上 下
13 / 22
時代の始まり

12話

しおりを挟む
「やっぱりユウト様を騙そうなんて無理でしたか……」
「これに懲りたらもうするなよ。まさか他にも仕込んでるなんてことないよな?」

一応確認を取るが、

「は、はい。たぶんもうしてなかったはず……!」

どうせ覚えてないだけでまだあるんだろうな。


「シルエラ様、先ほどからユウトのことを敬称付けで呼んでおりますが、それと今回の結果に関係が……?」

いち早く放心から解けた村長が聞く。
関係も何も……。

「私が《時渡タイム・リープ》をする前の時代、私には師匠であり、パーティーメンバーである人がいました」
「存じております。---様でしょう」
「そうです。ユウト様はーーー様の転生したお姿なのです」
「は?」
「いやいや、いくらシルエラ様でもそれは冗談でしょう……」

騒ぎかけたみんながすぐにシルの真剣な顔を見て黙る。
俺から説得できなかったらお仕置きだと宣告されているので今回のシルはマジだ。
文字通り命がけのような心意気で臨んでるからな。

「は! ありえねーだろ! こいつ俺が何してもやり返してこねーんだぞ!」

村長の長男が騒ぎ出した。
いや、俺が事実を明かした今、一人息子か。

「見とけよ!」

そういってこちらに殴りかかってくる。
脅威にならないから放っておいただけなんだけどな。
俺の本気を知ってるシルはその様子を見て本気で青ざめてるし。
世界がこれから終わるみたいな顔してるぞ。

「失敬な」

そう言いながら俺は長男をひょいと避ける。

「そこまで俺も大人げなくないぞ」
「いや、ユウト様今子供ですから」

確かに。


「じゃあ容赦しなくていいな」
「あ、それはちょっとどうかと……」

シルが言い終わる前にめげずに殴りかかってきた少年(14)の額をちょいと押す。

ガシャーーーーン!!!

家の壁を突き破って飛んでいく。

「大丈夫。防護壁は張ってたから命に別状はない。派手に見えておそらく怪我もしてない。壁も直すから」

絶句しているみんなに説明しながら《無限創造》で家の壁を想像し、修復する。

「いや、そういうことじゃないと思いますよ?」

シルがためらいがちに言ってくるが、

「なんでだ? 殴りかかってきたのは向こうだし、損害はゼロだぞ?」
「いえ、そうですね。(説明しようとした)私が間違っていました……」

そうだろ?


