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第1章 下流階級で低収入の俺が本気出したら無双してしまった

第10話 石トカゲとの戦い Encounter

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 ちょっとしたクイズだ。真紅の森はなぜそう呼ばれているのでしょう? 正解は、どの木も紅葉したように紅いからだ。葉っぱだけでなく枝や幹も紅い。
 そういう紅い世界の中、その時の俺たちはモンスターと戦っていた。名前はストーン・リザード、通称は石トカゲ。高さ2メートルを超すデカブツだ。

 イグアナみたいな容姿のコイツは、コンクリのように硬い皮膚を持ち、銃弾をはじいてダメージを軽減する。
 有効打となるのはソードのような接近戦の武器。したがって、今回の主役はマサキングだ。俺とアンズさんは、彼が斬りかかる隙を作るための陽動係を務める。

 俺としては納得いかない作戦だが、これ以外に手立てがないんだからしょうがない。ぐちぐち言ってないで戦闘開始だ、アンズさんが指示を出す。

「正面はあたしが引き受けるから、バーバリアンさんは右、マサキングさんは左!」

 素早く俺は「了解」と答え、愛銃のH&K MP5を握って走り出す。ほぼ同時にマサキングも「了解!」と答え、スカージを手にして走り始める。
 石トカゲの叫びが響く。

「キシャーッ!」

 アンズさんがハンドガンを撃ち始める。「おりゃあ!」。パンッ、パンッ、発砲音がするたびに石トカゲのHPが減っていく。
 だがその減少速度は実に遅い。どんなゲームにもいるよな、こういう高防御力のうぜぇ奴。

「シャァァァァッ!」

 怒りの声をうならせ、石トカゲがアンズさんへ体当たりしようとする。彼女は何メートルも後ろへ跳び退き、そばの木の後ろに隠れる。
 今度は俺の番だ。トリガーを引いて援護射撃の銃弾を浴びせる。

「ほら! こっちだ、間抜け!」
「シャーーッ!」

 石トカゲは向きを変え、今度は俺へ突っこんでくる。俺は射撃をやめて逃げ始める、石トカゲが追いかけてくる。無防備な背中がさらけだされる。
 この絶好の機会をマサキングが逃すわけがない。「よっしゃぁ!」。彼は大ジャンプで飛びこみ、スカージでめった斬りにする。

 青白い光がいくつも宙を駆け、石トカゲのHPが高速で減っていく。ほどなくしてゼロになり、奴は「シューッ……」と弱々しい声を出して消滅する。
 直後、石トカゲの体があった場所に数個のアイテムが出現する。いわゆるドロップ・アイテムだ。プラネットでは「ドロップ」と短縮して言うときが多いけどね。

 さっそくマサキングがしゃがみこみ、何が出てきたのかを確認し始める。俺は近づいて話しかける。

「おい! なんかいいのあるか?」
「グリーン・ジェムが2個。他にもいろいろ……」

 ジェム(gem)。これは、プラネットにおける強化アイテムだ。武器や防具を鍛える時に必要となる。
 大量消費するせいですぐ手持ちがなくなっちまう。だからこうして定期的に稼がにゃならん。

 課金で買うこともできるけど、しかし金がもったいない。それよりも格下のモンスターを狩って稼いだ方がお得だ、ついでに経験値も稼げて一石二鳥だしな。
 俺とマサキングがいる所にアンズさんもやってくる。「ねぇ、あたしにも見せてよ」。その瞬間、若い男の声が響き渡る。

「武器を捨てろ! すでに包囲した!」
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