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冒険者編
冒険者編16 真の恐怖
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「ゴブリンの眷属王、ゴブリンすべてを統治する王。俺がここにいる理由までは言う必要がないから言わない。ただし、坊主が調査してたゴブリンの上位種だが、俺の影響だろうな。俺の目的のために無知性の上位種を適当に放したんだ。」
嘘だろ?眷属王なんて聞いたこともないぞ。
この実力、……それに冥途の土産ってことは俺を殺すつもりだろうな。
それに、
あの事件も上位種のゴブリンによって死んだ人たちも全部全部こいつのせいってわけだ。
「どうやら、…最悪な奴と出会っちまったらしいな。」
「そういうことだ。坊主、楽に死にたいなら一瞬で殺してやるが、
……はっ!そんな目を向けてくるってことはそんなつもりはないよな。」
「当たり前だ。ただ、俺じゃおまえに敵いそうにないってことは分かった。」
「それなら、どうする?勝てない相手にとりあえず挑むってのア、さすがにねえよな。」
「あぁ、その通りだ。」
さっきまでぐっすり寝てたんだ。しっかりしてくれよ。
「行け!ラズ!」
俺の呼び声と共にくるくる回転しながら無駄にエフェクトをつけて華麗に登場したラズ。
「はいはーい!主の精霊、ラズでーす!さっきまで寝てたから、魔力の備蓄はばっちりだぜ!」
眷属王を前にしても、このラズの性格はどうやら変わらないらしい。
「お!そいつが坊主の秘策か。いいねぇ、強いってのはよくわかる。」
「ほんとに主はこういうことによく巻き込まれるよね。不運だねぇ。」
「お前がいるのが幸運だよ。
……さて、見せてくれ。お前の本気を!」
「了解だよ、主!」
その瞬間、戦闘は始まる。
その戦闘はこれまでのラズの戦いとは少し違っていた。
と、言ってもこれまでラズが戦ってるところを見た回数が少ないというのもあるが、その戦闘でラズが無双するということはなかった。
ラズの魔術をドグは、避けたり棍棒で弾いたりしている。
一瞬で終わる戦闘ではない。というのは見て取れた。
「はっ!ヴァンパイアの眷属王の野郎、嘘つきやがったな。
めちゃくちゃおもしれえ奴がいるじゃねえか。」
「私も久しぶりに実力者と戦った気がするよ。ゴブリンの眷属王とやら。」
この二人には余裕があるらしいが、全く動いていない俺だけには余裕がなかった。
そりゃそうだ。もしその中に俺が入っていたら、一秒も体が持たない。洞窟の中がどんどん荒れていく。全部ラズの魔術のせいだが。
攻撃は一方的なものだ。一発でも当たれば吹き飛びそうな魔術をバンバン打つラズ。それに対して、ドグは避けたり、弾いたりするだけだ。優勢なのはラズ。できればこのまま押し切ってくれ。
十分ぐらいその攻防が続いただろうか。すると突然、ラズの攻撃は止まった。
「?どうしたんだ、ラズ?」
俺がそういうと、ラズはにっこりとした笑顔でこちらに振り向いた。
「……魔・力・切・れ♡」
「……はぁ?さ、さっきまでバコバコ馬鹿威力の魔術使ってたじゃねえか。魔力に余裕があったから使ってたんじゃねえのかよ?!」
「え~、でもしょうがないじゃん。あの筋肉野郎に攻撃させたら一瞬で死んじゃうんだよね。だから、攻撃させる暇がないくらい攻撃しないといけなかったんだよぉ。」
そういうと、さっきまでのおちゃらけなた笑顔から一転して、
「だから、ごめんね主。ほんとに死んじゃうかも。……お願い、生きて。」
ラズは俺の目の前から消えた。
この洞窟の中にいるのは、余裕の表情を浮かべこちらを見ているドグと、さっきまでラズがいた虚空を眺める俺だけだった。
嘘だろ?眷属王なんて聞いたこともないぞ。
この実力、……それに冥途の土産ってことは俺を殺すつもりだろうな。
それに、
あの事件も上位種のゴブリンによって死んだ人たちも全部全部こいつのせいってわけだ。
「どうやら、…最悪な奴と出会っちまったらしいな。」
「そういうことだ。坊主、楽に死にたいなら一瞬で殺してやるが、
……はっ!そんな目を向けてくるってことはそんなつもりはないよな。」
「当たり前だ。ただ、俺じゃおまえに敵いそうにないってことは分かった。」
「それなら、どうする?勝てない相手にとりあえず挑むってのア、さすがにねえよな。」
「あぁ、その通りだ。」
さっきまでぐっすり寝てたんだ。しっかりしてくれよ。
「行け!ラズ!」
俺の呼び声と共にくるくる回転しながら無駄にエフェクトをつけて華麗に登場したラズ。
「はいはーい!主の精霊、ラズでーす!さっきまで寝てたから、魔力の備蓄はばっちりだぜ!」
眷属王を前にしても、このラズの性格はどうやら変わらないらしい。
「お!そいつが坊主の秘策か。いいねぇ、強いってのはよくわかる。」
「ほんとに主はこういうことによく巻き込まれるよね。不運だねぇ。」
「お前がいるのが幸運だよ。
……さて、見せてくれ。お前の本気を!」
「了解だよ、主!」
その瞬間、戦闘は始まる。
その戦闘はこれまでのラズの戦いとは少し違っていた。
と、言ってもこれまでラズが戦ってるところを見た回数が少ないというのもあるが、その戦闘でラズが無双するということはなかった。
ラズの魔術をドグは、避けたり棍棒で弾いたりしている。
一瞬で終わる戦闘ではない。というのは見て取れた。
「はっ!ヴァンパイアの眷属王の野郎、嘘つきやがったな。
めちゃくちゃおもしれえ奴がいるじゃねえか。」
「私も久しぶりに実力者と戦った気がするよ。ゴブリンの眷属王とやら。」
この二人には余裕があるらしいが、全く動いていない俺だけには余裕がなかった。
そりゃそうだ。もしその中に俺が入っていたら、一秒も体が持たない。洞窟の中がどんどん荒れていく。全部ラズの魔術のせいだが。
攻撃は一方的なものだ。一発でも当たれば吹き飛びそうな魔術をバンバン打つラズ。それに対して、ドグは避けたり、弾いたりするだけだ。優勢なのはラズ。できればこのまま押し切ってくれ。
十分ぐらいその攻防が続いただろうか。すると突然、ラズの攻撃は止まった。
「?どうしたんだ、ラズ?」
俺がそういうと、ラズはにっこりとした笑顔でこちらに振り向いた。
「……魔・力・切・れ♡」
「……はぁ?さ、さっきまでバコバコ馬鹿威力の魔術使ってたじゃねえか。魔力に余裕があったから使ってたんじゃねえのかよ?!」
「え~、でもしょうがないじゃん。あの筋肉野郎に攻撃させたら一瞬で死んじゃうんだよね。だから、攻撃させる暇がないくらい攻撃しないといけなかったんだよぉ。」
そういうと、さっきまでのおちゃらけなた笑顔から一転して、
「だから、ごめんね主。ほんとに死んじゃうかも。……お願い、生きて。」
ラズは俺の目の前から消えた。
この洞窟の中にいるのは、余裕の表情を浮かべこちらを見ているドグと、さっきまでラズがいた虚空を眺める俺だけだった。
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