19 / 36
第四話「こんなゾンビだらけの世界なんてもう沢山だ!」と彼はわたしに銃口を向けた
Chapter 7、ゲーム・オーバー?
しおりを挟む
ーーまさに一貫の終わり、ゲームオーバーだと思った刹那ーー
ドウッ、と背後から音がして、振り向くとベランダの窓から侵入してきたらしいゾンビが一体倒れていた。
「ここはもう駄目だ、出よう」
短く怜が告げ、わたしは膝から力が抜けて崩れそうになるのをすんでで堪える。
「出るったって、出入り口は隙間なくゾンビが塞いでいると思うけど、どうするの?」
廊下に出ながらわたしは質問した。
「ガレージに俺のジムニーがある」
そこで遅まきながら、銃声を聞きつけた圭が階段を駆け降りてくる。
「いったい、何事?」
「説明は脱出してからだ」
圭への説明を先送りにした怜は、速やかに三階に銃と弾薬一式を取りに行くと、先行してガレージへと降りていった。
「圭は車の後部座席に乗って、晶は手動で車庫のシャッターを開くから援護して」
先ほどまでとは打って変わった冷静な態度で怜が指示を下す。
「わかった」
「いくぞ」
掛け声とともに怜がワイヤーを引き、開かれたシャッターから、どわっ、とゾンビがガレージ内に殺到してきた。
わたしは先頭のゾンビから順番に、確実に頭を吹き飛ばしていく。
「乗って!」
怜が鋭い声で促した。
助手席に飛び乗ると、先に運転席についていた怜が思い切りアクセルを踏みこむ。
エンジンが唸り、屋内ガレージを出たジムニーはゾンビを跳ね飛ばしながら、急カーブして道に入っていく。
車高が高い車だからどうにか止まらずに済んでいるけど、それでもたぶんスピードをゆるめたらお仕舞いだろう。
怜にもそれがわかっているらしく、ひたすらアクセルを踏みこみ続けていた。
びちびち、と車の下からとトマトかスイカがつぶれたような嫌な音がする。
ワイパーは全開だった。
幸運にもゾンビの過密地帯を抜けることに成功した車は、300mぐらい走行したところで、とうとうタイヤにゾンビが絡まりすぎたのか停止する。
偶然にも怜と出会ったカメハドラッグストア前だった。
「ここからは足で行かないとね」
ドアに手をかけてわたしが言うと、暗い表情で怜はかぶりを振った。
「俺は行けない」
「え?」
ドウッ、と背後から音がして、振り向くとベランダの窓から侵入してきたらしいゾンビが一体倒れていた。
「ここはもう駄目だ、出よう」
短く怜が告げ、わたしは膝から力が抜けて崩れそうになるのをすんでで堪える。
「出るったって、出入り口は隙間なくゾンビが塞いでいると思うけど、どうするの?」
廊下に出ながらわたしは質問した。
「ガレージに俺のジムニーがある」
そこで遅まきながら、銃声を聞きつけた圭が階段を駆け降りてくる。
「いったい、何事?」
「説明は脱出してからだ」
圭への説明を先送りにした怜は、速やかに三階に銃と弾薬一式を取りに行くと、先行してガレージへと降りていった。
「圭は車の後部座席に乗って、晶は手動で車庫のシャッターを開くから援護して」
先ほどまでとは打って変わった冷静な態度で怜が指示を下す。
「わかった」
「いくぞ」
掛け声とともに怜がワイヤーを引き、開かれたシャッターから、どわっ、とゾンビがガレージ内に殺到してきた。
わたしは先頭のゾンビから順番に、確実に頭を吹き飛ばしていく。
「乗って!」
怜が鋭い声で促した。
助手席に飛び乗ると、先に運転席についていた怜が思い切りアクセルを踏みこむ。
エンジンが唸り、屋内ガレージを出たジムニーはゾンビを跳ね飛ばしながら、急カーブして道に入っていく。
車高が高い車だからどうにか止まらずに済んでいるけど、それでもたぶんスピードをゆるめたらお仕舞いだろう。
怜にもそれがわかっているらしく、ひたすらアクセルを踏みこみ続けていた。
びちびち、と車の下からとトマトかスイカがつぶれたような嫌な音がする。
ワイパーは全開だった。
幸運にもゾンビの過密地帯を抜けることに成功した車は、300mぐらい走行したところで、とうとうタイヤにゾンビが絡まりすぎたのか停止する。
偶然にも怜と出会ったカメハドラッグストア前だった。
「ここからは足で行かないとね」
ドアに手をかけてわたしが言うと、暗い表情で怜はかぶりを振った。
「俺は行けない」
「え?」
0
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説
魔族に育てられた聖女と呪われし召喚勇者【完結】
一色孝太郎
ファンタジー
魔族の薬師グランに育てられた聖女の力を持つ人族の少女ホリーは育ての祖父の遺志を継ぎ、苦しむ人々を救う薬師として生きていくことを決意する。懸命に生きる彼女の周囲には、彼女を慕う人が次々と集まってくる。兄のような幼馴染、イケメンな魔族の王子様、さらには異世界から召喚された勇者まで。やがて世界の運命をも左右する陰謀に巻き込まれた彼女は彼らと力を合わせ、世界を守るべく立ち向かうこととなる。果たして彼女の運命やいかに! そして彼女の周囲で繰り広げられる恋の大騒動の行方は……?
