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第2章 2084年
第46話 ボクの名前はスエナ、彼女はアップル Women of destiny
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デッド・シティ。英語で書けば Dead city, その名の通りに死の街だ。
ビルと思わしき建物はすべて倒壊し、アスファルト舗装の道路はヒビだらけ。
街の中央の巨大ビルは、ミサイルの直撃でも受けたのだろうか、上部があらかた吹き飛んでいる。
うろつくモンスターは機械系が中心で、どいつも同じ考えだ。
”命あるものを探し、見つけ、殺す”
そうして見境なく殺し、ついには味方すら殺し尽くし、こんな廃墟を生み出したのだろう。
ベアたちはそんなところを進んでいく。モービッド・エンジェルやスレイヤーが作曲したような暴力的なBGMがうなり、心をかき乱す。
タイガーがつぶやく。
「そろそろだぜ……」
先ほど話題に出た巨大ビルが行く手に見える。その付近は広範囲にわたって大量の瓦礫が散らばっている。
ポールがたずねる。
「タイガーさん。あいつら、あそこで待ち伏せしてるんですよね?」
「情報が正しけりゃぁな……」
言って、タイガーはジャマーの様子を確認し、続ける。
「こいつを信じるなら、今は誰も隠れてない。しかしそれでもリスクはある、さて……どうする?」
即座にベアが返す。
「行くに決まってんじゃないか。今さら引き返すなんてあり得ない!」
決然と言い放ってベアは歩き出し、タイガーたちが続く。三人は瓦礫地帯に入る。
ここは薄暗くてホコリだらけだ。体育館の倉庫を思い出させる。ヴァーチャル・リアリティは臭いを再現しないが、それでもあのカビ臭さを感じてしまう。
やがてベアたちは瓦礫地帯を抜け、ビルの地上階にたどり着く。
立体駐車場に似た、広々とした場所だ。しかし、現実のそれと違い、あちこちに障害物がある。たとえば大きな支柱がそうだ。
また、フロアの中央にはエレベーターがあり、このエレベーターの付近に二人の若い女性がいる。誰かと交戦中らしい。
ベアたちは、いったん左の支柱に身を隠し、安全を確保する。そしてタイガーが呼びかける。
「おーい、どうした!」
女性たちのうち、ピンクの髪を腰まで伸ばしたほうが答える。
「誰だ! パンプキンズか!?」
「違げぇよ!」
「じゃあ聞いてくれ! セブンたちと戦ってる! 負けそうなんだよ!」
「そりゃやべぇな……」
残る一人、紫の髪を肩まで伸ばした女性が言う。
「助けてくれませんか! そっちだってパンプキンズを倒しにきたんでしょう!?」
「おい、どうする?」
ベアの意見は「助けるに一票」、ポールも「賛成です」と答え、彼らは救援することに決める。
急いで女性たちの元へ駆けつけてベアが話す。
「どうも。よろしく」
ピンク髪の女性が答える。
「ボクの名前はスエナ、彼女はアップル。よろしく!」
元気いっぱいの声がベアの耳をくすぐる。
彼はなぜか、スエナに不思議な頼もしさを感じて驚く。ひょっとするとこの人は……。
ビルと思わしき建物はすべて倒壊し、アスファルト舗装の道路はヒビだらけ。
街の中央の巨大ビルは、ミサイルの直撃でも受けたのだろうか、上部があらかた吹き飛んでいる。
うろつくモンスターは機械系が中心で、どいつも同じ考えだ。
”命あるものを探し、見つけ、殺す”
そうして見境なく殺し、ついには味方すら殺し尽くし、こんな廃墟を生み出したのだろう。
ベアたちはそんなところを進んでいく。モービッド・エンジェルやスレイヤーが作曲したような暴力的なBGMがうなり、心をかき乱す。
タイガーがつぶやく。
「そろそろだぜ……」
先ほど話題に出た巨大ビルが行く手に見える。その付近は広範囲にわたって大量の瓦礫が散らばっている。
ポールがたずねる。
「タイガーさん。あいつら、あそこで待ち伏せしてるんですよね?」
「情報が正しけりゃぁな……」
言って、タイガーはジャマーの様子を確認し、続ける。
「こいつを信じるなら、今は誰も隠れてない。しかしそれでもリスクはある、さて……どうする?」
即座にベアが返す。
「行くに決まってんじゃないか。今さら引き返すなんてあり得ない!」
決然と言い放ってベアは歩き出し、タイガーたちが続く。三人は瓦礫地帯に入る。
ここは薄暗くてホコリだらけだ。体育館の倉庫を思い出させる。ヴァーチャル・リアリティは臭いを再現しないが、それでもあのカビ臭さを感じてしまう。
やがてベアたちは瓦礫地帯を抜け、ビルの地上階にたどり着く。
立体駐車場に似た、広々とした場所だ。しかし、現実のそれと違い、あちこちに障害物がある。たとえば大きな支柱がそうだ。
また、フロアの中央にはエレベーターがあり、このエレベーターの付近に二人の若い女性がいる。誰かと交戦中らしい。
ベアたちは、いったん左の支柱に身を隠し、安全を確保する。そしてタイガーが呼びかける。
「おーい、どうした!」
女性たちのうち、ピンクの髪を腰まで伸ばしたほうが答える。
「誰だ! パンプキンズか!?」
「違げぇよ!」
「じゃあ聞いてくれ! セブンたちと戦ってる! 負けそうなんだよ!」
「そりゃやべぇな……」
残る一人、紫の髪を肩まで伸ばした女性が言う。
「助けてくれませんか! そっちだってパンプキンズを倒しにきたんでしょう!?」
「おい、どうする?」
ベアの意見は「助けるに一票」、ポールも「賛成です」と答え、彼らは救援することに決める。
急いで女性たちの元へ駆けつけてベアが話す。
「どうも。よろしく」
ピンク髪の女性が答える。
「ボクの名前はスエナ、彼女はアップル。よろしく!」
元気いっぱいの声がベアの耳をくすぐる。
彼はなぜか、スエナに不思議な頼もしさを感じて驚く。ひょっとするとこの人は……。
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