218 / 227
第12章 すべてを変える時
第215話 攻撃的防御 Counter-attack
しおりを挟む
《レーヴェの視点》
いよいよ来たか!
(撃て! なんとしてでも食い止めろっ!)
あちらこちらで銃声が鳴り始める。しばらくは前衛部隊が踏ん張るはずだ、私はその間に状況を確かめよう。情報ウィンドウを開く。
まずは敵と味方の戦力差だ。大雑把にみて4対1……なかなか苦しい。だが個人個人の戦闘力は格段にこちらが上だ、そこまで悪い戦況ではない。
とはいえ敵の強引な突撃を止められるほど余裕があるわけでもない。ならば積極策を採ろう。私は周囲の人々に告げる。
「これより全員で味方を支援し、敵を叩く! 出撃だ!」
ドレッド・ヘアーの黒人男性が陽気な調子で私に聞く。
「メンバーの割り振りは?」
「パワーが3億5000万未満の者はポイントAへ。それ以外は私と共にBへ」
「了ょー解っ!」
もしBの敵を倒せれば、そのままAの背後を攻めて挟み撃ちにできる。そうなれば奴らなど一瞬で全滅だ。
ならば私みずからの指揮で必ずBを制圧する。スエナのウサギ王国がいかに多数であろうと、ライオンたるレイザーズと戦えば死ぬだけだと教えてやる!
《スエナの視点》
ボクと仲間が隠れている柱のずっと向こうには、5人前後の敵がいる。奴らはコンテナ数個を盾にして籠城し、すさまじい勢いで弾幕を張っている。
これじゃ近づけないよ。バリアして突っこもうとしても一瞬でエナジーが尽きるし、いったいどうしたらいいんだ?
とりあえず誰かに相談してみよう。チーム内チャットを開く。
(ねぇ、何かいいアイデアはない?)
グレーの迷彩服を着た男性が答える。
(俺に聞かれても……。敵に繋がる通路はあの一本道だけ、でもあんな弾幕の濃いとこ、進めませんよ!)
まさにその通り。あそこに飛びこむのは自殺行為としかいいようがない。
じゃあ迂回して別の所を攻めたほうがいいか? いや、そんなのん気なことをしてる場合じゃない。どれだけ犠牲を払ってもここを攻略すべきだ。
こうして悩んでいても仕方ない。このまま時間切れで負けるくらいなら、いっそイチかバチかで突撃しよう。
そう思った直後、通路の奥から何か小さな物体が投げこまれる。1つ、2つ、3つ……これは?
しまったっ!
《レーヴェの視点》
バァンと派手な音が響く。先ほど味方が投げこんだ手りゅう弾が炸裂したのだ。レーダー画面から多くの敵影が消滅していく。
この程度の攻撃でこんなに死人が出るとは、敵は予想以上に弱いらしい。楽勝だ! 号令!
「突撃ーッ! 私に続け!」
数人の仲間を率い、私は通路を突き進む。全員でためらわずに飛び出して銃を構える。発射!
「地獄に落ちろッ!」
我々はマフィア映画の抗争シーンのように撃ちまくる。弾丸が乱れ飛び、敵が次々に死んでゆく……まさに大量虐殺だ!
ハハハッ! 思わず私は笑ってしまう。それとは対照的にスエナたちは混乱し、悲鳴をあげて右往左往する。
「きゃああぁぁああぁぁぁぁーーーっ!」
「逃げろ!」
「いや、隠れるんだ!」
「みんな、落ち着いて!」
「どこに!?」
「ワァァァァァァーーーッ!」
「スエナ、こっち!」
私は叫ぶ。
「どうした、雑魚ども! かかってこい! 臆したか!」
そう言いながら死にぞこないたちを撃ち殺す。キル・カウントが増えるたびに喜びがこみあげ、現実世界では決して得られない充足感が心を満たしていく。
これだ! これのために私は重課金し、このゲームを遊んでいる! レヴェリー・プラネット万歳!
