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第3章 七寺英太の革命日記

第56話 新銃お披露目 The gunslinger is coming soon

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 家に着いた俺はすぐプラネットに行き、課金を始めた。
 さぁて、何を買おう? PKを重視するならやはり武器だな。ショップの銃リストを調べて……おっ、これは?

 スプリングフィールド M1911A1。確かジョン・ウーの映画で見たことある。めっちゃカッコよかった、性能もいいしこれに決めよう。
 お次は改造だ。金の続く限り強化して、それが終わったらどこかで試し撃ちだ。



 その時ちょうど、リスとゼーキルがログインしていた。だから俺は、二人を誘って冒険に出かけた。
 行先はブラック・スクール。あそこなら手ごろなモンスターがすぐ見つかるし、運に恵まれればPKもできる。

 PK! その時こそ、このスプリングフィールドの出番だ! カッコよく敵の頭をぶち抜いてやるぜ。
 そんなこんなで俺たちはスクールに着き、探索を始める。俺一人では無理なダンジョンだが、さすがに仲間がいれば問題ない。

 俺たちは高級ジャマーを使いながらフロアを進んでいく。PKするつもりが逆にされるなんて、間抜けすぎるからな。しっかり用心だ。
 まぁでも、今回は短時間で切り上げる予定だし、PKにそこまでこだわってるわけでもない。だったら有効時間30分の安物で充分だろう。

 そして、小部屋の入り口にさしかかった時。ついに一匹のモンスターと遭遇する。
 遠くからそいつの姿を眺め、俺はチャットで言う。

(なんかカニみたいだけど、なんだろ?)

 ゼーキルが(クラップ・クラブだ)と答える。
 クラブか。ちょっと厄介だな。しかしその頑丈さは、試射の的としてうってつけだ。やってやる、命令!

(戦闘準備!)

 ゼーキルとリスは(了解)と返し、それぞれ銃を構える。同時に、クラブがゆっくりと体の向きを変え、俺たちに気づく。
 これじゃあ奇襲は無理だ。ならば真っ向勝負!

「みんな、撃てっ!」

 バン! すべての銃が火を噴き、クラブのHPゲージが減少する。
 しかし致命傷には至らない。クラブは平然と突き進んでくる。ちっ、射撃のみじゃ無理か? 作戦を変えよう。

「二人とも、下がれ! 接近戦の準備!」

 ゼーキルが「お前はどうするんだ?」と聞いてくる。

「ここで撃ち続け、奴を足止めする」
「了解。俺たちの準備ができるまで、頼む」

 リスが「よろしくぅ!」と言って後退する。続けてゼーキルも。
 クラブはどんどん距離を詰めてくる。クソッ、手こずらせやがって! イライラしながらスプリングフィールドのトリガーを引く。

「おらおら、おらァ!」

 狙いを定めて撃ちまくる。いくつもの弾がクラブに当たり、ダメージを発生させる。
 それでも奴は倒れず、なお向かってくる。やべぇ、このままじゃあのハサミの餌食だ!

「くそっ! リス、ゼーキル、準備は!?」
「あと少し!」
「俺はまだ……」

 クラブのうなり声が響く。

「ブァアァアアアァァァアアァ!」

 奴はチャンスと思ったんだろう、猛然と走り出す。俺の背筋に冷たい悪寒が走る、だがそれを振り払ってスプリングフィールドを握りしめる。

「往生しろ! 化け物!」

 マガジンに残った最後の一発を放つ。それは狙い違わずクラブの眉間をぶち抜き、HPゲージをゼロにする。

「ブオォォ……」

 力のない悲鳴をあげ、クラブが死ぬ。光の粉をまき散らしながら消えていく。
 ったく、! こんなに手間取るんじゃ、スプリングフィールドを買った意味がねぇ。悔しい気持ちがこみあげる。

 俺の心に気づいたリスが慰めのセリフを言う。

「そんな気を落とさないでさ。射撃だけで倒せたのは、セブンのおかげだよ」
「でもな……」
「まぁまぁ。そのスプリングフィールドはPK用に改造したんでしょ? だったら、モンスターに手こずるのはしょうがないって。
 モンスター相手に有効な武器と、人間相手に有効な武器は違う。そういうもんだから……」
「分かってるさ」

 ふぅ。じゃあ今はそう思っておこう。
 次の敵を見つけた時こそ、この銃の真価を見せてやる。そうと決まれば上のフロアに移動だ。
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