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第2章 2084年
第48話 すべては清算された Death penalty
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ベアたちは飛び出し、前方に見える2本の柱へ走り出す。チーム内チャットにポールの声が流れる。
(右と左、どう攻略します?)
タイガーは、(お前は左を頼む)と返す。
(じゃあ右は?)
(俺とベアで片づける)
(つまり、俺だけ単独行動?)
(しょうがねぇだろ。三人しかいないんだから)
(はぁ……了解)
言い残し、ポールは左の柱へ向かう。ベアたちは逆に右へ進み、柱の後ろを目指す。
やがてセブンとその取り巻きたちの姿が見えてくる。彼らはスエナと撃ち合うことに夢中で、全く警戒していない。
いける。これなら殴れるほど近い距離までとびこめる。
ベアがソードのスイッチを入れて剣身を出す。同時に、タイガーが自慢のカギ爪を出す。
エナジー切れを防止するためにステルスを解除。そのまま二人とも大きく跳び、敵陣の真っただ中に降り立つ。誰かが悲鳴を上げる。
「うわっ! なんだ!?」
カギ爪がうなり、発言者をX字に斬り裂く。
「俺はタイガー! いつぞやの借りを返しにきた!」
「なに……」
「ベア! やっちまえ!」
「あぁ!」
彼のソードが宙を駆け、別の敵を一撃で仕留める。
「うわーーーっ!」
ようやく事態に気づいたセブンが振り向く。
「ステルス奇襲!?」
ベアが答える。
「カタラ荒野じゃ世話になったな……!」
「クソッ! またバカヤローか!」
「黙れ!」
敵の死体を踏み超え、ベアはセブンへ突進する。セブンは即座に銃を捨て、迎撃のために腰のソードを抜く。
「勝てると思ってんのか!」
「当然!」
言ってベアはジャンプし、空中から襲いかかる。
落下の勢いを利用したその一撃をセブンはガード、着地したベアが硬直する隙を狙って斬りかかる。
「クズが! 遅せぇんだよ!」
ベアはどうにか跳び退いてかわす。直後、やや遠くにいるタイガーが援護射撃をいれる。
「おい! 俺を忘れんな!」
「卑怯だぞ! 二人がかりで!」
「戦いは何でもありだ!」
セブンの気が散った今がチャンスだ。ベアは攻めこむ。
「お前の相手はそもそも俺だぁぁぁっ!」
先ほどと同じようにジャンプする。それに負けまいとしてセブンも跳び、宙に舞う。
だがタイミングが遅い。それに、その対応策はベアに読まれている。
ベアは力を振り絞って空中ジャンプを行う。現実では不可能な、ゲームだからこそ許される動きだ。
見上げるセブンの目にベアの姿が映る。脳裏を駆け抜ける死の予感、恐怖、悲鳴がもれる。
「うわぁぁぁぁぁぁっ!」
「くたばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!」
致命の一太刀がセブンを叩く。撃たれた鳥のように彼は落ちていく。
体が地面に叩きつけられ、受け身をとれなかったせいもあって大ダメージを受ける。その隙を狙ってタイガーが拳銃を向ける。
「プレゼントだ、受け取りな!」
弾丸の嵐が殺到する。そのタイミングで空中からベアが降りてくる。
彼はアイスピックを逆手に持つ要領でソードを握っている。まるで落ちてくるつららだ。
「死ねぇッ!」
残虐表現の規制プログラムが発動し、骨折や流血といった生々しい描写のかわりに、ソードがセブンの顔を串刺しにするという奇妙な光景を示す。
セブンのHPが尽きる。タイガーが怒鳴る。
「そのまま現実世界でもくたばれ! ゴミクズ野郎!」
セブンは何も言い返さない。両眼から静かに涙を流し、嗚咽する。
「あっ……あ……」
そばに立って見ているベアが言い捨てる。
「今までやってきた悪事のツケだ! まぬけ!」
復讐完了。すべては清算された。
(右と左、どう攻略します?)
タイガーは、(お前は左を頼む)と返す。
(じゃあ右は?)
(俺とベアで片づける)
(つまり、俺だけ単独行動?)
(しょうがねぇだろ。三人しかいないんだから)
(はぁ……了解)
言い残し、ポールは左の柱へ向かう。ベアたちは逆に右へ進み、柱の後ろを目指す。
やがてセブンとその取り巻きたちの姿が見えてくる。彼らはスエナと撃ち合うことに夢中で、全く警戒していない。
いける。これなら殴れるほど近い距離までとびこめる。
ベアがソードのスイッチを入れて剣身を出す。同時に、タイガーが自慢のカギ爪を出す。
エナジー切れを防止するためにステルスを解除。そのまま二人とも大きく跳び、敵陣の真っただ中に降り立つ。誰かが悲鳴を上げる。
「うわっ! なんだ!?」
カギ爪がうなり、発言者をX字に斬り裂く。
「俺はタイガー! いつぞやの借りを返しにきた!」
「なに……」
「ベア! やっちまえ!」
「あぁ!」
彼のソードが宙を駆け、別の敵を一撃で仕留める。
「うわーーーっ!」
ようやく事態に気づいたセブンが振り向く。
「ステルス奇襲!?」
ベアが答える。
「カタラ荒野じゃ世話になったな……!」
「クソッ! またバカヤローか!」
「黙れ!」
敵の死体を踏み超え、ベアはセブンへ突進する。セブンは即座に銃を捨て、迎撃のために腰のソードを抜く。
「勝てると思ってんのか!」
「当然!」
言ってベアはジャンプし、空中から襲いかかる。
落下の勢いを利用したその一撃をセブンはガード、着地したベアが硬直する隙を狙って斬りかかる。
「クズが! 遅せぇんだよ!」
ベアはどうにか跳び退いてかわす。直後、やや遠くにいるタイガーが援護射撃をいれる。
「おい! 俺を忘れんな!」
「卑怯だぞ! 二人がかりで!」
「戦いは何でもありだ!」
セブンの気が散った今がチャンスだ。ベアは攻めこむ。
「お前の相手はそもそも俺だぁぁぁっ!」
先ほどと同じようにジャンプする。それに負けまいとしてセブンも跳び、宙に舞う。
だがタイミングが遅い。それに、その対応策はベアに読まれている。
ベアは力を振り絞って空中ジャンプを行う。現実では不可能な、ゲームだからこそ許される動きだ。
見上げるセブンの目にベアの姿が映る。脳裏を駆け抜ける死の予感、恐怖、悲鳴がもれる。
「うわぁぁぁぁぁぁっ!」
「くたばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!」
致命の一太刀がセブンを叩く。撃たれた鳥のように彼は落ちていく。
体が地面に叩きつけられ、受け身をとれなかったせいもあって大ダメージを受ける。その隙を狙ってタイガーが拳銃を向ける。
「プレゼントだ、受け取りな!」
弾丸の嵐が殺到する。そのタイミングで空中からベアが降りてくる。
彼はアイスピックを逆手に持つ要領でソードを握っている。まるで落ちてくるつららだ。
「死ねぇッ!」
残虐表現の規制プログラムが発動し、骨折や流血といった生々しい描写のかわりに、ソードがセブンの顔を串刺しにするという奇妙な光景を示す。
セブンのHPが尽きる。タイガーが怒鳴る。
「そのまま現実世界でもくたばれ! ゴミクズ野郎!」
セブンは何も言い返さない。両眼から静かに涙を流し、嗚咽する。
「あっ……あ……」
そばに立って見ているベアが言い捨てる。
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復讐完了。すべては清算された。
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