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第1章 下流階級で低収入の俺が本気出したら無双してしまった
第17話 セブンとの再会 Foe
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以前、ステルス能力について話したことを覚えてるか? あれはもちろん俺だって使える。
そしてこの場所で使っとけば、教室にいる奴らに視認されることなく接近できるだろう。よってスキルを発動する。
一切の音を立てずに体が透明になっていく。同時に、俺の視界の隅にあるスタミナ・ゲージがゆっくりと減り始める。
これがゼロになったらしばらく何のスキルも使えない。そうなる前に目的を果たさなくちゃ。
にしても、こうもあっさりステルスが使えるとは。てっきり奴らの対策アイテムに妨害されるかと思ったが、そうならないってのはどういうわけだ?
相手が慢心してるってことなのか、それとも何か別の理由か。ま、どっちだろうと構わない。
俺は静かに歩いて教室に向かう。ステルスといえども音まで消せるわけじゃない、慎重にいくべきだ。
首尾よく教室のドア付近までたどり着き、戸口から漏れてくる話し声に耳を澄ます。これは間違いくあのクソ金髪野郎、セブンの声だ!
「あのなぁ……。こんだけ戦えば今日はもう十分だろ?」
若い女の声。
「でもさー。そろそろ週末でしょ、争奪戦でしょ? もっとモンハンしたほうがよくない? 素材ぜんぜん足んないって!」
モンハンって言葉は、どこかの会社が出してるゲームのことじゃないぞ。
2084年の現代じゃ、どんなゲームであれ、冒険に行ってモンスターを狩ることを「モンスター・ハンティング」と呼び、略してモンハンというんだ。
さっきの女のセリフを要約すると「もっと冒険を続けてモンスターを狩ろう、倒そう」ってこと。
なおも女が喋り続ける。
「セブンだってゼーキルだって、まだ時間あるでしょ? じゃあもう少しだけ、もう少しだけ……」
今だ! 俺は教室に踏みこんでステルスを解き、ブローニング・ハイパワーを構えて叫ぶ。
「武器を捨てろ! 逃げ場はないぜ!」
いきなり現れた俺を見て、セブンたちがぽかーんとする。さて、連中の人数は……セブン、若いアジア人の女、同じ程度に若いアフリカンの男、合計3人。
アフリカンが馬鹿にしたような笑いを浮かべ、セブンにたずねる。
「なんだ、コイツ? セブン、どうする?」
「まぁ待てよ。お前あれだろ、こないだ俺たちがハイダシ(※カツアゲの意)した奴らの一人だろ? なんだよ、カエシ(※復讐)にきたってわけ?」
「ご名答」
「はは、馬ッ鹿じゃねぇ? 勝てると思ってんのか」
「ピーピーうるさくさえずるな……。頭、ブチ抜くぞ」
「その前に俺がお前をブチ抜く」
「試してみるか? でも、やったらPKだ。お前は指名手配でみんなに狙われる……」
場が静かになる。そりゃそうだ、こいつらはしょせんチンピラ。マジで殺しをやる覚悟なんてない。
そして俺は知ってるぜ。セブンみたいな思考回路の人間は、他人を脅すシーンを想像できても逆はない。つまり、自分が脅される場面なんて想定外。
今ごろパニックで頭が真っ白に違いない。だったら、相手にかわって俺が話を進めよう。
「ネットのあちこちでお前らの情報を調べたよ。クラン名、グリニング・パンプキンズ(grining pumpkins)。面白半分でPKでもなんでもやる、不良の集団。
もともとはクラッシュ・シティのベースを占領するために結成されたクランで、リーダーはセブン。そう、お前だよな?」
セブンは歯をむき出しにしてニヤニヤ笑いながら言う。
「まぁそんなとこだ。にしてもずいぶん詳しく調べたな、お前もしかしてリアルじゃ探偵?」
「どうだっていいだろ」
「へいへい(笑)」
「そうやってバカみたいに笑ってんじゃねぇ! 話は終わりだ、武器を捨てろ! さもなきゃ殺す!」
ニヤニヤ笑いをやめずにセブンが答える。
「殺す? マジで?」
「マジだ」
「くだらねぇ冗談だ。やっちまったらそれこそお前が指名手配だ」
「構わねぇよ。てめーを殺せるなら後悔ゼロだ」
「ハッタリだな!」
「いいから捨てろよ。お前だけじゃねぇ、そこの二人もだ! その銀玉鉄砲みてーなガラクタ、さっさと捨てろって言ってんだよ!」
ガラクタといわれて頭にきたらしく、アフリカンが言い返してくる。
「おい、マヌケ。調子に乗るな!」
「うるせぇ! すっこんでろ、ボンクラ!」
「なんだと……!」
アフリカンが右手の銃を構えようとする。先手を取って俺が動く、アフリカンの銃を狙って撃ち、弾き飛ばす。
ゲームといえども撃たれれば衝撃を感じる。恐怖心を呼び覚ますきっかけとしちゃあ十分だ。声を震わせながらアフリカンが俺をにらみつけて言う。
「貴様……!」
「そこのねーちゃんも、セブンも、いいからさっさと捨てろよ。優しくするのはこれで終わりだぜ。次は頭に当てる」
ハイパワーを構え直す。修羅場の緊張感が場を支配していく……。
そしてこの場所で使っとけば、教室にいる奴らに視認されることなく接近できるだろう。よってスキルを発動する。
一切の音を立てずに体が透明になっていく。同時に、俺の視界の隅にあるスタミナ・ゲージがゆっくりと減り始める。
これがゼロになったらしばらく何のスキルも使えない。そうなる前に目的を果たさなくちゃ。
にしても、こうもあっさりステルスが使えるとは。てっきり奴らの対策アイテムに妨害されるかと思ったが、そうならないってのはどういうわけだ?
相手が慢心してるってことなのか、それとも何か別の理由か。ま、どっちだろうと構わない。
俺は静かに歩いて教室に向かう。ステルスといえども音まで消せるわけじゃない、慎重にいくべきだ。
首尾よく教室のドア付近までたどり着き、戸口から漏れてくる話し声に耳を澄ます。これは間違いくあのクソ金髪野郎、セブンの声だ!
「あのなぁ……。こんだけ戦えば今日はもう十分だろ?」
若い女の声。
「でもさー。そろそろ週末でしょ、争奪戦でしょ? もっとモンハンしたほうがよくない? 素材ぜんぜん足んないって!」
モンハンって言葉は、どこかの会社が出してるゲームのことじゃないぞ。
2084年の現代じゃ、どんなゲームであれ、冒険に行ってモンスターを狩ることを「モンスター・ハンティング」と呼び、略してモンハンというんだ。
さっきの女のセリフを要約すると「もっと冒険を続けてモンスターを狩ろう、倒そう」ってこと。
なおも女が喋り続ける。
「セブンだってゼーキルだって、まだ時間あるでしょ? じゃあもう少しだけ、もう少しだけ……」
今だ! 俺は教室に踏みこんでステルスを解き、ブローニング・ハイパワーを構えて叫ぶ。
「武器を捨てろ! 逃げ場はないぜ!」
いきなり現れた俺を見て、セブンたちがぽかーんとする。さて、連中の人数は……セブン、若いアジア人の女、同じ程度に若いアフリカンの男、合計3人。
アフリカンが馬鹿にしたような笑いを浮かべ、セブンにたずねる。
「なんだ、コイツ? セブン、どうする?」
「まぁ待てよ。お前あれだろ、こないだ俺たちがハイダシ(※カツアゲの意)した奴らの一人だろ? なんだよ、カエシ(※復讐)にきたってわけ?」
「ご名答」
「はは、馬ッ鹿じゃねぇ? 勝てると思ってんのか」
「ピーピーうるさくさえずるな……。頭、ブチ抜くぞ」
「その前に俺がお前をブチ抜く」
「試してみるか? でも、やったらPKだ。お前は指名手配でみんなに狙われる……」
場が静かになる。そりゃそうだ、こいつらはしょせんチンピラ。マジで殺しをやる覚悟なんてない。
そして俺は知ってるぜ。セブンみたいな思考回路の人間は、他人を脅すシーンを想像できても逆はない。つまり、自分が脅される場面なんて想定外。
今ごろパニックで頭が真っ白に違いない。だったら、相手にかわって俺が話を進めよう。
「ネットのあちこちでお前らの情報を調べたよ。クラン名、グリニング・パンプキンズ(grining pumpkins)。面白半分でPKでもなんでもやる、不良の集団。
もともとはクラッシュ・シティのベースを占領するために結成されたクランで、リーダーはセブン。そう、お前だよな?」
セブンは歯をむき出しにしてニヤニヤ笑いながら言う。
「まぁそんなとこだ。にしてもずいぶん詳しく調べたな、お前もしかしてリアルじゃ探偵?」
「どうだっていいだろ」
「へいへい(笑)」
「そうやってバカみたいに笑ってんじゃねぇ! 話は終わりだ、武器を捨てろ! さもなきゃ殺す!」
ニヤニヤ笑いをやめずにセブンが答える。
「殺す? マジで?」
「マジだ」
「くだらねぇ冗談だ。やっちまったらそれこそお前が指名手配だ」
「構わねぇよ。てめーを殺せるなら後悔ゼロだ」
「ハッタリだな!」
「いいから捨てろよ。お前だけじゃねぇ、そこの二人もだ! その銀玉鉄砲みてーなガラクタ、さっさと捨てろって言ってんだよ!」
ガラクタといわれて頭にきたらしく、アフリカンが言い返してくる。
「おい、マヌケ。調子に乗るな!」
「うるせぇ! すっこんでろ、ボンクラ!」
「なんだと……!」
アフリカンが右手の銃を構えようとする。先手を取って俺が動く、アフリカンの銃を狙って撃ち、弾き飛ばす。
ゲームといえども撃たれれば衝撃を感じる。恐怖心を呼び覚ますきっかけとしちゃあ十分だ。声を震わせながらアフリカンが俺をにらみつけて言う。
「貴様……!」
「そこのねーちゃんも、セブンも、いいからさっさと捨てろよ。優しくするのはこれで終わりだぜ。次は頭に当てる」
ハイパワーを構え直す。修羅場の緊張感が場を支配していく……。
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