5 / 27
第1章 あの日の君を取り戻せ
虎/タイガー
しおりを挟む
中間試験終了後、同日の放課後。学校内にあるカフェテリア。
あるテーブルの周りに、虎太郎と2人の男子生徒、計3人が座っている。
2人の男子生徒とは、試験中に声を出した2人だ。
黒人で背が高いのが特徴のジム、そして、白人で背が低いのが特徴のスライ。
彼ら3人は、今、ハンバーガーやコーラを飲み食いしながら喋っている。
ジムが虎太郎に向って話しかける。
「で、今後はどうするんだ、お前?」
「どうって……」
「学校に残りたいなら、やるべきはただ1つ。
最後の期末試験に勝つ。なるほど、単純明快。
だが問題は、どうやってそれを達成するかだ」
「そりゃ、努力しかないだろ」
スライが口を挟む。
「お前よぉ、いつも ”努力” ”努力” って言うけどよぉ……。
それが結果につながったこと、どれだけあるんだよ?」
「少なくとも、2回前の中間試験じゃ結果になった。
見てただろ、俺は勝ったぜ」
「ギリギリのところで、な。
ぶっちゃけあれはまぐれだろ、おい。
最後のミサイルが直撃しなかったら負けてたぜ」
「うるさいな、昔から言うだろ、”運も実力のうち”って」
「運がなくても勝てるのが、本当に実力ある奴なんだぜ」
「なんだよ……」
虎太郎は手元にあるハンバーガーをもぐもぐと食べきる。
その様子を見ながらジムが言う。
「トラタロー、あだ名は”タイガー”。
お前の国じゃ、トラって言葉はタイガーを意味する。
そしていつだったか、お前は言ったなぁ。
”俺はタイガーだ、タイガーみたいな強いパイロットになるんだ、
だから俺のことはタイガーって呼んでくれ” って」
「なんだよいきなり、そんな話、こんなタイミングで……」
「別に傷つけるつもりじゃないが、はっきり言うぜ。
お前はぜんぜんタイガーじゃない。これじゃあラビット(兎)だ」
「おい、ジム……!」
「落ち着け、怒るな、もう一度言うが、お間を傷つけるつもりはない。
ただなぁ、お前はちょっと、タイガーを名乗るには弱すぎる。
このままじゃ、みんなの笑い者で終わっちまう」
ジムに続けてスライが喋る。
「いや、とっくに笑い者になってるじゃんよ。
お前だって知ってんだろ、陰じゃあみんな、お前を馬鹿にしてる。
クレイグの野郎なんか、お前に挨拶しようともしねぇ」
苦々しい表情が虎太郎の顔に浮かぶ。彼はいくぶん強い語調で言う。
「そんなの分かってるよ、十分すぎるぐらい」
ジムの発言。
「とにかく、今日は解散しよう。
俺も含めてみんな疲れてる、休憩が必要だ。
休めばいい考えも浮かぶさ、タイガー」
「……わかったよ、そうしよう……」
3人は荷物をまとめ、食事のゴミを片付ける。
カフェテリアの外に出て、それぞれ別の方向へと歩いていく。
虎太郎は、練習用のヘリエンが置いてある格納庫へ向かって歩き出す。
そんな彼の姿を見つけて、そっと後を尾けていく、黒い長髪の女子生徒が1人。
あるテーブルの周りに、虎太郎と2人の男子生徒、計3人が座っている。
2人の男子生徒とは、試験中に声を出した2人だ。
黒人で背が高いのが特徴のジム、そして、白人で背が低いのが特徴のスライ。
彼ら3人は、今、ハンバーガーやコーラを飲み食いしながら喋っている。
ジムが虎太郎に向って話しかける。
「で、今後はどうするんだ、お前?」
「どうって……」
「学校に残りたいなら、やるべきはただ1つ。
最後の期末試験に勝つ。なるほど、単純明快。
だが問題は、どうやってそれを達成するかだ」
「そりゃ、努力しかないだろ」
スライが口を挟む。
「お前よぉ、いつも ”努力” ”努力” って言うけどよぉ……。
それが結果につながったこと、どれだけあるんだよ?」
「少なくとも、2回前の中間試験じゃ結果になった。
見てただろ、俺は勝ったぜ」
「ギリギリのところで、な。
ぶっちゃけあれはまぐれだろ、おい。
最後のミサイルが直撃しなかったら負けてたぜ」
「うるさいな、昔から言うだろ、”運も実力のうち”って」
「運がなくても勝てるのが、本当に実力ある奴なんだぜ」
「なんだよ……」
虎太郎は手元にあるハンバーガーをもぐもぐと食べきる。
その様子を見ながらジムが言う。
「トラタロー、あだ名は”タイガー”。
お前の国じゃ、トラって言葉はタイガーを意味する。
そしていつだったか、お前は言ったなぁ。
