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始まりの話
しおりを挟むじゃあまたね!そう言ってみんなは別れた。
少し濃い目のアイメイクに真新しいスーツで未来に希望があると信じて。
卒業式を間近に控えた放課後。いつもの帰り道でくだらない話に花を咲かせるどこにでもいるJK。
みんなそれぞれ進路が決まり、新生活に夢を膨らます人もいれば、後悔が拭えないでいる人もいた。
そんな中、お調子者のユナがまるで新しい遊びを思いついた子供のように言った。
「ねぇ、みんな。死ぬならどうやって死にたい?」
みんな一瞬きょとんとして、それから笑いが溢れた。
隣にいたハルが冗談っぽく
「苦しいのは嫌だね。死ぬなら楽にいっそ一息にやってほしいよ。」
というと、看護学校への進級が決まっているユリが同調し
「わかるなぁ。毒殺か石炭かな。それか出血死。本で読んだことあるけど、血が抜けていく感覚は麻酔で堕ちる感覚と似ているんだってさー。」
その発言には能天気なヒナノが続ける。
「でもいくら苦しくなくても1人で死ぬのはいやだなー。できれば誰かに看取ってほしいよ。」
「「わかる。」」
みんながうなずいた。
「でも結婚どころか彼氏すらいないからね。このままだと彼氏持ちのアヤ以外揃って孤独死よ。」
ユナのそんな発言にアヤが呆れたような口調で続ける。
「私早めに死にたいのよね。誰かに迷惑かけながら生きるなんて嫌。自分で自分が制御できるうちに死にたい。」
「「それ。」」
またもやみんな頷く。
ハルが
「でもアヤいいじゃん。今だって彼氏いるし、きっと結婚だってできるよ。旦那と子供に看取ってもらいなよ。」
というとアヤは少し眉間にシワを寄せつつ
「なんか違うのよね。そういうことじゃない。本当に好きな人だからこそ看取って欲しくない。愛する人の心に傷を作りたくない。その点あなたたちなら私が死んだところで悲しいは悲しいけど所詮他人だしね。あなたたちに看取ってもらえるならそんな最後も悪くない気がする。」
と言った。みんな難しい表情をしたまま少し沈黙が流れた。そして堰を切ったようにヒナノが
「わかる気がするなぁ。私もみんなに看取られたい。」
と言った。
「確かにね。じゃあさ、ある一定の年齢超えたらみんなで集まって死のうよ。そしたら寂しくないじゃん。」
ハルがニカッと笑っていう。
「いいじゃん!いつにする?」
ユナに続いてがユリが
「50年後は?定年退職が伸びるとしても三年あるし、ちょうどやることなくなる年齢じゃない?」
という。
「いいねいいね!」「やろうやろう」
どこにでもいるようなJKの、奇妙な会話。
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