クレハンの涙

【クレハンの涙】第一章

49話

 ラビは肉を撫でながら絶望していた。

 千切れた肉は、いまだにほんのりと温かい。

 そしてどう考えても脈打っている。

 二人には内緒にしていたが、恐らくは生きている。

「ねぇ、これからどうしたら良いと思う？」

 ラビはポツリと問いかけた。

 肉が揺れる。

 一緒になって考えてくれているのだろうか。

「ミルキーには本当に感謝しているの。ほとんど親代わりみたいなもんだから、心配してくれる気持ちも凄くありがたいの。でも、私にも譲れないものがあるんだよ。……あの様子じゃあ、きっと行かせてくれないわ。一体どうしたらいいんだろう」

 ラビの瞳いっぱいに溜まった涙がはらはらと落ちる。

 その涙は肉に降り注ぎ、静かに染み込んでいった。


 コォォォォ……


 途端、ラビの涙に触れた肉は、淡く淡く光りだした。

 その清らかな光りに、ラビは驚くより先に見とれてしまっていた。

「キレイな光……」