いをしている。
「まず、先輩」
「なにかしら」
「今後、俺の許可なく俺の部屋に入ることを禁じます。これを破った場合、この寮を退去することも厭いません」
「そんなぁー」
実際のところ、使い道がないのでお金には困っていないのだ。
確かにフィオナさんが作る料理は惜しいが、こんな生活が続くのは心臓に悪い。
「次に、アン」
「はい……」
「どうしてうちに来てたのは問わない。だが、ドアをぶち破るのはいただけない。もちろん弁償はしてもらうし、次にやったら報告することも辞さない」
無論、ご両親にである。
「それだけは……!」
「次からは気を付けろよ」
一応、今回はきつめに2人に言っておいたからそう簡単には破らないだろう。
というか、そうであってほしい。
「おはよー」
「「「おはようございます」―」……」
今日も今日とて挨拶は3人のみ。
手厚い歓迎に目頭が熱くなるね。
しかし、今日は見慣れない光景が。
「お、ゲイル。来たのか」
「お前が来いって言ったんだろうが……!」
なんとクソ真面目にもゲイルが席についていたのだ。
約束していたこととはいえ、「貴族は平民との約束を守る義務などない!」とか言ってバックレられると思っていたからな。
いや、来てくれたことは単純に嬉しいのだが。
なんだか複雑な気分だ。
「ふん、負けは負けだからな。とりあえずは来てやった、だが、お前の授業がくだらないと感じたらすぐにでも帰るからな」
「先生だ」
「は?」
「前までは大目に見ていたが、ここにいる立場上、俺は先生でお前は生徒だ。当然だろ?」
「……先生」
「よろしい」
よし。
「まぁ、朝礼はこんなもんだろ。めでたくゲイルが帰ってきましたと。で……」
「先生」
「なんだ、ウィル」
「昨日先生が使った魔法について説明していただけませんか?」
子供というのは正直だ。
強いもの、格好いいものを見るとそれについて聞きたい欲を抑えられない。
特に男子は。
今回の場合、ウィルは学術的な意味合いが強いようだが。
「説明するって言ってもな。特に変なことはしてないぞ」
この世界に雷の龍を作る呪文なんて存在しない。
ゲイルの家の魔法には確か「極光の火炎」とかいう名前が付いていたが、それは眩い炎を出すという魔法で、何かの形をとるものではない。
その魔法がどういった姿になるのかはその魔法の使用者の魔力制御にかかっている。
「今更だが、なぜ魔法は球の形が安定するのか、わかるか?」
これに対してはウィルもわからない様子。
天才共が……。
多分下のクラスはこれを習ってから魔法そのものに移るんだけどな。
「基本的に魔力ってのは一か所に留まらないものなんだ。あらゆる方向へ四散しようとする。これを抑えるのが俗に言う魔力制御なわけだが、まぁ単純に一点をイメージしてそこに集中するように魔力をコントロールするのが簡単なんだよ」
ある一点に出ていこうとする魔力を留める。
言葉だけだと簡単そうだが、実はそうでもない。
この魔力で構成された何か、今回は雷になるわけだがこれが1つの物質として捉えられるわけではない。
何なら、水や炎、雷などは無数の流動体としての感覚がある。
これらをコントロールしようと考えると、自分で一点を設定してそこに全てが向かうようにした方が手っ取り早いのだ。
そして、魔力制御。
これが端的に何を現すのかについてだが、結局、どれだけの魔力による物質を支配下に置けるかという話である。
この場合で言う支配とは、球の形に集めるというわけではなく、1つ1つを繊細に支配し、ひものような形に出来たら支配下にあるといえるだろう。
「それで、細部はこれをより合わせて作っているような感覚だな」
よって、俺の魔法が今回ドラゴンの形になったことに意味はない。
何なら、そこに意識を割かなければいけない分、もったいないまである。
だが、あそこは俺とゲイルの実力差を示す場であったし、貴族が含まれる保護者たちにも満足のいく結果を示さなければいけなかった。
よって、容易に難しいと想像できるドラゴン型に形作っただけなのである。
用は、見栄を張ったのだ。
「今は俺はお前たちに魔法の強弱の仕方を覚えてもらっている最中なわけだが、これが学年が上がるにつれてひもを形作るようになったり、より複雑な形を作っていくようになるわけだ」
「それは同時並行で学ぶことは出来ないのですか?」
「良い質問だ、エウレア」
「良い質問をしてくれたご褒美として試してみようか。ちょっとこっちおいで」
怪訝な顔をしながらも前に出てきてくれる。
「さあ、ひもを形作ってみてくれ」
「!? いきなりですか!?」
「大丈夫だ。暴発しても俺が守ってやるから」
躊躇したものの、俺の実力をわかっているからか、魔法の構築を始める。
「な、なんで!?」
魔法が言う事を聞かない!
どうして!?
私は小さくしようとしてるのに言う事を聞かない!
エウレアが放つ魔法は得意な雷魔法。
得意な魔法であるがゆえに、全くいう事を聞かないというのは初めての事だったのだろう。
焦って、放電しまくっている。
俺の制御範囲から出る前に打ち消してはいるが、普段の冷静さは失われている。
「落ち着け」
前にかざしている両手を包み込むようにしながら魔力の同調を始める。
「まだ慣れていないだけだ。俺が導いてやるから合わせろ。お前にならできる、な?」
コ、コクリ。
恐る恐る頷いて、俺に魔力をゆだねてくる。
結果、放電は徐々に治まり、多少大きなひものようなものが出来る。
「どうだった?」
「……怖かったです」
「そうだな。悪かった」
自らの魔力が意思に反して増長していく感覚はかなり怖いものだろう。
俺も経験したからわかる。
「見てもらったように、まず魔力を小さく制御できないとより複雑に制御することは出来ないんだ。無理にしようとすれば、魔力が支配下を離れて暴走してしまう」
俺はこれで大怪我しかけたからな。
下手に手を出すより目の前で見せたほうが効果があるだろうと思ったのだ。
「まぁ、まだ1年だから気にしなくていいぞ。とりあえずは力を小さく制御することからだっていうのはわかってもらえたかな」
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