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第一章 くたばれ重課金
第6話 それが課金ゲー
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俺は愛剣にしっかり力をこめて技を繰り出す。
「さっきの礼だ! 残空刃!」
剣から衝撃波が飛んでオリヒソに直撃し、悲鳴をあげさせる。
「ぐわぁぁぁーーーーーっ!」
「チャンスだ、バーミィ!」
「おう! フレイム・スピア!」
彼の手に燃え盛る巨大な槍が出現し、オリヒソに飛んで命中する。
「うぉぉぉ……っ!」
奴の頭上に小さなロウソクのアイコンが出現し、彼が火傷の状態異常にかかったことを示す。
こうなっちまえばしめたものだ。火傷すると物理攻撃の威力が下がるし、時間が経つごとにダメージも受ける。毒とデバフが同時に発生したようなもんだ。
何が何だか分からないという顔をしてやがるな、オリヒソの野郎は。
「てめぇら、どんな細工をした!」
「大して難しいことじゃねぇよ。さっきの話のちょうど逆なんだから」
バーミィが俺の話を引き継ぐ。
「ヘルヴァスってゲームは、すべての属性防御を最大にはできない。どれかを上げると反対属性の防御力が下がる。お前はフロスト・ドラゴンの冷気ブレスのダメージを減らすため、氷の属性防御を上げまくった。違うか?」
「……その通りだ。今の俺は極端に炎属性の防御力が低い……」
「後はお前に炎の技や魔法をどんどんぶちこんで終わりってわけだ。そして、戦ってる途中で体力魔力が尽きないよう、回復アイテムをたくさん持ってきてある。だから、これから思う存分てめぇをボコれるってわけだ、オリヒソさんよ?」
「そうかい……」
奴は戦士向けのチンケな回復魔法で体をいやし始める。そうしながらあぁだこうだと言う。
「やっぱヘルヴァスはクソゲーだな! 重課金のこの俺が微課金のお前らに負けるなんざ、絶対にあっちゃならねぇ事態……。それが起きるんだから、クソゲーもクソゲー、クソの王様だ!」
俺が答える。
「課金だ課金だうるせぇよ、クソッタレ! 金がなきゃろくにゲームできねぇのか!」
「うるせぇのはてめぇらの方だろうが! いいか、金さえありゃあ何でもできるのが課金ゲーってやつだ。金でどこまでも強くなれて、弱い奴をぶちのめせるのが課金ゲーだ!」
「単なる弱いものイジメじゃねぇか」
「俺は金を払ってる、ヘルヴァスの運営にとってお客様、神様なんだ! 考えてみろ、神が人間に負けたりするか? ありえねぇだろうが!」
「これは現実じゃねぇ、ゲームだ。知恵とテクニックで格上を倒す、人間が神に勝つ。そういうことが許されてる」
俺の意見に続いてバーミィも自分の意見を言う。
「そもそもゲームってのはそういうもんだろが。あれこれ頭ひねって作戦を考え、強敵を倒す。それが面白いからやるんだろ」
「世の中には『かまいたちの夜』みたいなゲームもある」
「あれだって、ストーリーの謎を解くためにいろいろ考えるだろ?」
「クソッ……」
「まぁゲームつってもいろいろだからな、お前が言いたいこともわかる。とにかくな、俺が言いたいのはだ、金さえ出しゃあ勝つなんてもんはゲームじゃねぇよ、別の何かだってことだ」
「なんだよてめぇら、俺にそうやって演説ぶちこむために来やがったのか?」
「いや、復讐さ……」
どうやらお喋りを終わらせる時間らしいな。どれ、始末をつけるとしようか! 剣を構えて俺は言う。
「かかってこいよ、オリヒソ! ぶっつぶし、ぶちのめし、ぶっ飛ばしてやる!」
「なめた口きいてんじゃねぇ!」
奴が向かってくる。技を繰り出してくる、「残空刃!」、俺はいくらかのダメージを受ける。
「痛ってぇな、てめぇ!」
「属性に関する装備をすべて外した。これでお前らにダメージが入る!」
「そいつはおめでとう。だがよ、前と比べりゃカス同然だな?」
「ダメージ・ゼロよりはマシだ」
「そりゃそうだ。まぁなんだっていいぜ、ちょっと話が変わったぐらいでお前の運命は変わらないんだから」
「ほざけ!」
「来るぞ、バーミィ!」
覚悟はとっくにできてる、後は勝つだけ!
