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三章
大型討伐作戦
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聞いた事もない単語をひたすら羅列されても、この街へ来たばかりのミリカにはわけがわからなくて、聞き取れたのはジョルジュ達のいるブリランテぐらいだった。説明していたリオは見兼ねて要約した。
「つまり、ゴブリンは人手が足りてるけどオーガには足りてないってこった」
「なるほど!最初からそう言ってよ」
「そう言ってただろ」
「ギルドの名前を言われたってさっぱりだもん」
レイオーク北平原へ到着したミリカ達は、岩陰や草むらに隠れながら、あのオーガの数に対して応戦する人間が少なすぎることについて話していたところだ。
「あそこで固まって戦ってるのが【アスコーリア】?」
遥か前方にはオーガの群衆。巨大な魔物が続々と押し寄せる様子は、こんなに離れていても危機を感じずにはいられない。
アスコーリアとその他ギルドの者達はオーガに囲まれ、集中攻撃を受け続けてもなお、陣形を崩すまいと必死に防衛を続けていた。
「あの様子じゃ長くは持たないわ」とユリナが言う。
「陣形を守ってた騎士が倒れてる。魔術師が翡翠壁でかろうじて食い止めてて攻めにまで手が回ってないね。あと3人いるヒーラーのうち2人が倒れてるから、蘇生しようにも出来ないって感じかなぁ~」
「セラカ……よく分かるね」
「見えないの?」
「私はあんまり目が良くなくて」
「そんな事より、早く何とかしてあげなきゃ!」
マリがそわそわ。いつ壊滅してもおかしくない状況で、目を細めて遠くを見る努力をしている場合ではないと思い至り、ミリカは振り返って提案した。
「オーガはのろいんでしょ?私がかき回して陣形にかかる負担を分散させるよ」
「それにセラカがついて行ったほうがいい」とユリナ。
「あたしが?おっけー!」
「ミリカちゃん達が敵を引きつけているあいだに、私は倒れている人達を治療すればいいのね」
マリの確認にユリナが頷いた。
「俺は紺碧盾で前に出ればいいのか」
リオの確認には「いえ、」
「リオは回復魔法でマリを手伝ってほしい」
「それじゃあ守りがなくなる」
「シェーネルの魔力なら、あの数の魔物でも翡翠壁で一分はもつ筈。できるでしょ?」
「ええ、いいわよ」
ユリナの視線を受け、シェーネルは妖艶に笑んだ。
立て直しの早さを大前提とするユリナの作戦に反対する者はいない。彼女が自分達をまとめるに相応しいと、皆わかっていた。
「よし、じゃあそれでっ!」
「ちょっと待った!」「待ってミリカちゃん!」
走り出しかけたミリカの腕を、リオが掴んで引き止める。
「《瑠璃鎧》」
「《祝護》」
リオとマリの防御魔法がミリカ達の体を包んだ。
「ミリカちゃんはいつも元気でタフだけど魔術師。自分の身を第一に行動してほしいの。忘れないでね?」
「危なくなったら敵ごと俺らのところに逃げて来い。俺の仕事は守る事だからな」
聖職者と騎士。任務の達成が目標というていでも、本当は仲間を無事に守り抜く事だけが使命だった。仲間の背中を見送る時、2人はいつだって胸が息苦しい。
「ありがとう2人とも。心配しないで」
ミリカとセラカは、それぞれ自身に高速魔法と拳闘心を唱え、岩陰から飛び出して行った。
「《火炎弾》!!」
壊滅しかけた陣形を囲む魔物に、片っ端から魔法をぶつけて気を引く。
オーガ達の間を縫うように走り抜けながら、本陣との距離を開けさせた。一方で、倒れているギルド傭兵達には治癒や回生といった回復魔法を施し、立て直しを試みる。膨大な魔力とマナを注ぎ込んだ翡翠壁に阻まれ、オーガ達は回復に専念するマリ達に指一本触れられなかった。だが……。
──グォォォオォオ!!!!
