103 / 117
第五章
追加の支払い ※※※
しおりを挟む
当然ながら部屋へ戻っても、なかなか眠らせてなど貰えなかった。
「フィー、お前と一晩、離れていてどんなに寂しかったか……」
「お、お兄様……」
思い知らせるようにきつく抱きしめられてから、乱暴にベッドへと投げ落とさせる。
「もう二度とお泊り会なんて認めないからな……!」
激昂したように宣言するエルファンス兄様の様子に、三人でのパジャマ・パーティーの遠のきをおぼえる。
しかしそんな先のことより今、お兄様の機嫌をなだめることのほうが大切だ。
「お兄様、寂しい想いをさせてごめんなさ……あっ……!?」
ところが謝っている途中で夜着の裾を掴み上げられ、頭から一気に引き抜かれてしまう。
「……まっ、待って……!」
「待たない! あんな支払いじゃ全然足りないっ……」
制止の言葉は却下され、裸になったエルファンス兄様は野獣のように襲いかかってきた。
私の乳房を押しつぶすようにのしかかってくる身体は熱く、くちづけは狂おおしいまでに荒々しかった。
身体の重みにもがいているうちに下着もむしり取られ、上からどけてくれたかと思うと、今度は足首をがしっと掴まれる。
「あっ……やっ……!」
抵抗しようとつっぱった両足を押し倒し、私の身体を二つ折りにしたお兄様は、むき出しになった下の唇を激しく貪ってきた。
そしてたっぷりの唾液をあそこに絡めると、性急に上から突き刺すように入ってくる。
「ああっ……!」
いつもとは違う角度で深く貫かれた私は、その刺激だけでもう気が遠くなってしまい――徹夜で寝ていなかったのも手伝い、たった数回抜き差しされただけで、完全に意識が飛んでしまった――
次に目を開くと、エルファンス兄様に身体を抱きこまれた格好で、ベッドに寝ている状態だった。
そっと腕の中で確認すると、珍しいことにお兄様は銀色の長い睫毛を伏せいまだに寝息を立てている。
時計を見るとお昼前だった。
先に起きるのは久しぶりかもしれないと思いつつ、腕をほどいてそっと起きだし、そろりと床に足を下ろす。
エルファンス兄様を起こさないように身支度を終えた私は、コーデリア姫に途中で帰ったお詫びを言うべく、音を立てないように慎重に部屋を抜け出した。
極度の疲労感を全身におぼえながら、コーデリア姫の部屋を目指して急ぎ足で歩く。
――と、角を曲がると、光沢のある若草色の長衣の裾と、長い特徴的な金髪を揺らして、廊下の向こう側から歩いてくる人物があった。
ぼーっと見てから遅れて誰であるか認識したとたん、心臓が止まりそうになり、思わず口から「あっ…!?」と叫びを漏らしてしまう。
同じく先方も驚いたように息を飲み、立ち止まって目を見張る。
「……君は……」
予想外の出会いに、動揺と恐怖が同時に襲ってきて、全身から血の気がすーっと引いてゆくのを感じる。
逃げなくてはいけない、そう思っているのに、脚が震えて全然動かなかった。
一方、相手は半ば駆けるように、腕を伸ばして近づいてくる。
そうして瞬く間に目の前に来たのは、緑がかった不思議な色合いに輝く金髪と、神秘的な七色に輝く瞳をした、神々しいまでの美貌を持つ青年――
この世のものとは思えないほどの美しい色彩を持つ容姿は――やはり見間違いでも幻覚でもなく――「恋と戦のプリンセス」1のヤンデレキャラ、ラファエル・ジードのものだった。
「……レメディア……」
艶っぽく澄んだ声で、違う名前を呼びながら、ラファエルの氷じみた冷たい手が私の手首を捉え、さっと身体を引き寄せる。
「――!?」
「フィー!」
同じタイミングで背後から、私がいないことに気がついて追ってきたらしい、エルファンス兄様の足音と声がした。
それなのに混乱したままの私は抵抗もできず、お兄様が見ている前で他の男性――ラファエルにきつく抱き締められてしまった――
「フィー、お前と一晩、離れていてどんなに寂しかったか……」
「お、お兄様……」