やがてほとんどの敵が倒れ、どうにか生き延びた数人があちこちの障害物の陰に逃げこんでいく。ドレッド・ヘアーの男性が私にたずねる。
「さて、残りカスはどうするよ。放置か、それとも全部お掃除か」
「後者に決まっているだろう? ヘル・レイザーズに逆らった者は皆殺し、それが掟だ」
「オッケィ! じゃ、みんなで手分けしてぶっ殺してこう!」
彼はそう言って右へ歩き出す。他の仲間たちも思い思いの方向に散っていく。では、私は正面の赤錆色の鉄骨を攻略するとしよう。
予想が正しければ、あそこの裏にやつがいるはずだ。今回の事件の首謀者、八つ裂きの刑に処すべきゴミクズが!
いよいよ来たか!
(撃て! なんとしてでも食い止めろっ!)
あちらこちらで銃声が鳴り始める。しばらくは前衛部隊が踏ん張るはずだ、私はその間に状況を確かめよう。情報ウィンドウを開く。
まずは敵と味方の戦力差だ。大雑把にみて4対1……なかなか苦しい。だが個人個人の戦闘力は格段にこちらが上だ、そこまで悪い戦況ではない。
とはいえ敵の強引な突撃を止められるほど余裕があるわけでもない。ならば積極策を採ろう。私は周囲の人々に告げる。
「これより全員で味方を支援し、敵を叩く! 出撃だ!」
ドレッド・ヘアーの黒人男性が陽気な調子で私に聞く。
「メンバーの割り振りは?」
「パワーが3億5000万未満の者はポイントAへ。それ以外は私と共にBへ」
「了ょー解っ!」
もしBの敵を倒せれば、そのままAの背後を攻めて挟み撃ちにできる。そうなれば奴らなど一瞬で全滅だ。
ならば私みずからの指揮で必ずBを制圧する。スエナのウサギ王国がいかに多数であろうと、ライオンたるレイザーズと戦えば死ぬだけだと教えてやる!
《スエナの視点》
ボクと仲間が隠れている柱のずっと向こうには、5人前後の敵がいる。奴らはコンテナ数個を盾にして籠城し、すさまじい勢いで弾幕を張っている。
これじゃ近づけないよ。バリアして突っこもうとしても一瞬でエナジーが尽きるし、いったいどうしたらいいんだ?
とりあえず誰かに相談してみよう。チーム内チャットを開く。
(ねぇ、何かいいアイデアはない?)
グレーの迷彩服を着た男性が答える。
(俺に聞かれても……。敵に繋がる通路はあの一本道だけ、でもあんな弾幕の濃いとこ、進めませんよ!)
まさにその通り。あそこに飛びこむのは自殺行為としかいいようがない。
じゃあ迂回して別の所を攻めたほうがいいか? いや、そんなのん気なことをしてる場合じゃない。どれだけ犠牲を払ってもここを攻略すべきだ。
こうして悩んでいても仕方ない。このまま時間切れで負けるくらいなら、いっそイチかバチかで突撃しよう。
そう思った直後、通路の奥から何か小さな物体が投げこまれる。1つ、2つ、3つ……これは?
しまったっ!
《レーヴェの視点》
バァンと派手な音が響く。先ほど味方が投げこんだ手りゅう弾が炸裂したのだ。レーダー画面から多くの敵影が消滅していく。
この程度の攻撃でこんなに死人が出るとは、敵は予想以上に弱いらしい。楽勝だ! 号令!
「突撃ーッ! 私に続け!」
数人の仲間を率い、私は通路を突き進む。全員でためらわずに飛び出して銃を構える。発射!
「地獄に落ちろッ!」
我々はマフィア映画の抗争シーンのように撃ちまくる。弾丸が乱れ飛び、敵が次々に死んでゆく……まさに大量虐殺だ!