本陣がほぼ安定しかけた頃、けたたましい咆哮は地鳴りを伴い、先発組であるミリカとセラカを襲った。
「な、なに……!?頭が割れる……!」
凄まじい圧で肺が潰されそうになるのを踏ん張り、見据えた地平線の先には二体のギガースがこちらへ向かって来ていた。
観測情報からはまだ姿すら見えない位置を進んでいた筈だが、オークの群れに刺激されたと思われる。
「無理だ……」
予定より早いギガースの出現に、戦慄と焦りを滲ませるユリナ達の背後で、騎士が震える声で呟いた。
アスコーリアはほぼ魔術師のみで構成されるギルドであり、彼はその他の中小ギルドから引っ張ってきただけの経験の乏しい騎士であると見てとれた。
人員不足。ユリナの脳裏を、アーミアの言葉が掠めた。
「《地破波》!!」
足から地面に魔力を流し込み、地割れを起こしてオーク達を足止め。
そうやって幾度となくオークの群れに対処していたセラカも、やがてはマナとスタミナに限界が訪れる。仲間がかけてくれた防御魔法も、ギガースの咆哮で剥がれた。
ミリカの判断は、リオ達のいる本陣へ向かって走ることだった。
金魚のフンのようにオーク達を引き連れて全力疾走してくる様は、相当な恐怖だったに違いない。
「うわあああ!来るな!!オークがめっちゃいるじゃねーか!!!」
「なんでぇぇええ!?!?逃げてこいって言ってくれたじゃん!!!」
「本当に群れごと連れてくる奴があるかバカ!!前言撤回だ!!!自分で何とかしろ!!」
「そりゃ無いよリオ~~~!もう止まれない~!!」
口ではそう言っても、全身全霊の魔力を込めた紺碧盾を発動して待ち構えるリオ。彼の後ろに滑り込んだミリカはしばらくゼェゼェしていたが、セラカの息がすぐ整ったのはさすがだと思った。
先ほどの咆哮で翡翠壁が砕け、衝撃で腕の骨をやられたシェーネルはマリの治療を受けている。
アスコーリアのメンバーの翡翠壁とリオの騎士領域、紺碧盾で防衛を保ちつつ、ユリナをはじめとする残りのメンバーでオーガに対処していたが、回復の速度が追い付かず、またギガースが咆哮を上げればおそらく壊滅に追い込まれるであろう状況だった。そしてその絶望の兆しはすぐに訪れた。
「あぁ……来る!」
獣人族達の耳がピンと立ち、遠くでギガースが唸る。
ミリカは翡翠壁を張り、剥がれないで持ち堪えてくれることを祈った。それぞれが今出来ることを最大限に出力し、来たる衝撃に備えた。
──グォォォオォオ!!!!
鼓膜を死守せんと耳を塞ぐ。次々と魔法が砕ける無慈悲な音と、内臓が軋む音。しかし、ここぞとばかりに畳み掛けてくるはずのオーガ達の攻撃は、今度はなかった。
「……あっ!ブリランテのギルドマスターさん!!」
顔を上げたミリカの目に飛び込んだのは、街で顔見知りになった、あのギルドの者達。
「フハハハハ!!ギルド学園の諸君、オーガの群れを相手に、よくぞここまで持ち堪えた!信頼と努力の賜物である。あとは我々に任せるがよい」
雑多な職業が入り混じった、賑やかで一部が暑苦しいブリランテ。大手だというその名に恥じない戦闘力と数で、魔物の群れをいとも簡単に押し返した。
「あ、ありがとうございます!!でもどうして?」
「ゴブリン村へ向かう編成のなかに諸君らの姿がなかったのでな。管理局が言うには、ギガースの討伐を狙っているというではないか。ガハハハ!目標はデカく、豪快に!ギガースならあそこにいるぞ、そら行け!」
加勢を得たアスコーリアも魔術師ギルドとしての真価を発揮し、今までの形勢はどこへやら、周囲のオーガを一呼吸も置かず蹂躙していた。
──グォォ
三度目。しかし開いたギガースの口から咆哮が放たれる事はなく、勢いをつけて飛び込んだユリナの大剣を深々と呑み込む。セラカの飛び蹴りが急所を抉り、シェーネルの詠唱が完了する。
「《凍天》!!」
