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第5章 上流階級の優雅で華麗な日々
第97話 やったことにはケジメをつけろ Same to you, brat
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こうしてスエナたちは全滅し、復讐心を満足させたスライムたちは、別の場所へと移動していった。
俺たちは連中のもとへ歩み寄り、そのみじめな様子をながめる。気づいたスエナが言う。
「君たちは……!」
みんなを代表してサンドマンがこたえる。
「どうもどうも! ちはーっす!」
「これ、MPKだろ! 殺人じゃないか!」
「おいおい。根拠もなしに悪く言うのはやめろよな。
こいつは単なる不運な事故だ。増えたスライムから逃げる途中、たまたまお前らと出くわして、そしたらスライムが矛先を変え、お前らを襲った。
それだけのことだろう?」
「ふざけるな! 事故なんかじゃない、わざと行われたMPKだ! マナー違反だろ!」
「マナー違反? だったら、先に違反したのはお前のほうだろう」
「何……?」
サンドマンの顔つきが変わる。怒りで赤くなり、強く言い放つ。
「お前! こないだの”キメラ”の一件、もう忘れたのか!
俺たちヘル・レイザーズ専用の狩り場を勝手に使いやがって、マナー違反だろ」
「どこがだ! どんな狩り場も公共の場所、誰もが自由に使っていい。それが常識じゃないか。
専用の狩り場って、誰がそんなこと決めたんだ。おかしい!」
「うるせぇ!」
サンドマンは怒鳴り、スエナの死体に近づいて腹を踏みつけ、持論を並べ立てる。
「この12号サーバーのルールを決めるのは、運営会社、そして俺たちヘル・レイザーズだ!
だって、俺たちが課金するおかげでゲームが成り立つんだからな。特権を持つのは当たり前だ」
「またそうやって横暴を……!」
今度はメセドナが言う。
「横暴なのはお前だ! 無課金や微課金の奴らだ!
こっちは大金を払ってんだから、特権として狩り場を独占して何が悪い? ゲームへの貢献度を考えれば、むしろ当然の権利だ。
それなのに、お前みたいな馬鹿が土足で狩り場を荒らしまわる。これこそマナー違反、迷惑行為そのものじゃん!」
視線をサンドマンからメセドナに向け、スエナが言い返す。
「勝手な理屈を! 重課金は狩り場を独占していいなんて、そんなの利用規約に書いてないぞ!」
「規約は関係ない! 重課金が追加の規約を、新しいルールを決めるんだ!
それに、狩り場を独占しちゃいけないなんて、規約のどこにも書いてない。だったらやってもいいってことでしょ」
「言ってることがおかしいよ!」
「黙れ!」
またしても大荒れになる寸前、モヒカン男が「まぁ待て……」と割って入り、話を引き継ぐ。
「あのなぁ、スエナ。ヘル・レイザーズは決して鬼の集まりじゃねぇ、ちゃんと情けを持ち合わせてる。
こないだの時、お前が素直に「すみません」って謝ってれば、こっちだって勘弁してやったんだぜ。
ところがどうだ? 謝るどころか、「絶対やり返してやる!」って言っただろ? そういうナメた口を利くからこういう目にあうんだ!」
彼は拳銃でスエナの死体を撃つ。発砲音がバン、バンと響く。
「うわ、やめろ!」
「だったら謝れ。すみません、ごめんなさい、何でもいいから謝れ!」
「嫌だっ! なんでそんなことしなくちゃ……」
「謝れ! 微課金ごときが重課金に逆らったんだ、謝るのが筋だろ!」
「嫌だ!」
「謝れっていってんだろ!」
モヒカンは狂ったように撃ちまくり、事態は混迷していく。
こりゃ、とても終わらんな。誰かが仲裁しないと。俺はモヒカンのそばに行って話す。
「もうそんくらいにしとけ」
「だってよ……!」
「これ以上やっても意味ないだろ」
「じゃあお前はこのバカ女を許せんのかよ!」
「許せねぇよ。でも、冷静に考えてさ、こいつが事態をきちんと理解できると思う?
残念なことに、俺たち人間の言葉は猿には通じねーんだ。
だからもう終わりでいいだろ? こうして殺してケジメをつけさせたんだ、充分じゃないか」
「くそっ……」
モヒカンは不満げな表情を浮かべ、スエナの顔に唾を吐き、言う。
「わかったよ、あぁ。納得いかねぇけど……」
やれやれ。手のかかる奴だ、本当に。
スエナがもうちょい素直な性格なら、ここまでこじれなかったんだが。俺は不満の目つきで彼女を見る。
「おい、お前……」
ものすごい剣幕の返事がとんでくる。
「死んでも謝るもんか! 絶対やり返す、どんな方法だろうと必ずやり返してやる! くたばれヘル・レイザーズ!」
その言葉が終わるかどうかというタイミングでスエナの死体が姿を消す。
えー、つまり……。言いたいだけ言ってから街に帰ったということか?
