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5話
しおりを挟む「クソッ! なんで、何でだ!」
何故アイツはあんな男に笑顔を向けているんだ!
俺、マーク・プリスコットは怒りを吐き出した。
そしてその怒りのあまり学園の壁を蹴りつける。
何人かの生徒がその様子を見ていて何かヒソヒソと話していたが、俺が王になった時にそいつらの家は全員潰してやることに決めた。
それにしても本当にムカつく。
なんでシャーロットは俺以外にあんな笑顔を向けているんだ。
アイツはまだ俺に未練があるはずなのに。
俺は分かっている。
シャーロットがまだ俺を好きなことに。
さっきの婚約を断ったのは俺が勝手に婚約破棄したことに拗ねているのだ。
ああやって近くにレノ王子を侍らせているのも俺に対してのあてつけなんだろう。
多分今日突然化粧してきたのもきっと俺の気を精一杯引くためのものなのだろう。
「俺のことを好きなくせに、素直じゃないな」
俺はフッ、と笑う。
そう思うと余裕が出てきた。
「ま、そういうところも可愛いけどな」
何せ婚約してから俺達はずっと一緒にいたのだ。
俺とシャーロットの心は通じ合っている。
「まぁ、今はそっとしておくか。その内にあっちから婚約を戻してくれって言いに来るだろ」
しかし一週間経っても、一ヶ月経っても。
シャーロットは俺の元に帰ってこなかった。
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