魔力が氷点下の大気を生み、10人ほどが手を繋いで囲める程の太さのある足から凍って行く。完全に凍てついたギガースとオーガ達は、指一本動かす事のないサンドバックと化した。
「《岩射》!!」
ミリカの魔法が決め手となり、粉々に砕けたギガースの破片がそこらに散らばった。
ブリランテのメンバー達の歓声と拍手がミリカ達を包む。一体の強敵より、無数に群れた魔物の集団のほうが脅威になり得ると学んだ。そして仲間との連携の重要さも改めて認識した。
「見事!残党のオーガ達は任せておけ、仲間が洞窟に囚われているのだろう?」
「ゴブリン村は大丈夫なんですか?」
「なに、我らブリランテの半数もいればあちらは十分だ」
「半数!?これでブリランテの半数なんですか?」
「フハハハハハハ!!」
見れば、早速セラカがメンバーと打ち解けてハイタッチしているし、凄腕ヒーラーがユリナ達の傷を治療していた。ここまで多種多様な人材が幾多にも出揃っていて、ブリランテ全体の半分だという。
おそらく、学園の2000人にも劣らない数の傭兵が所属しているのだろう。ブリランテがいるならレイオークの街は安泰なのではと思えた。
感心して眺めているミリカの目が捉えた人物も、そんなギルドの下っ端ではあるが、一員だ。
「ジョルジュさーーーーーーん!!!!」
「うるせーーーーー!!!!」
距離があるので叫んでコミュニケーションをはかろうとすると、余裕なさげな罵倒が返ってきた。彼の実力にオーガはいささか格上すぎたのかもしれない。先ほどのミリカと同じようにゼェゼェしている。
「来てくれてありがとうございまーーーす!!」
「さっさと仲間のとこへ行けッバカがッ!!!」
「はーーーい!!!」
目付きも態度も口も悪いが、ぶっきらぼうな義理と人情を感じさせるジョルジュはミリカの好きな部類の人間だ。
彼の戦闘を邪魔しないよう、ミリカ達はレイオーク森の東方面を目指した。
「つまり、ゴブリンは人手が足りてるけどオーガには足りてないってこった」
「なるほど!最初からそう言ってよ」
「そう言ってただろ」
「ギルドの名前を言われたってさっぱりだもん」
レイオーク北平原へ到着したミリカ達は、岩陰や草むらに隠れながら、あのオーガの数に対して応戦する人間が少なすぎることについて話していたところだ。
「あそこで固まって戦ってるのが【アスコーリア】?」
遥か前方にはオーガの群衆。巨大な魔物が続々と押し寄せる様子は、こんなに離れていても危機を感じずにはいられない。
アスコーリアとその他ギルドの者達はオーガに囲まれ、集中攻撃を受け続けてもなお、陣形を崩すまいと必死に防衛を続けていた。
「あの様子じゃ長くは持たないわ」とユリナが言う。
「陣形を守ってた騎士が倒れてる。魔術師が翡翠壁でかろうじて食い止めてて攻めにまで手が回ってないね。あと3人いるヒーラーのうち2人が倒れてるから、蘇生しようにも出来ないって感じかなぁ~」
「セラカ……よく分かるね」
「見えないの?」
「私はあんまり目が良くなくて」
「そんな事より、早く何とかしてあげなきゃ!」
マリがそわそわ。いつ壊滅してもおかしくない状況で、目を細めて遠くを見る努力をしている場合ではないと思い至り、ミリカは振り返って提案した。
「オーガはのろいんでしょ?私がかき回して陣形にかかる負担を分散させるよ」
「それにセラカがついて行ったほうがいい」とユリナ。
「あたしが?おっけー!」
「ミリカちゃん達が敵を引きつけているあいだに、私は倒れている人達を治療すればいいのね」
マリの確認にユリナが頷いた。
「俺は紺碧盾で前に出ればいいのか」
リオの確認には「いえ、」
「リオは回復魔法でマリを手伝ってほしい」
「それじゃあ守りがなくなる」
「シェーネルの魔力なら、あの数の魔物でも翡翠壁で一分はもつ筈。できるでしょ?」
「ええ、いいわよ」
ユリナの視線を受け、シェーネルは妖艶に笑んだ。
