男女比がおかしい世界にオタクが放り込まれました

高校編

思ってたのと違う【sideかのん】

変態鳴宮との最悪の2時間をどうにか乗り越えて、私は鳴宮といよいよアトラクションに乗ろうとしていた………

「…………………！？」
「あ、霧ヶ谷さん、右と左どっちが良い？」
「いや、え……？気持ち悪い……何でこんなに……」
「すごいよね！このリアルさ！制作スタッフが素材にもこだわって、現物見ながら作らせたらしいよ！」

そこにあるのは限りなく本物にそっくりな心臓の乗り物だった。
右心室と左心室？に分かれて乗るようになっていて、座ろうとするとムニュッとなった。しかも、座ったことで出た周りのはみ出たところが赤黒くなって、内出血みたいだった。
あと……………何よりめちゃくちゃリアル……技術の無駄遣いなんじゃないの？
「っていうか、恐怖の館って普通幽霊とかじゃないの！？」
「いや、幽霊だよ？まぁ臓物もいっぱい出てくるけど！
あ、ヤブ医者が経営してた病院に入った主人公2人……僕たちね！が、ヤブ医者の犠牲となった元患者に追いかけられるっていう設定ね！
ちなみに、0.1％の確率で主人公がヤブ医者だったってことになって、途中からめっちゃ臓物のレプリカ投げられるらしいよ！」
「なにそれ………」

私は幽霊系なら全然平気だ。でも臓物となると話は違う。どうしても気持ち悪くて見れない……

「霧ヶ谷さん、顔色悪いよ。大丈夫？」
「っ！大丈夫！」
「そう………？ならいいけど……」

やばい、本当に気持ち悪い。何より自分が座っているのが臓物っていうのがもう最悪。

アトラクションはVRを付けるタイプだから、係員さんに付けてもらう。

「恐怖の館ってタイトルが綺麗に見えるまで、上のダイヤルを回して調節してくださいね～」
「あ、はい……できました。」
「はーい！ありがとうございます！それでは！恐怖体験に～！」
「「「いってらっしゃ～い！！！」」」

係員さんに明るいトーンで送り出される。

「絶対そのトーンで言うアトラクションじゃ無いでしょ………」

気持ち悪さを紛らわすために一人でどうでもいいツッコミを入れてしまった……

「楽しみだね！霧ヶ谷さん！」
「……………………………………うん」

全然楽しみじゃない。むしろ今すぐ降ろして欲しい。