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第1章 下流階級で低収入の俺が本気出したら無双してしまった

第29話 決戦! Duel

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 それじゃぁいよいよ……と思った瞬間、ポールから連絡がくる。

(バーバリアンさん! 調子はどうですか?)
(突撃する直前です。そちらは?)
(さっきワラビーさん達と合流しました。これより反撃に出ます)
(了解。俺とマサキングも行ってきます)
(ラジャー!)

 セブンが怒鳴る。

「さっさと来いよ! クズ!」
「いいぜ……後悔させてやる!」

 マサキングに合図し、柱から飛び出す。まずはバリアを展開、続いてジャンプ。頭上のキャットウォークに降り立つ。
 目の前に武装したアフリカンの男がいる。セブンと一緒にいたあいつだ。悪いが出番はもう終わり!

「おらぁ!」

 フェアレーターを一閃。首を斬って仕留める。アフリカンの怒号が響く。

「くそ! ここだ、奴はここにいる!」

 全ての敵が俺に気づいて撃ってくる。俺はバリアで身を守りつつ走る。
 前方に見える男女のペアが、俺にアサルトライフルを向けて叫ぶ。

「止まれ!」
「死ね!」

 発砲。弾丸の雨が襲ってくる。その真っただ中を突っ走り、大量のバリア・エナジーと引き換えに接近する。
 この間合いならこっちのもんだ!

「やぁぁっ!」

 めった斬りにして叩き伏せ、死体を乗り越えてさらに進む。
 俺の快進撃を止めるべく、向こう側のキャットウォークにいる連中が撃ってくる。さすがにこれはキツい、エナジーが尽きるかも。

 そう考えるのとほぼ同時にマサキングの援護射撃が始まる。

「お前ら! 俺の存在を忘れちゃ困るね!」

 彼の愛銃であるMSBS グロットが火を噴き、敵を一掃していく。

「うわああああああ!」
「誰!?」
「いいから撃て!」
「でもバーバリアンが……」
「落ち着けぇ!」

 まさに大混乱。いい展開だ、そう思いつつ前へ跳ぶ。
 今度の相手はアジア人の姉ちゃん、セブンに復讐した時のあいつだ。

「よぉ。また会ったな」
「あんたは! 殺してやるっ!」

 姉ちゃんがソードで斬りかかってくる。その一撃を受け止め、全力で押し返す。彼女の体がよろける。

「くぅっ……」
「弱いな! 筋肉が足りてねぇ!」

 がらあきとなった胴を斬り、そのまま連撃を浴びせる。ゲーム・システムが言う。

(キル!)

 まぁこんなもんよ。

「バーバリアン! クソ野郎!」
「はいはい。じゃあな、姉ちゃん」

 言い捨てて走り抜け、また敵を倒しながら進む。
 数分後、マサキングが奮戦したおかげもあり、ほとんどの敵が死に絶える。そして最奥にたどり着いた俺は、セブンと対峙する。

「ふぅ……。ようやくラスボスってわけかい」
「畜生ォォォォ!」

 セブンは狂ったようにライフルを連射する。だが俺の強固なバリアの前には無力だ。

「バーカ、効かねぇよ。ところでセブン、映画は好きか?」
「は? なんだいきなり……」
「名作映画の最後はよぉ、一騎討ちでケリつけるのがお約束だぜ。『リーサル・ウェポン』だって、『ダイ・ハード』だってそうだろ」
「だから俺たちもやろうって言いたいのか?」
「イエス」
「ふん……。いいぜ、オーケーしてやる」

 俺たちはキャットウォークから飛び降りる。互いに距離を取り、ソードを構える。

「セブン。覚悟だけは褒めてやるよ」
「抜かせ! 最後に泣くのはてめぇだ!」

 二人同時に走り出す。激突、ガンガン打ち合う。さすがはパンプキンズのリーダー、なかなかの斬撃だ。

「やるじゃん!」
「ナメてんじゃねぇぞ!」

 連続攻撃がくる。だがどれも大した威力じゃない、適当にさばいていく。

「ほらほら! もっと打ってこい!」
「だからナメんじゃねぇつってんだろぉーーーッ!」

 罵声と共にセブンの全力の一撃が繰り出される。俺はあっさりと受け流し、斬り返す。

「おらぁ!」

 セブンの体勢が崩れる。

「くっ……」
「もらったぁ!」

 ぶった斬る。二回、三回。ついに奴のHPゲージが空になる。

(キル!)

 死体となったセブンが崩れ落ちていく。

「ちくしょう……畜生!」
「そう怒るなって。けっこう頑張ったじゃん、褒めてやるよ」
「畜生ォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!」

 絶叫を残し、奴の体が消えていく。これでひと段落だな。歯ごたえのないボスだった。
 戦いが終わったと知ってマサキングが近づいてくる。

「いやー、さすがだな。こんなあっさり勝つなんて」
「まぁな」
「それじゃ、☆を壊そう」

 俺たちは奥へと歩いていく。途中でポールからの通信が入る。

(無事ですか、お二人とも)

 マサキングが答える。

(さっき敵を全滅させました。これから☆の破壊に取りかかります)
(了解!)
(そっちはどうなってるんですか?)
(さっき敵を倒して、今は☆を壊してる最中です)
(了解。じゃ、こっちも速攻で終わらせます)
(ラジャー!)

 ついに☆の近くに到着する。マサキングはMSBSを、俺はブローニング・ハイパワーを構える。

「マサキング! やろう!」
「あぁ!」

 合図と同時に撃ち始める。☆の耐久力を示すゲージが急激に減っていく。
 今度はアンズさんから連絡がくる。

(二人ともお疲れ様! こっちはもう片づいたよ!)

 ゲーム・システムが告げる。

(三階の☆が破壊されました)

 よし! 残る☆はこの眼前の一つのみ!
 俺はアンズさんに(了解!)と返し、さらに攻撃を加え続ける。

 ☆が壊れる。(ヴィクトリー!)のアナウンスが表示される。
 勝ったんだ。中規模クランのゲールフォースが、格上のパンプキンズを倒した。下剋上を成し遂げたんだ!

 クランのみんながチャットで騒ぎだす。

(おめでとう!)
(おめでとうございます!)
(やったぁ!)
(今日から俺たちがチャンピオンだ!)
(イヤッホーイ!)

 へへ。やっぱ嬉しいな。達成感がこみあげてくる。
 ま、2億5000万の俺がいるんだ。こうなって当然だよな。

 さて、それじゃあいったんログアウトして、どこかで酒を買ってくるとしよう!
 不味い密造酒じゃなくて、ちゃんとしたメーカーのちゃんとした酒をな!
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