※本作は全 181 話、【完結保証】となります
※カバー画像の著作権は DESIGNALIKIE 様にあります
『忌み地・元霧原村の怪』
潮ノ海月
ホラー
とある年の五月の中旬、都会から来た転校生、神代渉が霧野川高校の教室に現れる。彼の洗練された姿に女子たちは興味を示し、一部の男子は不満を抱く。その中、主人公の森月和也は、渉の涼やかな笑顔の裏に冷たさを感じ、彼に違和感を感じた。
渉の編入から一週間が過ぎ、男子達も次第に渉を受け入れ、和也の友人の野風雄二も渉の魅力に引き込まれ、彼の友人となった。転校生騒ぎが終息しかけたある日の学校の昼休み、女子二人が『こっくりさん』で遊び始め、突然の悲鳴が教室に響く。そしてその翌日、同じクラスの女子、清水莉子が体調不良で休み、『こっくりさん』の祟りという噂が学校中に広まっていく。その次の日の放課後、莉子を心配したと斉藤凪紗は、彼女の友人である和也、雄二、凪沙、葵、渉の五人と共に莉子の家を訪れる。すると莉子の家は重苦しい雰囲気に包まれ、莉子の母親は憔悴した姿に変わっていた。その異変に気づいた渉と和也が莉子の部屋へ入ると、彼女は霊障によって変わり果てた姿に。しかし、彼女の霊障は始まりでしかなく、その後に起こる霊障、怪異。そして元霧原村に古くから伝わる因習、忌み地にまつわる闇、恐怖の怪異へと続く序章に過ぎなかった。
《主人公は月森和也(語り部)となります。転校生の神代渉はバディ訳の男子です》
【投稿開始後に1話と2話を改稿し、1話にまとめています。(内容の筋は変わっていません)】
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうやら世界が滅亡したようだけれど、想定の範囲内です。
化茶ぬき
ホラー
十月十四日
地球へと降り注いだ流星群によって人類は滅亡したかと思われた――
しかし、翌日にベッドから起き上がった戎崎零士の目に映ったのは流星群が落ちたとは思えないいつも通りの光景だった。
だが、それ以外の何もかもが違っていた。
獣のように襲い掛かってくる人間
なぜ自分が生き残ったのか
ゾンビ化した原因はなんなのか
世界がゾンビに侵されることを望んでいた戎崎零士が
世界に起きた原因を探るために動き出す――

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
不労の家
千年砂漠
ホラー
高校を卒業したばかりの隆志は母を急な病で亡くした数日後、訳も分からず母に連れられて夜逃げして以来八年間全く会わなかった父も亡くし、父の実家の世久家を継ぐことになった。
世久家はかなりの資産家で、古くから続く名家だったが、当主には絶対守らなければならない奇妙なしきたりがあった。
それは「一生働かないこと」。
世久の家には富をもたらす神が住んでおり、その神との約束で代々の世久家の当主は働かずに暮らしていた。
初めは戸惑っていた隆志も裕福に暮らせる楽しさを覚え、昔一年だけこの土地に住んでいたときの同級生と遊び回っていたが、やがて恐ろしい出来事が隆志の周りで起こり始める。
経済的に豊かであっても、心まで満たされるとは限らない。
望んでもいないのに生まれたときから背負わされた宿命に、流されるか。抗うか。
彼の最後の選択を見て欲しい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる