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第1章 下流階級で低収入の俺が本気出したら無双してしまった

第14話 金持ち爆誕 Go insane

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 首尾よくパロを終えた後、俺たちは適当なところで車を止めて中身を調べた。
 ケースの鍵? ぶっ壊したに決まってんじゃん。パロをやってりゃそんくらい朝飯前だ。

 さてさて中身はなんでしょう? 聞いて驚け、マジで現金だ。札束だ。どれくらいの量って、中民地区の一軒家なら土地つきですぐに買えるくらい。
 バック・シートのマサルが、震え声で隣席の俺にたずねる。

「これ、一体どういう種類の金なんだろうな……?」
「どうだっていいじゃん、そんなの。どうせ悪い連中の悪い金だ。政治家のワイロとかそういうの」

 イライラした雰囲気で運転席の亮太が言う。

「お喋りはそのくらいにしてよ。後始末だ」

 後始末?

「具体的には何をすんだよ?」
「まずケースの処分だ。たぶん発信機がついてる、このままじゃ追跡されるぜ」
「やべぇな」
「近くにドブ川があるから、投げ捨てよう」
「でも札束はどうする?」
「トランクにでかい袋がしまってある。それに入れよう」
「手回しいいなぁ」
「無駄口は後、後! 作業すんぞ!」



 それから数十分後、亮太の家。テーブルの上には札束が三等分で山積みにされ、俺たちはカウチに座ってそれをながめてる。俺はつぶやく。

「あるところにはあるもんだよな。金ってやつは」

 笑いながらマサルが言う。

「昔どこかで聞いたぜ。世界中の金持ち数十人の財産を合計すると、何十億人の貧乏人の財産を合計した額と同じになるって。
 いわゆる貧富の格差だよ。しかもこれ、2010年とか20年の大昔の話だぜ。2084年の今じゃ、どこまで格差が広がったかわかんねぇ」

 それを聞いた亮太は”うんざり”って顔で会話に加わる。

「じゃあ、この札束なんてチンケに思えるくらい、金持ちはまだ持ってるってわけ?」
「そうさ」
「ふん……。クソみたいな話だ。そんなに稼いで何がしたいんだか」

 何がしたいんだか。そうだ、それは重要だ。金ってのは使ってこそ意味がある、バカみたいに貯めこんでばかりじゃ無意味だぜ。俺は亮太にたずねる。

「で、お前、この金で何をするつもり?」
「もちろん車の改造だよ。いや、いっそ新しいの買おっかな。そういうお前は?」
「ゲームに課金かなぁ。マサルは?」
「俺もお前と同じだよ、課金する、課金しまくる。12号サーバで最強のプレイヤーになる!」
「そりゃすげぇ!」

 思わず俺は笑い出す。そうだよ、最強だ! これだけあれば最強になれる! すなわち、セブンを殺せる!
 復讐のチャンスが来たんだ! 今のうちに遺言状を書いとけ、クソ野郎!
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