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第四章
朝食の席にて
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「あっ、おはよう二人とも」
食堂へ入ると同時にキルアスが声をかけてきて、自分の隣の席をお兄様に勧める。
二日酔いなのかぐったりしているカークは、隣をコーデリア姫、周りをぐるっとそのお付きの女官や護衛の男性に囲まれ逃げ場の無い状態。
皆に挨拶をしてから椅子へ降ろして貰った私は、テーブルの上に並ぶ大量の料理を見てげんなりする。
朝からこんなに食べれないし、パンとスープだけにしよう……。
「エル、今日は朝食を終えたらすぐ出発して、村二つ挟んだ距離にある、バルモア砦まで進みませんか?」
キルアスが地図を広げながら相談すると、エルファンス兄様は短く答える。
「任せる」
昨日の夕食の席から思っていたけれど、隣の席をキープしてずっと話しかけてくるあたり、キルアスってば相当お兄様が好きだよね。
カークがコーデリア姫とその取り巻きに囲まれているのもあるかもだけど、私だっているのに、基本的に視線がお兄様にしか注がれていない。
自分のほうが先に知り合って仲良くなったのにと、なんだか友達を取れらたような複雑な気分になってしまう。
(いいもん、私にはコーデリア姫という同性の仲間が出来たし、パジャマ・パーティーするんだもん)
いじけながらパンとスープを半分ぐらい口にしてスプーンを置くと、お兄様がぶとうの粒をつまんで私の口元へ運んできた。
「フィー、デザートでもいいから、もう少しお腹に入れろ」
「食欲ないの」
「駄目だ。もっと食べて体力をつけるんだ」
毎度、この会話には既視感があり過ぎる。
お兄様に顎を掴まれ、強引にぶどうを口に入れられていると、先に食事を終えたコーデリア姫が立って近づいてきた。
「これから一緒に旅する事だし、フィーとエルに私のお供を紹介するわね」
コーデリア姫は前置きしてから、順番に連れの人達を紹介し始める。
「まずは護衛の二人から紹介するわ。
わが国が誇る生え抜きの騎士クラウスと、宮廷魔術師の一番弟子のアーマノイドよ」
大柄で筋肉質な身体付きの金髪碧眼の青年騎士クラウスと、黒髪緑眼でスラリとした体系の少年の面影残るアーマノイドがそれぞれ会釈した。
「女官の三人は、右からエリー、姉妹のラーナとロミーで、私の世話だけではなく、全員、護衛もかねていて女だてらに武器を扱える手練揃いよ」
エリーは30絡みの茶髪で緑色の瞳のストレートヘアーで、女性にしてはややがっしりした体系。
ラーナとロミーは高身長で細身、揃いの麦穂色の髪と青い瞳をしていて、20代半ばぐらいに見えた。
「コーデリア様が私達の中では一番強いんですよ。
細剣はもちろん、鞭を扱うのがとてもお上手なんです」
我がことのようにラーナが自慢する。
「そうなんだ……私なんて、剣を握ったことすらないわ」
武力ゼロの私が思わず尊敬の眼差しを向けると、コーデリアが嬉しい提案をしてくれる。
「来たるべき日にそなえて、幼い頃より鍛錬してきたの。
もし良かったらフィーにも教えてあげましょうか?」
「必要ない」
そこへすかさずエルファンス兄様が私の代わりに答える。
「俺もエルと同意見だ。馬も剣も扱えないぐらいのほうが女として可愛げがある!」
珍しくコーデリア姫を挑発するように言ったカークに、エリーが反論する。
「コーデリア姫は馬に乗れて剣もたくみですが、普段はとてもおしとやかな姫君ですわ」
昨日タックルをかましているのを見た私にはどうにもそうとは思えなかった。
コーデリア姫は嘲笑うように言う。
「あら、普段は粋がっている癖に、そういう弱弱しい女でなければ、乗りこなす自信がないの?
案外情けない男だったのねカーク。
これは夫選びを間違えたしら?」
「……なっ!」
カーク・クラフトはカッと顔を紅潮させ、燃えるような金色の瞳でコーデリア姫の顔を見返す。
攻略する予定の相手に喧嘩を売っていいのだろうか?
