1 / 5
第一章
"鬼"が来た
しおりを挟む
「大人になりたくないなぁ、、」
青春の1コマにありそうな放課後。残暑が残る秋の夕暮れ。誰もいない教室で窓に背を預けつつ、つぶやいた。
今のまま何も考えず気楽に生きていきたい。一生子どもでいられたらいいのに。
本当に願ったわけじゃない。大学受験から逃げたかった。それだけだった。
「あ、先生プリント忘れてる。ちょっと行ってくるね。」
「マヤ1人で大丈夫(笑)?私も行こうか?」
掃除も終わり、残すは帰りの会のみになった教室で、6時間目の先生の忘れ物に気がついた。友達のミカが茶化したような笑みを浮かべていう。
「舐めんな(笑)。一人で行くよ。」
そう言って教室を出た。これがミカと交わした最後の会話だった。
廊下はやけに静かで誰もいないどころか声すら聞こえない。変だなと不思議に思いつつも、特に気に留めなかった。
職員室も誰もおらず、帰りの会に出ているのか、それとも何か問題でもあったのか、そんなことを考えながら、プリントを先生の机に置いた。少し変な匂いがしたのと、誰もいないのに窓が全開なのが不用心で少し気になった。
職員室からの帰り道もとても静かだった。
いつものように教室の扉に手をかけ、入る。
ばふって音がして、リカが飛びついてきた。リカはクラスの人気者で、部活が同じことくらい、そんなに接点はない。
「リカどうし、、」
「マヤ無事だったんだね。良かったぁ。」
頭にハテナを浮かべていると、いつも冷静なアカネが扉に手をかけながら
「外からは開けられる仕組みみたいね。」
と言った。意味がわからない。
「何がどういうこと?説明して。」
「鬼が来たの。先生も変わっちゃった。」
リカの発言の意味が分からず、困惑していると、
「この教室、何か変だと思わない?」
アカネの言葉にあたりを見ると確かに変だ。
教室なのに机がない。クラスメイトも少ない。いるのは男子5人にリカとアカネ。あるのは柔らかそうな毛布が人数分とおもちゃとたくさんのお菓子だけ。
「なんなの。これは、、」
「実は、、」
不意に廊下から足音が聞こえた。みんなバタバタと毛布に包まる。
「は?何?」
「マヤも早く!寝たふりをして!じゃないと、、」
リカが危機迫った表情で早口に言う。
「「"鬼"が来る。」」
リカとアカネが同時に呟いた瞬間、引き戸がガラリと音を立てた。扉には赤と青のお面を被った二匹の"鬼"が立っていた。
青春の1コマにありそうな放課後。残暑が残る秋の夕暮れ。誰もいない教室で窓に背を預けつつ、つぶやいた。
今のまま何も考えず気楽に生きていきたい。一生子どもでいられたらいいのに。
本当に願ったわけじゃない。大学受験から逃げたかった。それだけだった。
「あ、先生プリント忘れてる。ちょっと行ってくるね。」
「マヤ1人で大丈夫(笑)?私も行こうか?」
掃除も終わり、残すは帰りの会のみになった教室で、6時間目の先生の忘れ物に気がついた。友達のミカが茶化したような笑みを浮かべていう。
「舐めんな(笑)。一人で行くよ。」
そう言って教室を出た。これがミカと交わした最後の会話だった。
廊下はやけに静かで誰もいないどころか声すら聞こえない。変だなと不思議に思いつつも、特に気に留めなかった。
職員室も誰もおらず、帰りの会に出ているのか、それとも何か問題でもあったのか、そんなことを考えながら、プリントを先生の机に置いた。少し変な匂いがしたのと、誰もいないのに窓が全開なのが不用心で少し気になった。
職員室からの帰り道もとても静かだった。
いつものように教室の扉に手をかけ、入る。
ばふって音がして、リカが飛びついてきた。リカはクラスの人気者で、部活が同じことくらい、そんなに接点はない。
「リカどうし、、」
「マヤ無事だったんだね。良かったぁ。」
頭にハテナを浮かべていると、いつも冷静なアカネが扉に手をかけながら
「外からは開けられる仕組みみたいね。」
と言った。意味がわからない。
「何がどういうこと?説明して。」
「鬼が来たの。先生も変わっちゃった。」
リカの発言の意味が分からず、困惑していると、
「この教室、何か変だと思わない?」
アカネの言葉にあたりを見ると確かに変だ。
教室なのに机がない。クラスメイトも少ない。いるのは男子5人にリカとアカネ。あるのは柔らかそうな毛布が人数分とおもちゃとたくさんのお菓子だけ。
「なんなの。これは、、」
「実は、、」
不意に廊下から足音が聞こえた。みんなバタバタと毛布に包まる。
「は?何?」
「マヤも早く!寝たふりをして!じゃないと、、」
リカが危機迫った表情で早口に言う。
「「"鬼"が来る。」」
リカとアカネが同時に呟いた瞬間、引き戸がガラリと音を立てた。扉には赤と青のお面を被った二匹の"鬼"が立っていた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
【完結済】ダークサイドストーリー〜4つの物語〜
野花マリオ
ホラー
この4つの物語は4つの連なる視点があるホラーストーリーです。
内容は不条理モノですがオムニバス形式でありどの物語から読んでも大丈夫です。この物語が読むと読者が取り憑かれて繰り返し読んでいる恐怖を導かれるように……
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
すべて実話
さつきのいろどり
ホラー
タイトル通り全て実話のホラー体験です。
友人から聞いたものや著者本人の実体験を書かせていただきます。
長編として登録していますが、短編をいつくか載せていこうと思っていますので、追加配信しましたら覗きに来て下さいね^^*
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
十三怪談
しんいち
ホラー
自分が収集した実際にあった話になります。同時に執筆している「幽子さんの謎解きレポート」の元ネタになっている話もあります。もしよろしければこちらの方もよろしくお願いいたします。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる