クレハンの涙

藤枝ゆみ太

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【クレハンの涙】第二章

75話

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 ラビは母の同僚だった学芸員に会いに行き、フェグはもちろん太古のロマンコーナーにへばり付いている。

「何と素晴らしいっ。いいなー、浪漫だなー。まーったくっ!この凄さが分からんとは……これだから乳臭い小娘はいかんわい」

「何か言った?」

 ひょいと顔を出したラビに、フェグは文字通り飛び上がった。

「ひぃぇーっ!いいい、いきなり現れるなっ!馬鹿もんがっ!年寄りを、殺す気かっ!」

「あんたが驚きすぎなのよ。それにあんた、まだ年寄りとかなんとか言ってるの?どう見たって二十代じゃないさっ」

「私は三十六じゃっ」

「はいはい、それよりお母さんの事聞けたわ」

「……何て?」

「どうやら、西の方の大きな遺跡に向かったようなの。もう八年も前の話なんだけど」

「ほー……で?他には?」

「無し。後は酒場で情報収集かな。ああ言う場所は色んな事が聞けるから」




*****



 夜の酒場は『ポルポル亭』を思い出す。

 この喧騒、臭い、何もかもが懐かしい。

 ラビが酒場の手伝いで鍛えた話術で情報収集している間、フェグは一人テーブルを陣取り、歴史資料館で貰ったパンフレットを広げていた。

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