未来に向かって突き進め！

夏野かろ

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第１章　あの日の君を取り戻せ

戦闘！

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ヘリエンの特徴の１つは、多彩な武器を使用できることだ。
代表的な武器としては、銃、剣、ミサイル、ロケット弾などが挙げられる。
また、肩に「CIWSシウス」と呼ばれる、ミサイル等への迎撃装置を搭載したり、
特殊レーダー、電波妨害装置などを装備することもできる。
最後に、ヘリエンには「ディフレクター」と呼ばれる機能が備わっており、
これを使っている間は、透明なバリアーによって銃弾を弾くことが可能となる。
ディフレクターには大きな欠陥もあるが、今はそれについて語るべき時ではない。
とにかく、こういった種々の武装が、ヘリエンの強さの秘密だ。

虎太郎が搭乗しているヘリエンの武装は、右手と左手にそれぞれマシンガン、
右の太ももに剣、両肩にはCIWSを搭載、背部に小型ミサイル……というものだ。
そして敵機のヘリエンも、これと同じような武装をしているように見える。
１つ違うのは、敵機は左肩のみにCIWSを搭載し、
右肩には６連装のロケット弾ポッドを搭載している点だろうか。
とはいえ、この程度のことは大きな問題ではない。
虎太郎はフット・ペダルを踏んで機体を動かす、戦いを始める。

「いくぞ！」

ヘリエンの足に装着されている小型車輪がうなり、機体を前進させる。
まるで車が地面を走る時のように、ヘリエンは戦場を疾走する。
そのまま、虎太郎は照準を合わせて引き金を引く。

「シュート！」

両手のマシンガンがうなりをあげる。いくつもの弾丸が敵機へ殺到する。
敵機の反応。

「……」

敵機は素早く後退し、虎太郎の攻撃をよける。
その動きを続けながら反撃、マシンガンから弾丸を放つ。
いくつかの弾丸が虎太郎のヘリエンをかすめる。

「クソッ、このっ……！」

虎太郎は操縦桿を動かす。
スキー選手がスラロームで動く時のように、
左へ右へうねりながらヘリエンは前進する。
いわゆるスラローム機動、敵機へ近づく時の基本的な動き方、
彼はそれを忠実に実行し続ける。
激しく揺れる視界、ブレる照準、それでも彼は必死に射撃を試みる。
無数の弾丸が敵機を襲う。

「……」

数発の弾丸が敵機のボディに命中する、だが、大きなダメージにはならない。
シミュレーター・ルーム内、中継ディスプレイで戦いを見ている生徒たちの１人、
背の高い黒人の男子が叫ぶ。

「来るぞ、ミサイルが！」

敵機の左右から合計４つ、小型ミサイルが発射される。
同時に、敵機は後退をやめて左へ動き始める。
虎太郎はスラローム機動をやめ、右へ動きながら叫ぶ。

「CIWS、撃ち落とせッ！」

彼のヘリエンの両肩にあるCIWSが、大量の弾丸をミサイルへ浴びせる。
次々に撃ち落とされるミサイル、だが、
１つのミサイルがCIWSの攻撃から生き延びる。
そのミサイルはうなりをあげ、虎太郎のヘリエンに直撃する。
被弾の衝撃が虎太郎を襲う。

「ぐっ……！」

一瞬、虎太郎のヘリエンの動きが鈍る。
その隙を逃さず、敵機は動きを中断して狙いを定め、猛射撃を実行。
何発もの弾丸が虎太郎のヘリエンに命中、機体各部を痛めつける。
虎太郎は怒鳴る。

「ディフレクター展開！」

音声命令にヘリエンのコンピュータが反応し、
透明なバリアーを機体前面に展開する。
バリアーは敵機からの弾丸をすべて弾き飛ばす、この安全な時間を使い、
虎太郎は機体の姿勢を立て直す。
そのまま素早く敵機の姿を探す、発見、ヘリエンの向きを変えて走らせる。

シミュレーター・ルーム内の生徒、今度は背の低い白人の男子が叫ぶ。

「さっさとディフレクターを切るんだよ、早く！」

ディフレクターの大きな欠陥とは、
相手からの銃弾を弾くかわりに、こちらからの銃弾も弾いてしまうこと。
ディフレクター展開中は、こちらからの射撃は不可能になってしまう。
もしこちらから射撃するなら、ディフレクターの展開を終わらせるしかない。
それを俗に、「ディフレクターを切る」と表現する。

虎太郎は素早く機械を操作し、ディフレクターを切る。
直後、両手のマシンガンを構えて乱射、捨て身の突撃を仕掛ける。

だが、虎太郎のヘリエンはダメージを受けすぎている……。

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