「さっきの礼だ! 残空刃!」
剣から衝撃波が飛んでオリヒソに直撃し、悲鳴をあげさせる。
「ぐわぁぁぁーーーーーっ!」
「チャンスだ、バーミィ!」
「おう! フレイム・スピア!」
彼の手に燃え盛る巨大な槍が出現し、オリヒソに飛んで命中する。
「うぉぉぉ……っ!」
奴の頭上に小さなロウソクのアイコンが出現し、彼が火傷の状態異常にかかったことを示す。
こうなっちまえばしめたものだ。火傷すると物理攻撃の威力が下がるし、時間が経つごとにダメージも受ける。毒とデバフが同時に発生したようなもんだ。
何が何だか分からないという顔をしてやがるな、オリヒソの野郎は。
「てめぇら、どんな細工をした!」
「大して難しいことじゃねぇよ。さっきの話のちょうど逆なんだから」
バーミィが俺の話を引き継ぐ。
「ヘルヴァスってゲームは、すべての属性防御を最大にはできない。どれかを上げると反対属性の防御力が下がる。お前はフロスト・ドラゴンの冷気ブレスのダメージを減らすため、氷の属性防御を上げまくった。違うか?」
「……その通りだ。今の俺は極端に炎属性の防御力が低い……」
「後はお前に炎の技や魔法をどんどんぶちこんで終わりってわけだ。そして、戦ってる途中で体力魔力が尽きないよう、回復アイテムをたくさん持ってきてある。だから、これから思う存分てめぇをボコれるってわけだ、オリヒソさんよ?」
「そうかい……」
奴は戦士向けのチンケな回復魔法で体をいやし始める。そうしながらあぁだこうだと言う。
「やっぱヘルヴァスはクソゲーだな! 重課金のこの俺が微課金のお前らに負けるなんざ、絶対にあっちゃならねぇ事態……。それが起きるんだから、クソゲーもクソゲー、クソの王様だ!」
俺が答える。
「課金だ課金だうるせぇよ、クソッタレ! 金がなきゃろくにゲームできねぇのか!」
「うるせぇのはてめぇらの方だろうが! いいか、金さえありゃあ何でもできるのが課金ゲーってやつだ。金でどこまでも強くなれて、弱い奴をぶちのめせるのが課金ゲーだ!」
「単なる弱いものイジメじゃねぇか」
「俺は金を払ってる、ヘルヴァスの運営にとってお客様、神様なんだ! 考えてみろ、神が人間に負けたりするか? ありえねぇだろうが!」
「これは現実じゃねぇ、ゲームだ。知恵とテクニックで格上を倒す、人間が神に勝つ。そういうことが許されてる」
俺の意見に続いてバーミィも自分の意見を言う。
「そもそもゲームってのはそういうもんだろが。あれこれ頭ひねって作戦を考え、強敵を倒す。それが面白いからやるんだろ」
「世の中には『かまいたちの夜』みたいなゲームもある」
「あれだって、ストーリーの謎を解くためにいろいろ考えるだろ?」
「クソッ……」
「まぁゲームつってもいろいろだからな、お前が言いたいこともわかる。とにかくな、俺が言いたいのはだ、金さえ出しゃあ勝つなんてもんはゲームじゃねぇよ、別の何かだってことだ」
「なんだよてめぇら、俺にそうやって演説ぶちこむために来やがったのか?」
「いや、復讐さ……」
どうやらお喋りを終わらせる時間らしいな。どれ、始末をつけるとしようか! 剣を構えて俺は言う。
「かかってこいよ、オリヒソ! ぶっつぶし、ぶちのめし、ぶっ飛ばしてやる!」
「なめた口きいてんじゃねぇ!」
奴が向かってくる。技を繰り出してくる、「残空刃!」、俺はいくらかのダメージを受ける。
「痛ってぇな、てめぇ!」
「属性に関する装備をすべて外した。これでお前らにダメージが入る!」
「そいつはおめでとう。だがよ、前と比べりゃカス同然だな?」
「ダメージ・ゼロよりはマシだ」
「そりゃそうだ。まぁなんだっていいぜ、ちょっと話が変わったぐらいでお前の運命は変わらないんだから」
「ほざけ!」
「来るぞ、バーミィ!」
覚悟はとっくにできてる、後は勝つだけ!
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