あーきてくっちゃ!

七々扇七緒

文字の大きさ
上 下
12 / 19
☆5話:GWは現場へGO!!

5-1

しおりを挟む
「わぁ~っ!! 見て見てっ、スカイツリー大きいねぇ!? さっぽろテレビ塔の何倍の大きさなんだろうね?」と、目をキラキラ輝かせているうらら。
 
 東京都墨田区に広がる青空に、飛行機雲が伸びているかのように真っすぐに伸びた白いタワー。東京を代表するランドマークとなっている東京スカイツリーは、ドバイの『ブルジュ・ハリファ』、マレーシアの『ムルデカ118』に次ぐ世界第3位の高さを誇る建築物だ。東京スカイツリーの足元に立ち、空を仰ぎ見ているうらら、海巳、セリナ、志帆。うららの問いに、セリナと海巳が答える。
 
「たしか、スカイツリーの高さって634(ムサシ)メートルなんですよね。さっぽろテレビ塔って何メートルでしたっけ?」
 
「さっぽろテレビ塔は147.2メートルだよ。昔、課外授業でテレビ塔行ったとき『いよ(14)!夏(72)が来たねぇ~』で高さ覚えよーって思ってさ。未だちゃーんと覚えてた」
 
 
《――若干オッサンくさい覚え方だけど、確かに覚えやすいっっっ!!!!!》
 
 
 志帆が空中で、計算式を書くように指を動かしている。ガリ〇オシリーズの某教授を彷彿させる姿を見た3人の脳裏には、某教授が推理しているときのテーマソングが流れていた。何度も空中で文字を書いては消し、頭をブンブンッと振って、書いては消す。最終的には、携帯電話の電卓機能で「634÷147.2」と打ち込み始めた。そして、3人に視線を向けた志帆は、真っ赤に染めた顔で自信満々に言い放った。
 
 
でしたぁ~」
 
 
《―― テレビ塔がブルジュ・ハリファ越えたーーーっっ!!! しほぉん、答え、逆っっっ!!!!》
 
 
 4人の笑い声、そして子供たちの笑い声で溢れているゴールデンウィーク初日。なぜ4人が東京スカイツリーのふもとにいるのか、その経緯は1週間前の放課後まで遡ることになる。
 
 

 
「みなさん! ゴールデンウィークにもしよろしければ、現場見学に行きませんか?」
 
 アップルティーを口に含んだセリナは、レモンケーキに舌鼓を打っている3人に視線を送った。レモンケーキはもちろん、志帆が週末に試作してみたという逸品だ。
 
「もっちろん行きたい~!! ミーちゃんとしほぉんは、ゴールデンウィーク予定ある? うち、今年は父ちゃんがゴールデンウィークも仕事っぽくて、どこにも連れて行ってもらえなさそうなんだよねぇ~」
 
「私も今のところ前半は大丈夫。後半は東京のイトコが札幌来るから、ゲーム対決と花見行く約束してるんだけどねー」
 
「私も前半はOKだよ~。後半は家族で、函館の湯の川温泉行くことになってるんだぁ」
 
 3人の返答を聞いて、両手をパチンッと鳴らしたセリナ。
 
「それならみなさんで! 東京でウチのグループが建設している、ビルやマンションの現場を見に行きませんか? もちろん『ご招待』という形なので、白石グループが全ておもてなしいたします!」
 
 
《――O・MO・TE・NA・SHI……おもてなしーーーーっっっ!!!!》

ブルジュ・ハリファ

ムルデカ118
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

黒蜜先生のヤバい秘密

月狂 紫乃/月狂 四郎
ライト文芸
 高校生の須藤語(すとう かたる)がいるクラスで、新任の教師が担当に就いた。新しい担任の名前は黒蜜凛(くろみつ りん)。アイドル並みの美貌を持つ彼女は、あっという間にクラスの人気者となる。  須藤はそんな黒蜜先生に小説を書いていることがバレてしまう。リアルの世界でファン第1号となった黒蜜先生。須藤は先生でありファンでもある彼女と、小説を介して良い関係を築きつつあった。  だが、その裏側で黒蜜先生の人気をよく思わない女子たちが、陰湿な嫌がらせをやりはじめる。解決策を模索する過程で、須藤は黒蜜先生のヤバい過去を知ることになる……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

re-move

hana4
ライト文芸
 薄暗くしてある個室は、壁紙や床、リクライニングソファーまで、全てブラウンに統一してある。  スイート・マジョラムをブレンドしたアロマが燻り、ほんのりと甘い香りに 極小さい音量で流れるヒーリング音楽、滞在しているだけで寝てしまいそうな空間。  リクライニングソファーに横たわる彼に、至極丁寧にタオルが掛けられた。  一つ大きく深呼吸をしてから、タオル越しの額に両手を重ね じんわりと自分の体温を伝える。ゆったりとしたリズムにのせて、彼の感触を指先で捉える……  すると、お互いの体温は融け合いはじめ、呼吸までもが重なり──  やがてその波は徐々に緩急を失くしてゆき、穏やかで抑揚のない寝息へとかわった。  目を閉じると、初めて“みる”ストーリーが、走馬燈のように流れ始める…… *  橘(たちばな)あかりはドライヘッドスパサロン『re-move』 で、セラピストとして働いている。  頭を揉み解す事で疲労を回復させながら、お客様を究極の癒しへと誘うドライヘッドスパ。  この仕事が大好きなあかりだったが、彼女には誰にも話していない能力がある。  マッサージを施しているあいだ、彼女には『お客様の過去』が走馬灯のようにみえている。  そして、その人の後悔があまりにも強い場合には……  その『過去』へと、憑依することができた。  その日のお客様は、スタイリッシュなサラリーマン【武田慎吾様】  武田様の『過去』に憑依したあかりは、その日を彼と共にやり直そうとして……  ──疲労と後悔を癒すドライヘッドスパサロン『re-move』 へようこそ。

サイケデリック!ブルース!オルタナティブ!パンク!!

大西啓太
ライト文芸
日常生活全般の中で自然と生み出された詩集。

行くゼ! 音弧野高校声優部

涼紀龍太朗
ライト文芸
 流介と太一の通う私立音弧野高校は勝利と男気を志向するという、時代を三周程遅れたマッチョな男子校。  そんな音弧野高で声優部を作ろうとする流介だったが、基本的にはスポーツ以外の部活は認められていない。しかし流介は、校長に声優部発足を直談判した!  同じ一年生にしてフィギュアスケートの国民的スター・氷堂を巻き込みつつ、果たして太一と流介は声優部を作ることができるのか否か?!

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

処理中です...