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5話
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「私を追放、ですか?」
「ああ、もうお前などこの家には要らん。さっさと出ていけ」
「あなたみたいな出来損ないはもう子供とは認めません。もう顔も見たくないわ」
「ああそれと、この家の物は持っていくことは禁ずる。私達の金で買ったものなのだからな」
「……そうですか。分かりました」
私は一礼をして部屋から出ていった。
少し速めに歩いて自室まで戻る。
中にはミラがいた。
「ミラ、私はこの家から追放になったわ」
端的にさっきの事を話すと、ミラは顔を歪ませ歯を噛み締めた。
「……そう、でございますか。やはり旦那様方は最後まで……」
「というわけで、いまから荷造りするわよ」
「はい、了解しました」
私は切り替えるようにパン、と軽く手を叩くとミラは直ぐに切り替えて荷造りに取り掛かった。
荷造りといっても、持っていく物は少ない。殆ど無いと言ってもいいくらいだ。
あるのは自分で買った服や本だけ。だから荷造りは直ぐに終わった。
「よし、これで終わりね。ミラはこれからどうするの?」
「ルナ様についてゆきます。ルナ様がいないのならこの屋敷にいても意味がありません」
「そう、なら一緒に行きましょうか」
私達は家を出た。
外はすっかり暗くなっていた。
挨拶もろくに出来ていないが、いいだろう。
ずっと私達の敵だったのだから。
振り返って屋敷を見る。
窓からは光が漏れ出ている。
立ち止まった私に、ミラが心配そうに質問した。
「どうされましたか?」
「もう何も感じないって思ってたはずだけど」
その光に、目を細めた。
「ちょっと応えたかもね」
最後に言われた「出来損ない」の一言。
やっぱり、あれは少し心に刺さった。
腐っても親だと心のどこかで思っていたのかもしれない。
けど、これからはもう関わることも少なくなるだろう。
私は頭を振って気持ちを切り替えた。
「よし、もう大丈夫。行きましょう」
そうして私達は歩き始めた。
「ああ、もうお前などこの家には要らん。さっさと出ていけ」
「あなたみたいな出来損ないはもう子供とは認めません。もう顔も見たくないわ」
「ああそれと、この家の物は持っていくことは禁ずる。私達の金で買ったものなのだからな」
「……そうですか。分かりました」
私は一礼をして部屋から出ていった。
少し速めに歩いて自室まで戻る。
中にはミラがいた。
「ミラ、私はこの家から追放になったわ」
端的にさっきの事を話すと、ミラは顔を歪ませ歯を噛み締めた。
「……そう、でございますか。やはり旦那様方は最後まで……」
「というわけで、いまから荷造りするわよ」
「はい、了解しました」
私は切り替えるようにパン、と軽く手を叩くとミラは直ぐに切り替えて荷造りに取り掛かった。
荷造りといっても、持っていく物は少ない。殆ど無いと言ってもいいくらいだ。
あるのは自分で買った服や本だけ。だから荷造りは直ぐに終わった。
「よし、これで終わりね。ミラはこれからどうするの?」
「ルナ様についてゆきます。ルナ様がいないのならこの屋敷にいても意味がありません」
「そう、なら一緒に行きましょうか」
私達は家を出た。
外はすっかり暗くなっていた。
挨拶もろくに出来ていないが、いいだろう。
ずっと私達の敵だったのだから。
振り返って屋敷を見る。
窓からは光が漏れ出ている。
立ち止まった私に、ミラが心配そうに質問した。
「どうされましたか?」
「もう何も感じないって思ってたはずだけど」
その光に、目を細めた。
「ちょっと応えたかもね」
最後に言われた「出来損ない」の一言。
やっぱり、あれは少し心に刺さった。
腐っても親だと心のどこかで思っていたのかもしれない。
けど、これからはもう関わることも少なくなるだろう。
私は頭を振って気持ちを切り替えた。
「よし、もう大丈夫。行きましょう」
そうして私達は歩き始めた。
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