立て直しの早さを大前提とするユリナの作戦に反対する者はいない。彼女が自分達をまとめるに相応しいと、皆わかっていた。
「よし、じゃあそれでっ!」
「ちょっと待った!」「待ってミリカちゃん!」
走り出しかけたミリカの腕を、リオが掴んで引き止める。
「《瑠璃鎧》」
「《祝護》」
リオとマリの防御魔法がミリカ達の体を包んだ。
「ミリカちゃんはいつも元気でタフだけど魔術師。自分の身を第一に行動してほしいの。忘れないでね?」
「危なくなったら敵ごと俺らのところに逃げて来い。俺の仕事は守る事だからな」
聖職者と騎士。任務の達成が目標というていでも、本当は仲間を無事に守り抜く事だけが使命だった。仲間の背中を見送る時、2人はいつだって胸が息苦しい。
「ありがとう2人とも。心配しないで」
ミリカとセラカは、それぞれ自身に高速魔法と拳闘心を唱え、岩陰から飛び出して行った。
「《火炎弾》!!」
壊滅しかけた陣形を囲む魔物に、片っ端から魔法をぶつけて気を引く。
オーガ達の間を縫うように走り抜けながら、本陣との距離を開けさせた。一方で、倒れているギルド傭兵達には治癒や回生といった回復魔法を施し、立て直しを試みる。膨大な魔力とマナを注ぎ込んだ翡翠壁に阻まれ、オーガ達は回復に専念するマリ達に指一本触れられなかった。だが……。
──グォォォオォオ!!!!
本陣がほぼ安定しかけた頃、けたたましい咆哮は地鳴りを伴い、先発組であるミリカとセラカを襲った。
「な、なに……!?頭が割れる……!」
凄まじい圧で肺が潰されそうになるのを踏ん張り、見据えた地平線の先には二体のギガースがこちらへ向かって来ていた。
観測情報からはまだ姿すら見えない位置を進んでいた筈だが、オークの群れに刺激されたと思われる。
「無理だ……」
予定より早いギガースの出現に、戦慄と焦りを滲ませるユリナ達の背後で、騎士が震える声で呟いた。
アスコーリアはほぼ魔術師のみで構成されるギルドであり、彼はその他の中小ギルドから引っ張ってきただけの経験の乏しい騎士であると見てとれた。
人員不足。ユリナの脳裏を、アーミアの言葉が掠めた。
「《地破波》!!」
足から地面に魔力を流し込み、地割れを起こしてオーク達を足止め。
そうやって幾度となくオークの群れに対処していたセラカも、やがてはマナとスタミナに限界が訪れる。仲間がかけてくれた防御魔法も、ギガースの咆哮で剥がれた。
ミリカの判断は、リオ達のいる本陣へ向かって走ることだった。
金魚のフンのようにオーク達を引き連れて全力疾走してくる様は、相当な恐怖だったに違いない。
「うわあああ!来るな!!オークがめっちゃいるじゃねーか!!!」
「なんでぇぇええ!?!?逃げてこいって言ってくれたじゃん!!!」
「本当に群れごと連れてくる奴があるかバカ!!前言撤回だ!!!自分で何とかしろ!!」
「そりゃ無いよリオ~~~!もう止まれない~!!」
口ではそう言っても、全身全霊の魔力を込めた紺碧盾を発動して待ち構えるリオ。彼の後ろに滑り込んだミリカはしばらくゼェゼェしていたが、セラカの息がすぐ整ったのはさすがだと思った。
先ほどの咆哮で翡翠壁が砕け、衝撃で腕の骨をやられたシェーネルはマリの治療を受けている。
アスコーリアのメンバーの翡翠壁とリオの騎士領域、紺碧盾で防衛を保ちつつ、ユリナをはじめとする残りのメンバーでオーガに対処していたが、回復の速度が追い付かず、またギガースが咆哮を上げればおそらく壊滅に追い込まれるであろう状況だった。そしてその絶望の兆しはすぐに訪れた。
「あぁ……来る!」
獣人族達の耳がピンと立ち、遠くでギガースが唸る。
ミリカは翡翠壁を張り、剥がれないで持ち堪えてくれることを祈った。それぞれが今出来ることを最大限に出力し、来たる衝撃に備えた。
──グォォォオォオ!!!!