ハハハッ! 思わず私は笑ってしまう。それとは対照的にスエナたちは混乱し、悲鳴をあげて右往左往する。
「きゃああぁぁああぁぁぁぁーーーっ!」
「逃げろ!」
「いや、隠れるんだ!」
「みんな、落ち着いて!」
「どこに!?」
「ワァァァァァァーーーッ!」
「スエナ、こっち!」
私は叫ぶ。
「どうした、雑魚ども! かかってこい! 臆したか!」
そう言いながら死にぞこないたちを撃ち殺す。キル・カウントが増えるたびに喜びがこみあげ、現実世界では決して得られない充足感が心を満たしていく。
これだ! これのために私は重課金し、このゲームを遊んでいる! レヴェリー・プラネット万歳!
やがてほとんどの敵が倒れ、どうにか生き延びた数人があちこちの障害物の陰に逃げこんでいく。ドレッド・ヘアーの男性が私にたずねる。
「さて、残りカスはどうするよ。放置か、それとも全部お掃除か」
「後者に決まっているだろう? ヘル・レイザーズに逆らった者は皆殺し、それが掟だ」
「オッケィ! じゃ、みんなで手分けしてぶっ殺してこう!」
彼はそう言って右へ歩き出す。他の仲間たちも思い思いの方向に散っていく。では、私は正面の赤錆色の鉄骨を攻略するとしよう。
予想が正しければ、あそこの裏にやつがいるはずだ。今回の事件の首謀者、八つ裂きの刑に処すべきゴミクズが!
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
ディメンション・アクシデント
JUN
SF
目つきと愛想の悪さから「殺し屋」と噂されて恐れられる篁文とズボラ女子の紗希は幼馴染。真の姿は自分だけが知っていればいいと、噂を虫除けに、厄介事に巻き込む日々。しかし今回の厄介事は、規模が違う。命と恋のピンチ!
ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー
びーぜろ@転移世界のアウトサイダー発売中
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。
理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。
今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。
ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』
計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る!
この物語はフィクションです。
※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。
特殊装甲隊 ダグフェロン『廃帝と永遠の世紀末』 遼州の闇
橋本 直
SF
出会ってはいけない、『世界』が、出会ってしまった これは悲しい『出会い』の物語
必殺技はあるが徹底的な『胃弱』系駄目ロボットパイロットの新社会人生活(体育会系・縦社会)が始まる!
ミリタリー・ガンマニアにはたまらない『コアな兵器ネタ』満載!
登場人物
気弱で胃弱で大柄左利きの主人公 愛銃:グロックG44
見た目と年齢が一致しない『ずるい大人の代表』の隊長 愛銃:VZ52
『偉大なる中佐殿』と呼ばれるかっこかわいい『体育会系無敵幼女』 愛銃:PSMピストル
明らかに主人公を『支配』しようとする邪悪な『女王様』な女サイボーグ 愛銃:スプリングフィールドXDM40
『パチンコ依存症』な美しい小隊長 愛銃:アストラM903【モーゼルM712のスペイン製コピー】
でかい糸目の『女芸人』の艦長 愛銃:H&K P7M13
『伝説の馬鹿なヤンキー』の整備班長 愛する武器:釘バット
理系脳の多趣味で気弱な若者が、どう考えても罠としか思えない課程を経てパイロットをさせられた。
そんな彼の配属されたのは司法局と呼ばれる武装警察風味の「特殊な部隊」だった
そこで『作業員』や『営業マン』としての『体育会系』のしごきに耐える主人公
そこで与えられたのは専用人型兵器『アサルト・モジュール』だったがその『役割』を聞いて主人公は社会への怨嗟の声を上げる
05式乙型 それは回収補給能力に特化した『戦闘での活躍が不可能な』機体だったのだ
そこで、犯罪者一歩手前の『体育会系縦社会人間達』と生活して、彼らを理解することで若者は成長していく。
そして彼はある事件をきっかけに強力な力に目覚めた。
