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第三話「ゾンビゲームを姫プレイするだなんて邪道過ぎる!」

Chapter 1、ループと山の上のホテル

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「また同じホテルっ!?」

 モンキー走らせながらわたしは思わず自分の目を疑う。
 進行方向右手の山の上に、まったく同一の外観のホテルを見つけること、これで三回目。

 今朝がた青たちが住む平屋をあとにしたわたしは、ゾンビが多い市街地を避け、郊外の道をまっすぐに走り続けていた。
 それで分かったことは、どうやらこの世界のマップは、一定距離でループしているらしい。
 直進を続けると、必ずまた同じ地点へ戻ってしまう。
 つまり違う場所へ行くには他の道に反れる必要があるのだ。
 
 そう確信できたところですでに陽は落ちかけていた。
 視界のきかない夜道の走行は愚行だ。

 わたしは食料と弾の補給、今夜の寝床を求め、見かけて三回目にしてようやく山頂のホテルへ向かうことにした。


 道を右手に折れて一本道をのぼると、夕闇に染まる白亜のホテルと駐車場が見えてきた。
 入り口周りにバリケード状に並べてある車と、近くに停まった数台のバイクを見て、わたしは一つの確信を抱く。

 このゾンビが蔓延する世界では、道が事故車で塞がれていることが多い。
 だから生きた人間が移動する場合、機動性を考えるならわたしのようにバイク一択なのだ。
 
 案の定、他のバイクに並べてモンキーを停めていると、ホテルの二階の窓から誰かに声をかけられた。

「君、人間?」

 平常の世界なら失礼極まりない質問だ。

「ええ、そうよ」

 返事とともに振り仰いだ顔は逆光でよく見えず、眼鏡が落日の陽を反射していた。
 声の感じからして若い男性だろう。

「中に入ってもいい?」
「ああ、今入り口を開くよ」
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