「こんな感じでいろいろめちゃくちゃなので気を付けてください」

また失敬な。

「いえ、今思えば片鱗はそこかしこにあったような……」

む、あったか?
うまく隠してたつもりだったけどな。

「しかし、---様と言うなら話が早くなる。お願いしますーーー様! どうかキィラを救ってください!」

ふむ。

「間違えるな。。そしてキィラは大切な幼馴染。助けるなと言われても助ける」

一同がほっとしたような表情になる。


そうと決まれば……。

「ランドール」
「ここに」
「何名集まった」
「申し訳ありません。未だ10名程です……」
「十分だ」

ランドールに《思念》で昔の魔族を集めるように指示していたのだ。

「どうせだ。派手に行こう」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま
ファンタジー
 かつて、『神界』と呼ばれる世界では『女神ハーティルティア』率いる『神族』と『邪神デスティウルス』が率いる『邪神』との間で、永きに渡る戦いが繰り広げられていた。  その永い時の中で『神気』を取り込んで力を増大させた『邪神デスティウルス』は『神界』全てを呑み込もうとした。  それを阻止する為に、『女神ハーティルティア』は配下の『神族』と共に自らの『存在』を犠牲にすることによって、全ての『邪神』を滅ぼして『神界』を新たな世界へと生まれ変わらせた。  それから数千年後、『女神』は新たな世界で『ハーティ』という名の侯爵令嬢として偶然転生を果たした。  生まれた時から『魔導』の才能が全く無かった『ハーティ』は、とある事件をきっかけに『女神』の記憶を取り戻し、人智を超えた力を手に入れることになる。  そして、自分と同じく『邪神』が復活している事を知った『ハーティ』は、諸悪の根源である『邪神デスティウルス』復活の阻止と『邪神』討伐の為に、冒険者として世界を巡る旅へと出発する。  世界中で新しい世界を創造した『女神ハーティルティア』が崇拝される中、普通の人間として平穏に暮らしたい『ハーティ』は、その力を隠しながら旅を続けていたが、行く先々で仲間を得ながら『邪神』を討伐していく『ハーティ』は、やがて世界中の人々に愛されながら『女神』として崇められていく。  果たして、『ハーティ』は自分の創造した世界を救って『普通の女の子』として平穏に暮らしていくことが出来るのか。  これは、一人の少女が『女神』の力を隠しながら世界を救う冒険の物語。  

休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使う事でスキルを強化、更に新スキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった… それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく… ※小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。

あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio
ファンタジー
 なんやかんや、無理矢理あいつに異世界へと連れていかれました。  こうなったら仕方ない。とにかく、平和に楽しく暮らしていこう。  なぜ、少女は異世界へと連れてこられたのか。  自分の中に眠る力とは何なのか。  その答えを知った時少女は、ある決断をする。 長い間更新をさぼってしまってすいませんでした!

最弱国の転生魔王の異世界統一 

ねいばー
ファンタジー
ベタなオチにも程があると言いたいが、俺は冬に車に轢かれて死んだ。 そしてなんでも願いを叶えると言う約束の下、異世界を統一する為に、俺は一国の魔王に転生する。 しかし、俺が転生した国は滅亡1週間前で…⁈ 俺は本当に異世界統一なんて出来るのか⁈ 最弱国からスタートの魔王はどんな世界を作り上げるのか… 500〜1000文字程度で投稿します。 勉強、仕事の合間や長編小説の箸休めとして美味しくいただいてください。 オワリ ト サイセイ ここはオワリの場所 サイセイの場所はマダナイ

次元魔法の物語~王子転生したけど暗殺されそうになったので国作りした~

サイトウハジメ
ファンタジー
 十七歳の俺はミルド国の第五王子に転生する。これでラノベみたいな幸せな人生が始まるのかと思ったが、母親の王妃に舌打ちされ、父親の王様は育児放棄。赤ん坊なのに暗殺されそうになったりと、うん、なかなかのハードモード。  こんな国なんてもう嫌だ。  早々に見切りをつけて、女性用下着やエロ本の販売で儲けたお金を使って国を作ってやる!  アルバート王子は『身体は丈夫、健康なら良い。精一杯生きよう!』という信念で、学園生活や国造りを力一杯楽しむ物語です。  ハーレム要素、知識無双は少な目です。魔法のご都合主義、コメディ要素は多めの予定です。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔
ファンタジー
 対向車線からトラックが飛び出してきた。  特に恐怖を感じることも無く、死んだなと。  想像したものを具現化できたら、もっと生産性があがるのにな。あと、女の子でも作って童貞捨てたい。いや。それは流石に生の女の子がいいか。我ながら少しサイコ臭して怖いこと言ったな――。  手から何でも出せるスキルで国を造ったり、無双したりなどの、異世界転生のありがちファンタジー作品です。  王国? 人外の軍勢? 魔王? なんでも来いよ! 力でねじ伏せてやるっ!  感想やお気に入り、しおり等々頂けると幸甚です!    モチベーション上がりますので是非よろしくお願い致します♪  また、本作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨムで公開している作品となります。  小説家になろうの閲覧数は170万。  エブリスタの閲覧数は240万。また、毎日トレンドランキング、ファンタジーランキング30位以内に入っております!  カクヨムの閲覧数は45万。  日頃から読んでくださる方に感謝です!

処理中です...