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第四話「こんなゾンビだらけの世界なんてもう沢山だ!」と彼はわたしに銃口を向けた
Chapter 7、ゲーム・オーバー?
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ーーまさに一貫の終わり、ゲームオーバーだと思った刹那ーー
ドウッ、と背後から音がして、振り向くとベランダの窓から侵入してきたらしいゾンビが一体倒れていた。
「ここはもう駄目だ、出よう」
短く怜が告げ、わたしは膝から力が抜けて崩れそうになるのをすんでで堪える。
「出るったって、出入り口は隙間なくゾンビが塞いでいると思うけど、どうするの?」
廊下に出ながらわたしは質問した。
「ガレージに俺のジムニーがある」
そこで遅まきながら、銃声を聞きつけた圭が階段を駆け降りてくる。
「いったい、何事?」
「説明は脱出してからだ」
圭への説明を先送りにした怜は、速やかに三階に銃と弾薬一式を取りに行くと、先行してガレージへと降りていった。
「圭は車の後部座席に乗って、晶は手動で車庫のシャッターを開くから援護して」
先ほどまでとは打って変わった冷静な態度で怜が指示を下す。
「わかった」
「いくぞ」
掛け声とともに怜がワイヤーを引き、開かれたシャッターから、どわっ、とゾンビがガレージ内に殺到してきた。
わたしは先頭のゾンビから順番に、確実に頭を吹き飛ばしていく。
「乗って!」
怜が鋭い声で促した。
助手席に飛び乗ると、先に運転席についていた怜が思い切りアクセルを踏みこむ。
エンジンが唸り、屋内ガレージを出たジムニーはゾンビを跳ね飛ばしながら、急カーブして道に入っていく。
車高が高い車だからどうにか止まらずに済んでいるけど、それでもたぶんスピードをゆるめたらお仕舞いだろう。
怜にもそれがわかっているらしく、ひたすらアクセルを踏みこみ続けていた。
びちびち、と車の下からとトマトかスイカがつぶれたような嫌な音がする。
ワイパーは全開だった。
幸運にもゾンビの過密地帯を抜けることに成功した車は、300mぐらい走行したところで、とうとうタイヤにゾンビが絡まりすぎたのか停止する。
偶然にも怜と出会ったカメハドラッグストア前だった。
「ここからは足で行かないとね」
ドアに手をかけてわたしが言うと、暗い表情で怜はかぶりを振った。
「俺は行けない」
「え?」
ドウッ、と背後から音がして、振り向くとベランダの窓から侵入してきたらしいゾンビが一体倒れていた。
「ここはもう駄目だ、出よう」
短く怜が告げ、わたしは膝から力が抜けて崩れそうになるのをすんでで堪える。
「出るったって、出入り口は隙間なくゾンビが塞いでいると思うけど、どうするの?」
廊下に出ながらわたしは質問した。
「ガレージに俺のジムニーがある」
そこで遅まきながら、銃声を聞きつけた圭が階段を駆け降りてくる。
「いったい、何事?」
「説明は脱出してからだ」
圭への説明を先送りにした怜は、速やかに三階に銃と弾薬一式を取りに行くと、先行してガレージへと降りていった。
「圭は車の後部座席に乗って、晶は手動で車庫のシャッターを開くから援護して」
先ほどまでとは打って変わった冷静な態度で怜が指示を下す。
「わかった」
「いくぞ」
掛け声とともに怜がワイヤーを引き、開かれたシャッターから、どわっ、とゾンビがガレージ内に殺到してきた。
わたしは先頭のゾンビから順番に、確実に頭を吹き飛ばしていく。
「乗って!」
怜が鋭い声で促した。
助手席に飛び乗ると、先に運転席についていた怜が思い切りアクセルを踏みこむ。
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車高が高い車だからどうにか止まらずに済んでいるけど、それでもたぶんスピードをゆるめたらお仕舞いだろう。
怜にもそれがわかっているらしく、ひたすらアクセルを踏みこみ続けていた。
びちびち、と車の下からとトマトかスイカがつぶれたような嫌な音がする。
ワイパーは全開だった。
幸運にもゾンビの過密地帯を抜けることに成功した車は、300mぐらい走行したところで、とうとうタイヤにゾンビが絡まりすぎたのか停止する。
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「ここからは足で行かないとね」
ドアに手をかけてわたしが言うと、暗い表情で怜はかぶりを振った。
「俺は行けない」
「え?」
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