慌ててモヒカンへ視線を向ける。
「スエナぁッ! クソッ! 死ね! ちくしょう! ふざけんなぁぁぁぁぁぁッ!」
本当、あの女はとことんバカというか……。
いずれ近いうち、またつぶすしかあるまい。今度は引退したくなるまで徹底的に殺してやる。
バカは死ななきゃ治らないというが、あいつみたいに何度死んでも治らないタイプのバカもいるってわけかい。辛ぇな。
俺たちは連中のもとへ歩み寄り、そのみじめな様子をながめる。気づいたスエナが言う。
「君たちは……!」
みんなを代表してサンドマンがこたえる。
「どうもどうも! ちはーっす!」
「これ、MPKだろ! 殺人じゃないか!」
「おいおい。根拠もなしに悪く言うのはやめろよな。
こいつは単なる不運な事故だ。増えたスライムから逃げる途中、たまたまお前らと出くわして、そしたらスライムが矛先を変え、お前らを襲った。
それだけのことだろう?」
「ふざけるな! 事故なんかじゃない、わざと行われたMPKだ! マナー違反だろ!」
「マナー違反? だったら、先に違反したのはお前のほうだろう」
「何……?」
サンドマンの顔つきが変わる。怒りで赤くなり、強く言い放つ。
「お前! こないだの”キメラ”の一件、もう忘れたのか!
俺たちヘル・レイザーズ専用の狩り場を勝手に使いやがって、マナー違反だろ」
「どこがだ! どんな狩り場も公共の場所、誰もが自由に使っていい。それが常識じゃないか。
専用の狩り場って、誰がそんなこと決めたんだ。おかしい!」
「うるせぇ!」
サンドマンは怒鳴り、スエナの死体に近づいて腹を踏みつけ、持論を並べ立てる。
「この12号サーバーのルールを決めるのは、運営会社、そして俺たちヘル・レイザーズだ!
だって、俺たちが課金するおかげでゲームが成り立つんだからな。特権を持つのは当たり前だ」
「またそうやって横暴を……!」
今度はメセドナが言う。
「横暴なのはお前だ! 無課金や微課金の奴らだ!
こっちは大金を払ってんだから、特権として狩り場を独占して何が悪い? ゲームへの貢献度を考えれば、むしろ当然の権利だ。
それなのに、お前みたいな馬鹿が土足で狩り場を荒らしまわる。これこそマナー違反、迷惑行為そのものじゃん!」
視線をサンドマンからメセドナに向け、スエナが言い返す。
「勝手な理屈を! 重課金は狩り場を独占していいなんて、そんなの利用規約に書いてないぞ!」
「規約は関係ない! 重課金が追加の規約を、新しいルールを決めるんだ!
それに、狩り場を独占しちゃいけないなんて、規約のどこにも書いてない。だったらやってもいいってことでしょ」
「言ってることがおかしいよ!」
「黙れ!」
またしても大荒れになる寸前、モヒカン男が「まぁ待て……」と割って入り、話を引き継ぐ。
「あのなぁ、スエナ。ヘル・レイザーズは決して鬼の集まりじゃねぇ、ちゃんと情けを持ち合わせてる。
こないだの時、お前が素直に「すみません」って謝ってれば、こっちだって勘弁してやったんだぜ。
ところがどうだ? 謝るどころか、「絶対やり返してやる!」って言っただろ? そういうナメた口を利くからこういう目にあうんだ!」
彼は拳銃でスエナの死体を撃つ。発砲音がバン、バンと響く。
「うわ、やめろ!」
「だったら謝れ。すみません、ごめんなさい、何でもいいから謝れ!」
「嫌だっ! なんでそんなことしなくちゃ……」
「謝れ! 微課金ごときが重課金に逆らったんだ、謝るのが筋だろ!」
「嫌だ!」
「謝れっていってんだろ!」
モヒカンは狂ったように撃ちまくり、事態は混迷していく。
こりゃ、とても終わらんな。誰かが仲裁しないと。俺はモヒカンのそばに行って話す。
「もうそんくらいにしとけ」
「だってよ……!」
「これ以上やっても意味ないだろ」
「じゃあお前はこのバカ女を許せんのかよ!」
「許せねぇよ。でも、冷静に考えてさ、こいつが事態をきちんと理解できると思う?
残念なことに、俺たち人間の言葉は猿には通じねーんだ。
だからもう終わりでいいだろ? こうして殺してケジメをつけさせたんだ、充分じゃないか」
「くそっ……」
モヒカンは不満げな表情を浮かべ、スエナの顔に唾を吐き、言う。
「わかったよ、あぁ。納得いかねぇけど……」
やれやれ。手のかかる奴だ、本当に。
スエナがもうちょい素直な性格なら、ここまでこじれなかったんだが。俺は不満の目つきで彼女を見る。
「おい、お前……」
ものすごい剣幕の返事がとんでくる。
「死んでも謝るもんか! 絶対やり返す、どんな方法だろうと必ずやり返してやる! くたばれヘル・レイザーズ!」
その言葉が終わるかどうかというタイミングでスエナの死体が姿を消す。
えー、つまり……。言いたいだけ言ってから街に帰ったということか?
慌ててモヒカンへ視線を向ける。
「スエナぁッ! クソッ! 死ね! ちくしょう! ふざけんなぁぁぁぁぁぁッ!」
本当、あの女はとことんバカというか……。
いずれ近いうち、またつぶすしかあるまい。今度は引退したくなるまで徹底的に殺してやる。
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