思い知らせるようにきつく抱きしめられてから、乱暴にベッドへと投げ落とさせる。
「もう二度とお泊り会なんて認めないからな……!」
激昂したように宣言するエルファンス兄様の様子に、三人でのパジャマ・パーティーの遠のきをおぼえる。
しかしそんな先のことより今、お兄様の機嫌をなだめることのほうが大切だ。
「お兄様、寂しい想いをさせてごめんなさ……あっ……!?」
ところが謝っている途中で夜着の裾を掴み上げられ、頭から一気に引き抜かれてしまう。
「……まっ、待って……!」
「待たない! あんな支払いじゃ全然足りないっ……」
制止の言葉は却下され、裸になったエルファンス兄様は野獣のように襲いかかってきた。
私の乳房を押しつぶすようにのしかかってくる身体は熱く、くちづけは狂おおしいまでに荒々しかった。
身体の重みにもがいているうちに下着もむしり取られ、上からどけてくれたかと思うと、今度は足首をがしっと掴まれる。
「あっ……やっ……!」
抵抗しようとつっぱった両足を押し倒し、私の身体を二つ折りにしたお兄様は、むき出しになった下の唇を激しく貪ってきた。
そしてたっぷりの唾液をあそこに絡めると、性急に上から突き刺すように入ってくる。
「ああっ……!」
いつもとは違う角度で深く貫かれた私は、その刺激だけでもう気が遠くなってしまい――徹夜で寝ていなかったのも手伝い、たった数回抜き差しされただけで、完全に意識が飛んでしまった――
次に目を開くと、エルファンス兄様に身体を抱きこまれた格好で、ベッドに寝ている状態だった。
そっと腕の中で確認すると、珍しいことにお兄様は銀色の長い睫毛を伏せいまだに寝息を立てている。
時計を見るとお昼前だった。
先に起きるのは久しぶりかもしれないと思いつつ、腕をほどいてそっと起きだし、そろりと床に足を下ろす。
エルファンス兄様を起こさないように身支度を終えた私は、コーデリア姫に途中で帰ったお詫びを言うべく、音を立てないように慎重に部屋を抜け出した。
極度の疲労感を全身におぼえながら、コーデリア姫の部屋を目指して急ぎ足で歩く。
――と、角を曲がると、光沢のある若草色の長衣の裾と、長い特徴的な金髪を揺らして、廊下の向こう側から歩いてくる人物があった。
ぼーっと見てから遅れて誰であるか認識したとたん、心臓が止まりそうになり、思わず口から「あっ…!?」と叫びを漏らしてしまう。
同じく先方も驚いたように息を飲み、立ち止まって目を見張る。
「……君は……」
予想外の出会いに、動揺と恐怖が同時に襲ってきて、全身から血の気がすーっと引いてゆくのを感じる。
逃げなくてはいけない、そう思っているのに、脚が震えて全然動かなかった。
一方、相手は半ば駆けるように、腕を伸ばして近づいてくる。
そうして瞬く間に目の前に来たのは、緑がかった不思議な色合いに輝く金髪と、神秘的な七色に輝く瞳をした、神々しいまでの美貌を持つ青年――
この世のものとは思えないほどの美しい色彩を持つ容姿は――やはり見間違いでも幻覚でもなく――「恋と戦のプリンセス」1のヤンデレキャラ、ラファエル・ジードのものだった。
「……レメディア……」
艶っぽく澄んだ声で、違う名前を呼びながら、ラファエルの氷じみた冷たい手が私の手首を捉え、さっと身体を引き寄せる。
「――!?」
「フィー!」
同じタイミングで背後から、私がいないことに気がついて追ってきたらしい、エルファンス兄様の足音と声がした。
それなのに混乱したままの私は抵抗もできず、お兄様が見ている前で他の男性――ラファエルにきつく抱き締められてしまった――
2
お気に入りに追加
2,622
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
七年間の婚約は今日で終わりを迎えます
hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる