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第三話「ゾンビゲームを姫プレイするだなんて邪道過ぎる!」
Chapter3、身体での支払いと翌朝の食堂
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「保は、姫の逆ハーレムメンバーに加わらないの?」
二階にあるダブルルームに入ると、保と並んでベッドに腰かけながら尋ねる。
他の四人は三階の同室を利用しているらしい。
保は鼻を鳴らした。
「俺はオタサーのメンバーじゃないし、姫って服装は可愛いけど、よく見ると顔はブスなんだよな」
「……手厳しいのね」
「前にも言ったけど晶は俺の好みだ――ってことで、ベッドの上で再会を祝おうぜ、もちろん裸で」
「そうね」わたしはいったん言葉を受けてから尋ねる。「あんたショットガンとマグナムの弾持ってる?」
翌朝、一晩かけて身体で支払いを終えたわたしは、全裸のまま受け取った弾薬の整理をしていた。
これで当座は弾切れしなくて済みそうだ。
傍らのベッドに同じく全裸で横たわる保が、長い溜め息をついて言った。
「なぁっ晶、頼むから俺以外とこういう取引するなよ」
「なにそれ?」
冷笑しながら弾をナップザックに仕舞っていると、部屋の扉がいきなり開く。
「保くぅ~ん、朝食できたよっ」
甘ったるい声をあげて顔をだした姫は、直後、全裸のわたし達を見て口を両手で押さえて固まる。
「ああ、今行く」
保が平然と答えると、姫は逃げるようにドアを閉めて去っていった。
数分後、着衣して三階の食堂に向かうと、なにやら男性陣に相談している姫の声が聞こえた。
「やっぱり姫みたいな子供っぽい女より、晶さんみたいな落ち着いた人のほうが魅力的なのかなぁ?」
「そんなことないよ、姫のほうが断然、魅力的だし可愛いって」
「うん、うん、勝負にもならない」
「あっちを選ぶなんて相当趣味が悪いよ」
思い切り聞こえているちゅーの。
保と並んで食堂へ入っていくと、すでにわたし達以外全員着席していて、空いている席は姫の隣か男二人の間のみ。
姫が席を立って手招きする。
「保くぅん、ここの席空いてるよっ」
「いや、俺、こっちでいいわ」
保はあえて男二人に挟まれた席を選択した。
「そうっ……」
姫はわざとらしくしょんぼり顔をしたあと、すぐに気を取り直したように笑顔になる。
「ねぇっ、みんなっ、今日はなにして過ごそっか?」
「姫に任せるよ」
「うんうん」
「姫のしたいことをみんなでしよう」
「きゃうんっ、みんな優しい」
きゃうんっ、とかいう人間本当にいるんだ。
妙な感心をしつつ、わたしは炊きたてのご飯に梅干し乗せ、高野豆腐入りのみそ汁をすすった。
ちやほやされている姫を見ながら簡素なメニューを食べていると、最初に食事を終えたらしい眼鏡くんが席を立った。
「見回りに行くよ」
わたしも長居は無用とばかりに、食後さっさと客室へ戻ることにした。
保となぜか姫もあとからついてくる。
「ねぇっ、保くぅん、ちょっと相談したいことがあるんだけど……」
二階にあるダブルルームに入ると、保と並んでベッドに腰かけながら尋ねる。
他の四人は三階の同室を利用しているらしい。
保は鼻を鳴らした。
「俺はオタサーのメンバーじゃないし、姫って服装は可愛いけど、よく見ると顔はブスなんだよな」
「……手厳しいのね」
「前にも言ったけど晶は俺の好みだ――ってことで、ベッドの上で再会を祝おうぜ、もちろん裸で」
「そうね」わたしはいったん言葉を受けてから尋ねる。「あんたショットガンとマグナムの弾持ってる?」
翌朝、一晩かけて身体で支払いを終えたわたしは、全裸のまま受け取った弾薬の整理をしていた。
これで当座は弾切れしなくて済みそうだ。
傍らのベッドに同じく全裸で横たわる保が、長い溜め息をついて言った。
「なぁっ晶、頼むから俺以外とこういう取引するなよ」
「なにそれ?」
冷笑しながら弾をナップザックに仕舞っていると、部屋の扉がいきなり開く。
「保くぅ~ん、朝食できたよっ」
甘ったるい声をあげて顔をだした姫は、直後、全裸のわたし達を見て口を両手で押さえて固まる。
「ああ、今行く」
保が平然と答えると、姫は逃げるようにドアを閉めて去っていった。
数分後、着衣して三階の食堂に向かうと、なにやら男性陣に相談している姫の声が聞こえた。
「やっぱり姫みたいな子供っぽい女より、晶さんみたいな落ち着いた人のほうが魅力的なのかなぁ?」
「そんなことないよ、姫のほうが断然、魅力的だし可愛いって」
「うん、うん、勝負にもならない」
「あっちを選ぶなんて相当趣味が悪いよ」
思い切り聞こえているちゅーの。
保と並んで食堂へ入っていくと、すでにわたし達以外全員着席していて、空いている席は姫の隣か男二人の間のみ。
姫が席を立って手招きする。
「保くぅん、ここの席空いてるよっ」
「いや、俺、こっちでいいわ」
保はあえて男二人に挟まれた席を選択した。
「そうっ……」
姫はわざとらしくしょんぼり顔をしたあと、すぐに気を取り直したように笑顔になる。
「ねぇっ、みんなっ、今日はなにして過ごそっか?」
「姫に任せるよ」
「うんうん」
「姫のしたいことをみんなでしよう」
「きゃうんっ、みんな優しい」
きゃうんっ、とかいう人間本当にいるんだ。
妙な感心をしつつ、わたしは炊きたてのご飯に梅干し乗せ、高野豆腐入りのみそ汁をすすった。
ちやほやされている姫を見ながら簡素なメニューを食べていると、最初に食事を終えたらしい眼鏡くんが席を立った。
「見回りに行くよ」
わたしも長居は無用とばかりに、食後さっさと客室へ戻ることにした。
保となぜか姫もあとからついてくる。
「ねぇっ、保くぅん、ちょっと相談したいことがあるんだけど……」
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