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【クレハンの涙】第二章
121話
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腹の痛みにすっかり静かになったラビは、今度こそ大人しくフェグの診察をうけた。
「……よし」
「……フェグ?」
「診察結果を言う」
「っ……はいっ」
「食い過ぎだ」
「……はい?」
「くーいーすーぎーっ」
「くっ」
「ラビ、お前……昨日最後に買った食料はどうした?」
「ぐ……」
「私が寝ている間に……食ったな?」
「だって……」
「……」
「だってお腹空いちゃったんだもんっ!」
「アホかーっ。祭りの時にあれだけ食っておいて何が『空いちゃったんだもんっ』だ!お前は一体どれだけ食えば気がすむのだっ!そんっな口卑しいまねをするから、具合が悪くなるのだぞっ!」
「どうせ卑しんぼだもん……育ち悪いもーんっ。うっうっうっ」
「えぇーい、泣くな泣くなっ!まっったく、少し待っていろっ」
文句を言いつつも、フェグは懐からピブーチカの薬草を取り出すと、細かく刻んでカップに入れる。
そこへ熱いお湯を入れかき混ぜると、カップの中から嫌ーな臭いが漂ってくる。
「くっさー」
「やかましい、さぁ飲め」
「え、えーと」
「無理矢理飲ませてもいいんだぞ?」
「……飲みます」
ラビは咳き込みながらもカップの中身を飲み干した。
思わずゲップが出た。
「下品な奴め……まぁいい。ラビよ、私は外出して来るから大人しく寝ていろよ」
「……どこ行くの?」
「薬を調達してくる。食い過ぎの腹に効くな」
「え?じゃあ今飲んだのは?」
「気休めだよ。多少は痛みが治まるだろうが、もっときちんとした薬を飲んで治していかないとな」
「……うん」
「金を持って行くぞ。それとも腹巻きは取っておけよ、締め付けられて余計苦しくなるだろうからな」
「うん……あの……フェグ?」
「うん?」
「……………………ありがと」
ラビの言葉を聞いたフェグは、薄く笑うとそっと部屋を出て行った。
「……よし」
「……フェグ?」
「診察結果を言う」
「っ……はいっ」
「食い過ぎだ」
「……はい?」
「くーいーすーぎーっ」
「くっ」
「ラビ、お前……昨日最後に買った食料はどうした?」
「ぐ……」
「私が寝ている間に……食ったな?」
「だって……」
「……」
「だってお腹空いちゃったんだもんっ!」
「アホかーっ。祭りの時にあれだけ食っておいて何が『空いちゃったんだもんっ』だ!お前は一体どれだけ食えば気がすむのだっ!そんっな口卑しいまねをするから、具合が悪くなるのだぞっ!」
「どうせ卑しんぼだもん……育ち悪いもーんっ。うっうっうっ」
「えぇーい、泣くな泣くなっ!まっったく、少し待っていろっ」
文句を言いつつも、フェグは懐からピブーチカの薬草を取り出すと、細かく刻んでカップに入れる。
そこへ熱いお湯を入れかき混ぜると、カップの中から嫌ーな臭いが漂ってくる。
「くっさー」
「やかましい、さぁ飲め」
「え、えーと」
「無理矢理飲ませてもいいんだぞ?」
「……飲みます」
ラビは咳き込みながらもカップの中身を飲み干した。
思わずゲップが出た。
「下品な奴め……まぁいい。ラビよ、私は外出して来るから大人しく寝ていろよ」
「……どこ行くの?」
「薬を調達してくる。食い過ぎの腹に効くな」
「え?じゃあ今飲んだのは?」
「気休めだよ。多少は痛みが治まるだろうが、もっときちんとした薬を飲んで治していかないとな」
「……うん」
「金を持って行くぞ。それとも腹巻きは取っておけよ、締め付けられて余計苦しくなるだろうからな」
「うん……あの……フェグ?」
「うん?」
「……………………ありがと」
ラビの言葉を聞いたフェグは、薄く笑うとそっと部屋を出て行った。
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