鼓膜を死守せんと耳を塞ぐ。次々と魔法が砕ける無慈悲な音と、内臓が軋む音。しかし、ここぞとばかりに畳み掛けてくるはずのオーガ達の攻撃は、今度はなかった。
「……あっ!ブリランテのギルドマスターさん!!」
顔を上げたミリカの目に飛び込んだのは、街で顔見知りになった、あのギルドの者達。
「フハハハハ!!ギルド学園の諸君、オーガの群れを相手に、よくぞここまで持ち堪えた!信頼と努力の賜物である。あとは我々に任せるがよい」
雑多な職業が入り混じった、賑やかで一部が暑苦しいブリランテ。大手だというその名に恥じない戦闘力と数で、魔物の群れをいとも簡単に押し返した。
「あ、ありがとうございます!!でもどうして?」
「ゴブリン村へ向かう編成のなかに諸君らの姿がなかったのでな。管理局が言うには、ギガースの討伐を狙っているというではないか。ガハハハ!目標はデカく、豪快に!ギガースならあそこにいるぞ、そら行け!」
加勢を得たアスコーリアも魔術師ギルドとしての真価を発揮し、今までの形勢はどこへやら、周囲のオーガを一呼吸も置かず蹂躙していた。
──グォォ
三度目。しかし開いたギガースの口から咆哮が放たれる事はなく、勢いをつけて飛び込んだユリナの大剣を深々と呑み込む。セラカの飛び蹴りが急所を抉り、シェーネルの詠唱が完了する。
「《凍天》!!」
魔力が氷点下の大気を生み、10人ほどが手を繋いで囲める程の太さのある足から凍って行く。完全に凍てついたギガースとオーガ達は、指一本動かす事のないサンドバックと化した。
「《岩射》!!」
ミリカの魔法が決め手となり、粉々に砕けたギガースの破片がそこらに散らばった。
ブリランテのメンバー達の歓声と拍手がミリカ達を包む。一体の強敵より、無数に群れた魔物の集団のほうが脅威になり得ると学んだ。そして仲間との連携の重要さも改めて認識した。
「見事!残党のオーガ達は任せておけ、仲間が洞窟に囚われているのだろう?」
「ゴブリン村は大丈夫なんですか?」
「なに、我らブリランテの半数もいればあちらは十分だ」
「半数!?これでブリランテの半数なんですか?」
「フハハハハハハ!!」
見れば、早速セラカがメンバーと打ち解けてハイタッチしているし、凄腕ヒーラーがユリナ達の傷を治療していた。ここまで多種多様な人材が幾多にも出揃っていて、ブリランテ全体の半分だという。
おそらく、学園の2000人にも劣らない数の傭兵が所属しているのだろう。ブリランテがいるならレイオークの街は安泰なのではと思えた。
感心して眺めているミリカの目が捉えた人物も、そんなギルドの下っ端ではあるが、一員だ。
「ジョルジュさーーーーーーん!!!!」
「うるせーーーーー!!!!」
距離があるので叫んでコミュニケーションをはかろうとすると、余裕なさげな罵倒が返ってきた。彼の実力にオーガはいささか格上すぎたのかもしれない。先ほどのミリカと同じようにゼェゼェしている。
「来てくれてありがとうございまーーーす!!」
「さっさと仲間のとこへ行けッバカがッ!!!」
「はーーーい!!!」
目付きも態度も口も悪いが、ぶっきらぼうな義理と人情を感じさせるジョルジュはミリカの好きな部類の人間だ。
彼の戦闘を邪魔しないよう、ミリカ達はレイオーク森の東方面を目指した。
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