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8話
しおりを挟む「い、今レノ王子を殴ったわ!」
「どうすればいいの!」
マーク王子は怒鳴る。
「ふざけるな! お前ら俺のことを馬鹿にしてやがって!」
マーク王子がもう一度レノ王子を殴ろうとする。
しかし今度はレノ王子はそれを受け止めた。
「これで正当防衛ですね」
「なっ……!」
そう言ったレノ王子はみるみるうちにマーク王子を取り押さえてしまった。
「離せっ……!」
「そうはいきませんね。私を殴ったあなたを今離したら、シャーロットにも同じことをするかもしれない」
「そいつは俺のことをコケにしたんだ! 許さないぞ!」
レノ王子は周囲の生徒に呼びかける。
「誰か! 教師の方を呼んできて下さい!」
生徒たちは慌てて教師を呼びに行った。
そしてすぐに教師が連れて来られる。
教師は取り押さえられているマーク王子を見て困惑している。
「今、マーク王子がシャーロット嬢に殴りかかろうとし、それを阻止しました。その際私も危害を加えられています。それはここにいる生徒全員が見ていました」
「ほ、本当ですか?」
教師は辺りを見渡す。
生徒たちは首を縦に振った。
教師はレノ王子の言い分は真実だと認めたようだ。
「わ、分かりました」
その後暴れているマーク王子は複数人に取り押さえられながら連れて行かれた。
「シャーロット、大丈夫だった?」
レノ王子が心配そうに私に問う。
「それはこちらの台詞です! なぜあんな危ないことをしたのですか!」
「いや、あのままではシャーロットが危なかったからさ」
「それでも、代わりに殴られるなんて危ないです! 血が出てるじゃないですか……!」
「シャーロットを守れた名誉の負傷さ」
レノ王子は口の中を切っているのか、口から血を垂らした。
私はそれを慌ててハンカチで拭う。
「ありがとう」
レノ王子はにっこりと笑う。
私は顔が赤くなった。
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