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終章 苦しみを突き抜けた先にあるモノ
未来に向かって突き進め!
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期末試験の日、放課後。試合賭博のチケット売り場。
虎太郎、ジム、スライ、リンの4人が話をしている。
スライの手には大量の札束が握られていて、彼は嬉しそうに喋る。
「なぁ、おい、見ろよ! はは、あっははははは! 見ろよ、ほら、すげぇ!」
スライと同じように札束を手にしているジムも、興奮気味に言う。
「落ち着け、落ち着くんだ、スライ。いや、俺がまず落ち着くべきなんだ。
しかし、これほどの金を手にすると、正直……実感がわかないな」
リンがニコニコしながら言う。
「なぁに、時間が経って冷静になれば、実感がわくって。
それにしても、本当、きわどい勝負だった。
トラタロー、無茶するんだもの。ねぇ、最後の急加速ってなんだったの?」
「俺のとっておき、さ。ほら、ずっと前に言っただろ。
”俺は一気に加速しても耐えられる、意識を失わずに動ける”って。
あのタイミングで加速すれば、間違いなく勝てると思ったんだ」
「間違いなくって、あんた、結果的にはダメダメでしょ。
まず、威力がありすぎ。下手すれば相手を死なせてた。
それに、きちんと狙えなかったでしょ。
あたしと特訓した時は、ちゃんとコクピットに当てられた。
でも、いきなりあんなことしたから外れちゃったじゃない。
おかげで引き分けになっちゃってさ。まったく……」
「はは、悪りぃ、悪りぃ。でも、幸い誰も死ななかったんだしさ。
俺は進級が決まったし、みんなは儲かったし。
これでいいじゃないか、なっ? ジム、スライ」
2人は返事する。「あぁ、オール・ライトだ」「問題なし!」
虎太郎は話を続ける。
「今度のことで、少し自信がついたよ。リン、ありがとうな。鍛えてくれて」
「な、なによ、いきなり……」
「ジムもスライもありがとう、俺に付き合ってくれて。マジ、感謝するぜ。
さて、それじゃあ飯でも食いに行こうぜ! 今日は俺のおごりだ!」
ジムとスライが喋る。
「なら、俺はステーキを食べるとするか」
「俺はどうすっかなぁ~、いろいろ食いたいモンがあるんだけど……」
虎太郎。
「レストランに着いてから決めればいいさ。ほら、さっさと行こうぜ」
虎太郎は歩き出そうとする。それをリンが呼び止める。
「ちょっと待った! ねぇ、虎太郎。その、さ……」
「なんだよ?」
「あの、あたしとあんたの取引のことなんだけど……」
「あぁ。そういや、そうだったな……」
リンは顔を赤くしながら喋る。
「その、あんた、まだまだ弱いしさ……。訓練するパートナーが必要でしょ?
取引は終わりとしても、あたしとあんたの関係、まだ続けない?」
「えぇ……。またこき使われんのかよ」
「いや、もうそんなことしないから!
そうじゃなくて、なんていうか、つまりね……。
お互い、友だち同士っていうか、なんていうか……」
スライがニヤッと笑いながら虎太郎に言う。
「面倒見てもらえよ、タイガー。お前には、リンが必要だと思うぜ」
ジムも笑いながら言う。
「スライの言う通りだ。タイガー、リンとの関係、続けたほうがいい」
虎太郎は困惑しながら喋る。
「勘弁してくれよ……。
こいつ口うるさいし、乱暴だし、人を振り回すし、もう疲れたよ。
どうせ面倒見てもらうなら、今度はもっと女らしい……」
リンの顔が瞬間的に不機嫌になる。彼女は静かに怒りながら話す。
「もっと女らしい……? それって、どういうことよ……!」
「あっ、しまっ……」
「あたしが女らしくないって言うわけ!?」
「いや、まぁちょっとガサツなとこはあるけど……」
「ガサツ! ガサツって……馬鹿ぁ-----!!!」
「やべぇ!」
虎太郎はくるっと背を向け、学校の外へ向かって逃げだす。
同時に、失言の制裁を加えるべく、リンが走って追いかけだす。
ジムとスライは、そんな2人の姿を笑いながら見ている。
夕陽が4人の姿を照らしている。
さぁ、走り出そう。未来に向かって突き進もう。
行く手をさえぎる敵や障害物を打ち倒し、勝利の栄光をつかもう。
I wish you well all the best!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
虎太郎、ジム、スライ、リンの4人が話をしている。
スライの手には大量の札束が握られていて、彼は嬉しそうに喋る。
「なぁ、おい、見ろよ! はは、あっははははは! 見ろよ、ほら、すげぇ!」
スライと同じように札束を手にしているジムも、興奮気味に言う。
「落ち着け、落ち着くんだ、スライ。いや、俺がまず落ち着くべきなんだ。
しかし、これほどの金を手にすると、正直……実感がわかないな」
リンがニコニコしながら言う。
「なぁに、時間が経って冷静になれば、実感がわくって。
それにしても、本当、きわどい勝負だった。
トラタロー、無茶するんだもの。ねぇ、最後の急加速ってなんだったの?」
「俺のとっておき、さ。ほら、ずっと前に言っただろ。
”俺は一気に加速しても耐えられる、意識を失わずに動ける”って。
あのタイミングで加速すれば、間違いなく勝てると思ったんだ」
「間違いなくって、あんた、結果的にはダメダメでしょ。
まず、威力がありすぎ。下手すれば相手を死なせてた。
それに、きちんと狙えなかったでしょ。
あたしと特訓した時は、ちゃんとコクピットに当てられた。
でも、いきなりあんなことしたから外れちゃったじゃない。
おかげで引き分けになっちゃってさ。まったく……」
「はは、悪りぃ、悪りぃ。でも、幸い誰も死ななかったんだしさ。
俺は進級が決まったし、みんなは儲かったし。
これでいいじゃないか、なっ? ジム、スライ」
2人は返事する。「あぁ、オール・ライトだ」「問題なし!」
虎太郎は話を続ける。
「今度のことで、少し自信がついたよ。リン、ありがとうな。鍛えてくれて」
「な、なによ、いきなり……」
「ジムもスライもありがとう、俺に付き合ってくれて。マジ、感謝するぜ。
さて、それじゃあ飯でも食いに行こうぜ! 今日は俺のおごりだ!」
ジムとスライが喋る。
「なら、俺はステーキを食べるとするか」
「俺はどうすっかなぁ~、いろいろ食いたいモンがあるんだけど……」
虎太郎。
「レストランに着いてから決めればいいさ。ほら、さっさと行こうぜ」
虎太郎は歩き出そうとする。それをリンが呼び止める。
「ちょっと待った! ねぇ、虎太郎。その、さ……」
「なんだよ?」
「あの、あたしとあんたの取引のことなんだけど……」
「あぁ。そういや、そうだったな……」
リンは顔を赤くしながら喋る。
「その、あんた、まだまだ弱いしさ……。訓練するパートナーが必要でしょ?
取引は終わりとしても、あたしとあんたの関係、まだ続けない?」
「えぇ……。またこき使われんのかよ」
「いや、もうそんなことしないから!
そうじゃなくて、なんていうか、つまりね……。
お互い、友だち同士っていうか、なんていうか……」
スライがニヤッと笑いながら虎太郎に言う。
「面倒見てもらえよ、タイガー。お前には、リンが必要だと思うぜ」
ジムも笑いながら言う。
「スライの言う通りだ。タイガー、リンとの関係、続けたほうがいい」
虎太郎は困惑しながら喋る。
「勘弁してくれよ……。
こいつ口うるさいし、乱暴だし、人を振り回すし、もう疲れたよ。
どうせ面倒見てもらうなら、今度はもっと女らしい……」
リンの顔が瞬間的に不機嫌になる。彼女は静かに怒りながら話す。
「もっと女らしい……? それって、どういうことよ……!」
「あっ、しまっ……」
「あたしが女らしくないって言うわけ!?」
「いや、まぁちょっとガサツなとこはあるけど……」
「ガサツ! ガサツって……馬鹿ぁ-----!!!」
「やべぇ!」
虎太郎はくるっと背を向け、学校の外へ向かって逃げだす。
同時に、失言の制裁を加えるべく、リンが走って追いかけだす。
ジムとスライは、そんな2人の姿を笑いながら見ている。
夕陽が4人の姿を照らしている。
さぁ、走り出そう。未来に向かって突き進もう。
行く手をさえぎる敵や障害物を打ち倒し、勝利の栄光をつかもう。
I wish you well all the best!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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