「キルアスはどう思う?」
コーデリア姫に話を振られたキルアスは、丁寧に地図を折りたたみつつ、
「俺は、どちらでも。馬とか剣とか関係無しに、人柄の良い女性が好きだ」
カークとの人格の差を見せ付けるような回答をした。
「私も同意見だわ。つまらない事を言わない人柄の良い男性が好きよ」
姫は「つまらない」という部分を特に強調して言うと、キルアスのターコイズブルーの瞳をうっとりしたように見つめる。
ひょっとしてもう乗り換えつつあるのだろうか。
「……だったら、キルアスと結婚すればいいじゃないか!」
苛立った声でカークが叫ぶ。
「そうね。あなたが挙式をあんまり先延ばしにするなら、他の男性に目を向けた方が良いのかもしれないわね」
コーデリア姫はそううそぶくと、男性陣に順繰りに視線を送っていった。
「……!?」
それを見て衝撃を受けたように固まったカークは、苦渋に満ちた表情を浮かべる。
「さ、そろそろ出発しないと、バルモアに着くのが深夜になってしまう!」
気まずい雰囲気を流すようにキルアスが発言し、お兄様も同意する。
「そうだな、早めに出よう」
食堂へ入ると同時にキルアスが声をかけてきて、自分の隣の席をお兄様に勧める。
二日酔いなのかぐったりしているカークは、隣をコーデリア姫、周りをぐるっとそのお付きの女官や護衛の男性に囲まれ逃げ場の無い状態。
皆に挨拶をしてから椅子へ降ろして貰った私は、テーブルの上に並ぶ大量の料理を見てげんなりする。
朝からこんなに食べれないし、パンとスープだけにしよう……。
「エル、今日は朝食を終えたらすぐ出発して、村二つ挟んだ距離にある、バルモア砦まで進みませんか?」
キルアスが地図を広げながら相談すると、エルファンス兄様は短く答える。
「任せる」
昨日の夕食の席から思っていたけれど、隣の席をキープしてずっと話しかけてくるあたり、キルアスってば相当お兄様が好きだよね。
カークがコーデリア姫とその取り巻きに囲まれているのもあるかもだけど、私だっているのに、基本的に視線がお兄様にしか注がれていない。
自分のほうが先に知り合って仲良くなったのにと、なんだか友達を取れらたような複雑な気分になってしまう。
(いいもん、私にはコーデリア姫という同性の仲間が出来たし、パジャマ・パーティーするんだもん)
いじけながらパンとスープを半分ぐらい口にしてスプーンを置くと、お兄様がぶとうの粒をつまんで私の口元へ運んできた。
「フィー、デザートでもいいから、もう少しお腹に入れろ」
「食欲ないの」
「駄目だ。もっと食べて体力をつけるんだ」
毎度、この会話には既視感があり過ぎる。
お兄様に顎を掴まれ、強引にぶどうを口に入れられていると、先に食事を終えたコーデリア姫が立って近づいてきた。
「これから一緒に旅する事だし、フィーとエルに私のお供を紹介するわね」
コーデリア姫は前置きしてから、順番に連れの人達を紹介し始める。
「まずは護衛の二人から紹介するわ。
わが国が誇る生え抜きの騎士クラウスと、宮廷魔術師の一番弟子のアーマノイドよ」
大柄で筋肉質な身体付きの金髪碧眼の青年騎士クラウスと、黒髪緑眼でスラリとした体系の少年の面影残るアーマノイドがそれぞれ会釈した。
「女官の三人は、右からエリー、姉妹のラーナとロミーで、私の世話だけではなく、全員、護衛もかねていて女だてらに武器を扱える手練揃いよ」
エリーは30絡みの茶髪で緑色の瞳のストレートヘアーで、女性にしてはややがっしりした体系。
ラーナとロミーは高身長で細身、揃いの麦穂色の髪と青い瞳をしていて、20代半ばぐらいに見えた。
「コーデリア様が私達の中では一番強いんですよ。
細剣はもちろん、鞭を扱うのがとてもお上手なんです」
我がことのようにラーナが自慢する。
「そうなんだ……私なんて、剣を握ったことすらないわ」
武力ゼロの私が思わず尊敬の眼差しを向けると、コーデリアが嬉しい提案をしてくれる。
「来たるべき日にそなえて、幼い頃より鍛錬してきたの。
もし良かったらフィーにも教えてあげましょうか?」
「必要ない」
そこへすかさずエルファンス兄様が私の代わりに答える。
「俺もエルと同意見だ。馬も剣も扱えないぐらいのほうが女として可愛げがある!」
珍しくコーデリア姫を挑発するように言ったカークに、エリーが反論する。
「コーデリア姫は馬に乗れて剣もたくみですが、普段はとてもおしとやかな姫君ですわ」
昨日タックルをかましているのを見た私にはどうにもそうとは思えなかった。
コーデリア姫は嘲笑うように言う。
「あら、普段は粋がっている癖に、そういう弱弱しい女でなければ、乗りこなす自信がないの?
案外情けない男だったのねカーク。
これは夫選びを間違えたしら?」
「……なっ!」
カーク・クラフトはカッと顔を紅潮させ、燃えるような金色の瞳でコーデリア姫の顔を見返す。
攻略する予定の相手に喧嘩を売っていいのだろうか?
「キルアスはどう思う?」
コーデリア姫に話を振られたキルアスは、丁寧に地図を折りたたみつつ、
「俺は、どちらでも。馬とか剣とか関係無しに、人柄の良い女性が好きだ」
カークとの人格の差を見せ付けるような回答をした。
「私も同意見だわ。つまらない事を言わない人柄の良い男性が好きよ」
姫は「つまらない」という部分を特に強調して言うと、キルアスのターコイズブルーの瞳をうっとりしたように見つめる。
ひょっとしてもう乗り換えつつあるのだろうか。
「……だったら、キルアスと結婚すればいいじゃないか!」
苛立った声でカークが叫ぶ。
「そうね。あなたが挙式をあんまり先延ばしにするなら、他の男性に目を向けた方が良いのかもしれないわね」
コーデリア姫はそううそぶくと、男性陣に順繰りに視線を送っていった。
「……!?」
それを見て衝撃を受けたように固まったカークは、苦渋に満ちた表情を浮かべる。
「さ、そろそろ出発しないと、バルモアに着くのが深夜になってしまう!」
気まずい雰囲気を流すようにキルアスが発言し、お兄様も同意する。
「そうだな、早めに出よう」
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