”俺はタイガーだ、タイガーみたいな強いパイロットになるんだ、
だから俺のことはタイガーって呼んでくれ” って」
「なんだよいきなり、そんな話、こんなタイミングで……」
「別に傷つけるつもりじゃないが、はっきり言うぜ。
お前はぜんぜんタイガーじゃない。これじゃあラビット(兎)だ」
「おい、ジム……!」
「落ち着け、怒るな、もう一度言うが、お間を傷つけるつもりはない。
ただなぁ、お前はちょっと、タイガーを名乗るには弱すぎる。
このままじゃ、みんなの笑い者で終わっちまう」
ジムに続けてスライが喋る。
「いや、とっくに笑い者になってるじゃんよ。
お前だって知ってんだろ、陰じゃあみんな、お前を馬鹿にしてる。
クレイグの野郎なんか、お前に挨拶しようともしねぇ」
苦々しい表情が虎太郎の顔に浮かぶ。彼はいくぶん強い語調で言う。
「そんなの分かってるよ、十分すぎるぐらい」
ジムの発言。
「とにかく、今日は解散しよう。
俺も含めてみんな疲れてる、休憩が必要だ。
休めばいい考えも浮かぶさ、タイガー」
「……わかったよ、そうしよう……」
3人は荷物をまとめ、食事のゴミを片付ける。
カフェテリアの外に出て、それぞれ別の方向へと歩いていく。
虎太郎は、練習用のヘリエンが置いてある格納庫へ向かって歩き出す。
そんな彼の姿を見つけて、そっと後を尾けていく、黒い長髪の女子生徒が1人。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
【新編】オン・ユア・マーク
笑里
青春
東京から祖母の住む瀬戸内を望む尾道の高校へ進学した風花と、地元出身の美織、孝太の青春物語です。
風花には何やら誰にも言えない秘密があるようで。
頑なな風花の心。親友となった美織と孝太のおかげで、風花は再びスタートラインに立つ勇気を持ち始めます。
※文中の本来の広島弁は、できるだけわかりやすい言葉に変換してます♪
【完結】ぽっちゃり好きの望まない青春
mazecco
青春
◆◆◆第6回ライト文芸大賞 奨励賞受賞作◆◆◆
人ってさ、テンプレから外れた人を仕分けるのが好きだよね。
イケメンとか、金持ちとか、デブとか、なんとかかんとか。
そんなものに俺はもう振り回されたくないから、友だちなんかいらないって思ってる。
俺じゃなくて俺の顔と財布ばっかり見て喋るヤツらと話してると虚しくなってくるんだもん。
誰もほんとの俺のことなんか見てないんだから。
どうせみんな、俺がぽっちゃり好きの陰キャだって知ったら離れていくに決まってる。
そう思ってたのに……
どうしてみんな俺を放っておいてくれないんだよ!
※ラブコメ風ですがこの小説は友情物語です※
イーペン・サンサーイのように
黒豆ぷりん
青春
生まれたときから間が悪い真野さくら。引っ込み思案で目立たないように生きてきたけれど、中学校で出会った秋月楓との出会いで、新たな自分と向き合って行こうとするお話。
黄昏は悲しき堕天使達のシュプール
Mr.M
青春
『ほろ苦い青春と淡い初恋の思い出は・・
黄昏色に染まる校庭で沈みゆく太陽と共に
儚くも露と消えていく』
ある朝、
目を覚ますとそこは二十年前の世界だった。
小学校六年生に戻った俺を取り巻く
懐かしい顔ぶれ。
優しい先生。
いじめっ子のグループ。
クラスで一番美しい少女。
そして。
密かに想い続けていた初恋の少女。
この世界は嘘と欺瞞に満ちている。
愛を語るには幼過ぎる少女達と
愛を語るには汚れ過ぎた大人。
少女は天使の様な微笑みで嘘を吐き、
大人は平然と他人を騙す。
ある時、
俺は隣のクラスの一人の少女の名前を思い出した。
そしてそれは大きな謎と後悔を俺に残した。
夕日に少女の涙が落ちる時、
俺は彼女達の笑顔と
失われた真実を
取り戻すことができるのだろうか。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
野球の王子様3 VS習志野・練習試合
ちんぽまんこのお年頃
青春
聖ミカエル青春学園野球部は習志野に遠征。昨年度の県内覇者との練習試合に臨むはずが、次々と予定外の展開に。相手方のマネージャーが嫌味な奴で・・・・愛菜と取っ組み合い?試合出来るの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる