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第4章 現代の監視社会における具体的な監視方法とその運用の実態について
第70話 情報局、特別調査室 Geheime Staatspolizei
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国民安全保障特別委員会、通称リトル・マザー。LM。彼女はいかにして監視社会を作り、運営しているのか?
それを理解するには、彼女直属の諜報機関である情報局について知ればいい。
情報局の特別調査室に勤める男性スタッフ、理堂真彦(りどう まさひこ)の生活を追っていこう。
まだ新人である彼が監視の知識を得る時、あなたもまた、彼と同様にそれを得るだろう。
情報局が存在するビルの中に、特別調査室の人間しか入れない区画がある。理堂は急ぎ足でそこに入り、会議室の電子錠にIDカードをかざす。
ドアが開き、彼は入室する。そこにはパーティションで仕切られたブースがいくつかあり、それらの中には一脚ずつ安楽椅子が置かれている。
理堂は手近なブースに入り、棚に荷物を置いてから椅子に座る。背もたれを倒し、まるで床屋で顔剃りをしてもらう時のような体勢になる。
そのまま頭の近くにある小さな箱へ手を伸ばし、箱から出ているコードを手にする。
コードを左耳のソケットに挿す。目を閉じ、意識を集中する。
椅子に搭載された各種装置が働き始め、理堂の脳波を読み取り、電気信号へと変換してサーバーへ送っていく。
なんとも大げさな描写だが、ようは民間人がVRMMOに繋ぐ時と同じことを有線でやっているに過ぎない。
ただし、このサーバーには危険人物を排除するセキュリティ・システムが備わっている。もし身分確認に失敗すれば、椅子が強烈な電気を流し、理堂の脳を焼いて殺す。
緊張を感じながら理堂はサーバーにアクセスする。身分確認が始まる。
"Connecting...identify...OK...permit"
成功だ。無事にサーバー内に入った。あとは上司である大伝馬玄武(おおでんま げんぶ)のもとへ駆けつければいい。
理堂の姿がチャット・ルーム内に現れる。すぐさま大伝馬が軽い怒声をあげる。
「遅いぞ!」
「すみません!」
「ったく、どうした?」
「来る途中、チーフに呼ばれたんです」
「チーフに?」
「大伝馬さんに話があるから、後で来て欲しいって……」
「話の腰を折って悪いがな。俺のことはデンマでいいって前に教えただろ? いちいちオオデンマなんて長たらしいだろうが」
「すみません」
「で、チーフの話ってのは?」
「俺も詳しいことは聞いてません。なんでも極秘事項とかで……」
「ふぅん……。だったらそいつは横に置いとこうや。それより、授業を始めるぞ」
それを理解するには、彼女直属の諜報機関である情報局について知ればいい。
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情報局が存在するビルの中に、特別調査室の人間しか入れない区画がある。理堂は急ぎ足でそこに入り、会議室の電子錠にIDカードをかざす。
ドアが開き、彼は入室する。そこにはパーティションで仕切られたブースがいくつかあり、それらの中には一脚ずつ安楽椅子が置かれている。
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コードを左耳のソケットに挿す。目を閉じ、意識を集中する。
椅子に搭載された各種装置が働き始め、理堂の脳波を読み取り、電気信号へと変換してサーバーへ送っていく。
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ただし、このサーバーには危険人物を排除するセキュリティ・システムが備わっている。もし身分確認に失敗すれば、椅子が強烈な電気を流し、理堂の脳を焼いて殺す。
緊張を感じながら理堂はサーバーにアクセスする。身分確認が始まる。
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「話の腰を折って悪いがな。俺のことはデンマでいいって前に教えただろ? いちいちオオデンマなんて長たらしいだろうが」
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