クレハンの涙

藤枝ゆみ太

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【クレハンの涙】第二章

115話

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「わかったわかった、ほら行くぞ。私はもう腹ぺこなのだ」

 フェグはやる気の無い声でそう言い、さっさと部屋を後にする。

 ここの宿屋は食堂も完備されていて、夜になるとそこが酒場としても使われるらしい。

 食事と情報収集を兼ねて下りてきた二人は、我先にと料理を大量に注文しだす。

「きゃあっ!夢にまで見たまともな食事よっ!肉料理よっ!」

 運ばれて来た料理の数々を前に、ラビは下品な舌なめずりが止まらない。

 フェグはそんな彼女に引きつりながらも、運ばれて来た魚料理に口をつける。

「うーまっ、このお肉うまいよーっ。うっうっうっ」

「ええーい泣くなっ!恥ずかしい奴め……うまぁっ!」

「あんたって同じじゃないっ!」

「はんっ、お前と一緒にしないでもらいたいなっ。私はそんな下品に物は食わんっ」

「くぅぅぅぅーっ、こんの糞ジジイィィィィィィ」

「おぉ?何か言ったか?」

「ぐぐぅっ……何でもないわよっ!」

 ラビはそう言うと口一杯に料理を頬張り、苦しそうに呑み込む。

 かたやどこの上流階級だと言わんばかりに上品に食事をするフェグは、そんなラビの姿に顔を顰めつつも、ナプキンで彼女の口元を拭き取る。

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