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第一章
ギルド?
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「なんだったんだあの人……」
役所を出て小走りでバス停まで来たみいは、先ほどの人物を思い出し顔をしかめる。
役所の職員だったようだが、食いぎみに来られて思わず逃げてしまった。
でも確か、魔女ではないかと聞かれていたな……
「むーん……。と、とりあえず帰ろう」
また追いかけてこられても困るので、みいはやって来たミニバスに飛び乗りアパートを目指した。
「……はなしくらい聞いといた方が良かったのかな。何か悪いことしたかな」
揺れるバスの中で、少し申し訳ない気持ちが持ち上がってきていたみいは、帰る際に手渡されたチラシを眺めてみる。
「えーと……『来たれギルド科へ!来たれ未来の勇者諸君!クエストを達成し、名誉と報酬を手に入れよう!
※ギルド科は多種多様なクエストを取り揃えてございます。どんな種類のジョブカードをお持ちの方でもお気軽にお越し下さいませ。』……ふーん」
ギルド……そう言えば高校の進路相談の時にチラリと聞いた覚えがあったが、まさか役所の中に入っているとは知らなかった。
みいは普通に地元の会社に就職したが、はたして今の時代にギルドで生計をたてる人間などいるのだろうか。
そうこうするうちに、ミニバスはアパート付近にやって来た。
「着いたぁ」
本日の大仕事は終了。また、みいの穏やかな日常に戻るのだ。
「……うん、帰ろう」
手にしたチラシを鞄にしまい、みいはゆっくりと歩きだした。
*****
「へぇー、そんなことがあったんだぁ」
その日の夜、書類を手渡しながら役所での出来事を話していた。
「うん、いきなりだったからびっくりしちゃったよ」
「きっと必死だったんだろうねぇ。で、みいちゃんはどうするの?」
「え?」
「ギルドってやつ。行ってみるの?チラシを見る限りだとジョブカードを持ってる人なら誰でもオーケーって書いてあるから、僕はその資格無みたいだけど、みいちゃんは大丈夫そうだもんね」
「うーん。行った方がいいのかなぁ」
「いや、みいちゃんが嫌なら行くことないと思うけど、これって要は職安みたいなものなんでしょ?」
「職安?」
「あれ、違うの?マジカルな職安みたいなものかと思ってた」
「職……安……かぁ」
「ジョブカードの人限定の職安なんて、なんかレア感あるよねぇ」
「そ、そうだね」
ギルドの名だとピンとこないが、職安と言われると何だがぐっと身近に感じる。
「まあ、気が向いた時にでも調べてみるのもいいかもね」
「うん」
みいは頷くと、ギルド科のチラシを大事に引き出しにしまった。
彼女がギルド科の扉を叩くのは、まだもう少し先のおはなし。
役所を出て小走りでバス停まで来たみいは、先ほどの人物を思い出し顔をしかめる。
役所の職員だったようだが、食いぎみに来られて思わず逃げてしまった。
でも確か、魔女ではないかと聞かれていたな……
「むーん……。と、とりあえず帰ろう」
また追いかけてこられても困るので、みいはやって来たミニバスに飛び乗りアパートを目指した。
「……はなしくらい聞いといた方が良かったのかな。何か悪いことしたかな」
揺れるバスの中で、少し申し訳ない気持ちが持ち上がってきていたみいは、帰る際に手渡されたチラシを眺めてみる。
「えーと……『来たれギルド科へ!来たれ未来の勇者諸君!クエストを達成し、名誉と報酬を手に入れよう!
※ギルド科は多種多様なクエストを取り揃えてございます。どんな種類のジョブカードをお持ちの方でもお気軽にお越し下さいませ。』……ふーん」
ギルド……そう言えば高校の進路相談の時にチラリと聞いた覚えがあったが、まさか役所の中に入っているとは知らなかった。
みいは普通に地元の会社に就職したが、はたして今の時代にギルドで生計をたてる人間などいるのだろうか。
そうこうするうちに、ミニバスはアパート付近にやって来た。
「着いたぁ」
本日の大仕事は終了。また、みいの穏やかな日常に戻るのだ。
「……うん、帰ろう」
手にしたチラシを鞄にしまい、みいはゆっくりと歩きだした。
*****
「へぇー、そんなことがあったんだぁ」
その日の夜、書類を手渡しながら役所での出来事を話していた。
「うん、いきなりだったからびっくりしちゃったよ」
「きっと必死だったんだろうねぇ。で、みいちゃんはどうするの?」
「え?」
「ギルドってやつ。行ってみるの?チラシを見る限りだとジョブカードを持ってる人なら誰でもオーケーって書いてあるから、僕はその資格無みたいだけど、みいちゃんは大丈夫そうだもんね」
「うーん。行った方がいいのかなぁ」
「いや、みいちゃんが嫌なら行くことないと思うけど、これって要は職安みたいなものなんでしょ?」
「職安?」
「あれ、違うの?マジカルな職安みたいなものかと思ってた」
「職……安……かぁ」
「ジョブカードの人限定の職安なんて、なんかレア感あるよねぇ」
「そ、そうだね」
ギルドの名だとピンとこないが、職安と言われると何だがぐっと身近に感じる。
「まあ、気が向いた時にでも調べてみるのもいいかもね」
「うん」
みいは頷くと、ギルド科のチラシを大事に引き出しにしまった。
彼女がギルド科の扉を叩くのは、まだもう少し先のおはなし。
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