クレハンの涙

藤枝ゆみ太

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【クレハンの涙】第二章

119話

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「うーん、今日はほんっと楽しかったーっ」

「そうだなっ。祭りなんて生まれて初めてだったのだが、結構楽しめたぞ」

「でしょーっ?そうでしょーっ?たまには息抜きしなくっちゃねっ」

「うむ。明日にはカムール王国に入るから、こんなに羽を伸ばせる事も無くなるだろうしな。良い骨休みが出来たのはよかった」


 ドォォォォン……


 空にとどろくいきなりの音に、二人はビックリして夜空を見上げた。

「な……なんだアレは……」

 真っ暗な空を照らすきらびやかな光の花を見、フェグは息を呑む。

「わーっ、すごいすごいっ!花火キレー……」

「はなび?……あの空に咲いた花は、はなびと言う名前なのか?」

「いや、花じゃないのよあれ。フェグは花火見たこと無いの?」

「無いなぁ。じゃあ何か?あれは魔術か何かか?」

「そうじゃないわ。夜空に火薬を詰めた玉を打ち上げて爆発させるの。そうすると、あんなキレイな花火が現れるってわけよ」

「か、火薬を爆発ぅ??ほー……よく分からんが……しかし、美しいな。あんな美しいもの、私は見たことが無い……」

 夜空を彩る花火が二人を照らす。

 ラビもフェグも口には出さなかったが、こんな日々が続いてくれたらと、心の隅で願っていた。




*****




「ふ、フェグー……フェグゥー」

 翌朝、フェグはラビの情けない声に呼び起こされた。

「んー……何じゃい」

 眠い目を擦りながら見てみると、ラビがベッドの上でくの字に折れ曲がって苦しんでいる。

「何かね……お腹痛い」

「お腹痛いー?」

「痛いー」

 ラビはそう言うと、メソメソ泣き出してしまった。

「お、おいっ、ちょっと……うー勘弁してくれ」

「痛いー」

「分かったから、薬を飲ませてやるから泣くな、な?」

「うっ……うん」

 一つ頷き、フェグはラビの腹に手を当てる……が。

「!」

 ラビはビクンッと震え、大きく飛び退いた。

「えっ?そこまで痛かったか?」

 驚くフェグに、真っ赤になりながらラビは首を横にふる。

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