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11話
しおりを挟む「ま、待ってください! なぜ王位継承権を剥奪するんですか!」
「見くびるな。お前がその場しのぎで謝罪したことなど分かっている」
「そ、そんなことは……」
マックスは図星をつかれ動揺する。
「もう今の態度で理解した。お前は王位を継ぐのに相応しくない人物だ。よって、お前からは王位継承権を剥奪する」
「ちょ、ちょっと待ってください! たった一度過ちを犯しただけです! まだやり直しが──」
「一度だと?」
国王の声には隠しようのない怒りが篭っていた。
そしてマックスは国王の怒りが本物だ、と理解した。
「何度も注意しているのに聞き入れずに遊び呆け、挙げ句の果てには婚約者に冤罪を着せ、暴力を振るうおうとしたお前が、まだやり直せる? 本気で言っているのかお前は?」
「っ……!」
マックスは国王に睨まれ、何も言い返すことが出来なかった。
マックスは屈辱に耐え、拳を震わせた。
「もういいです」
「なに?」
「分かりました! 王位継承権を剥奪でもなんでもすればいいでしょう!」
マックスは逆ギレを始めた。
そして一方的に会話を打ち切り、部屋から出ていこうとする。
「待て。何を勝手に出ていこうとしているんだ」
「何ですか! これ以上俺に何をさせるつもりなんですか!」
マックスは顔を真っ赤にして国王に怒鳴る。
しかし国王は微塵も顔を動かさずに淡々と告げた。
その顔は、もはやマックスを肉親として認識していなかった。
「お前の王位継承権は剥奪する。だが、これで済ます訳にはいかん。お前が犯した罪はしっかりと償ってもらう」
「は?」
「お前がエリナに冤罪を着せた罪、そして学園に凶器を持ち込んだ罪に罰を与えるのは、王位継承権を剥奪するのとはまた別の話だ」
「なっ!?」
マックスは激昂した。
そしてまた国王に怒鳴ろうとした。
「──お前は王族から平民へ落ちてもらう」
しかし国王が放った言葉に、顔を青ざめさせた。
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