それはあってはならない強すぎる力だった
その力の発動が宇宙のすべての人々を巻き込む戦いへと青年を導くことになる。
コアネタギャグ連発のサイキック『回収・補給』ロボットギャグアクションストーリー。
遥かなるマインド・ウォー
弓チョコ
SF
西暦201X年。
遥かな宇宙から、ふたつの来訪者がやってきた。
ひとつは侵略者。人間のような知的生命体を主食とする怪人。
もうひとつは、侵略者から人間を守ろうと力を授ける守護者。
戦争が始まる。
※この物語はフィクションです。実在する、この世のあらゆる全てと一切の関係がありません。物語の展開やキャラクターの主張なども、何かを現実へ影響させるような意図のあるものではありません。
海道一の弓取り~昨日なし明日またしらぬ、人はただ今日のうちこそ命なりけれ~
海野 入鹿
SF
高校2年生の相場源太は暴走した車によって突如として人生に終止符を打たれた、はずだった。
再び目覚めた時、源太はあの桶狭間の戦いで有名な今川義元に転生していた―
これは現代っ子の高校生が突き進む戦国物語。
史実に沿って進みますが、作者の創作なので架空の人物や設定が入っております。
不定期更新です。
SFとなっていますが、歴史物です。
小説家になろうでも掲載しています。
愛しのアリシア
京衛武百十
SF
彼女の名前は、<アリシア2234-LMN>。地球の日本をルーツに持つ複合企業体<|APAN-2(ジャパンセカンド)>のロボティクス部門が製造・販売するメイド型ホームヘルパーロボットの<アリシアシリーズ>の一体である。
しかし彼女は、他のアリシアシリーズとは違った、ユニークな機体だった。
まるで人間の少女のようにくるくると表情が変わり、仕草もそれこそ十代の少女そのものの、ロボットとしてはひどく落ち着きのないロボットなのである。
なぜなら彼女には、<心>としか思えないようなものがあるから。
人類が火星にまで生活圏を広げたこの時代でも、ロボットに搭載されるAIに<心>があることは確認されていなかった。それを再現することも、意図的に避けられていた。心を再現するためにリソースを割くことは、人間大の機体に内蔵できるサイズのAIではまったく合理的ではなかったからである。
けれど、<千堂アリシア>とパーソナルネームを与えられた彼女には、心としか思えないものがあるのだ。
ただしそれは、彼女が本来、運用が想定されていた条件下とは全く異なる過酷な運用が行われたことによって生じた<バグ>に過ぎないと見られていた。
それでも彼女は、主人である千堂京一を愛し、彼の役に立ちたいと奮闘するのであった。
A2:洗脳密令
蓮實長治
SF
現実に似ているが、数年前に、常人には無い力を持つ「異能力者」の存在が明らかになった00年代半ばの平行世界の日本。
何故か「精神操作」系の「異能力」への強い抵抗力を持つ対異能力犯罪広域警察の捜査官・朝霧明美は、同じ「特務要員(ゾンダー・コマンドー)」の1人である関口晃一と共に、あるカルト集団の捜査を担当する事になった。
だが……「精神操作」系の異能力者により支配されていたかに見えた、そのカルト集団の指導者は……何の異能力も無く、しかも……。
同じ作者の「世界を護る者たち」「Neo Tokyo Site01/04」と同じ世界観の約20年前の話になります。
「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「pixiv」「Novel Days」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。
(pixiv,GALLERIA)は完結後の掲載になります。
惑星保護区
ラムダムランプ
SF
この物語について
旧人類と別宇宙から来た種族との出来事にまつわる話です。
概要
かつて地球に住んでいた旧人類と別宇宙から来た種族がトラブルを引き起こし、その事が発端となり、地球が宇宙の中で【保護区】(地球で言う自然保護区)に制定され
制定後は、他の星の種族は勿論、あらゆる別宇宙の種族は地球や現人類に対し、安易に接触、交流、知能や技術供与する事を固く禁じられた。
現人類に対して、未だ地球以外の種族が接触して来ないのは、この為である。
初めて書きますので読みにくいと思いますが、何卒宜しくお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる