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10話
しおりを挟む国王の言葉は静かな部屋に響きわたった。
「え……?」
マックスは信じられないような目で国王を見る。
しかし国王はマックスへ軽蔑の目を向け続けており、さっきの言葉が嘘でないことを証明していた。
「い、今なんて……」
「お前はもう駄目だな、と言ったのだが?」
「そ、それはどういう……」
「お前は王位継承権を持つ者として相応しくない、と言う意味だ。そんなことも分からないのか」
マックスはぽかんと口を開けていた。
まさか自分がそんな言葉を投げかけられるとは思ってもみなかったのだろう。
「何でそんなことを言うんですか! 私は──」
「では問うが、お前に今まで何回注意を重ねてきたと思っている?」
「え?」
「お前の学園での生活態度や、成績は全て知っている。とても悪い、ということをな。だから私は何度も注意してきたはずだ。改めろ、と」
「……」
確かにその通りだった。
マックスは生活態度も成績もどちらもとても悪く、国王に数カ月に一度呼び出されては改めるように言われていた。
ただ、マックスは王位継承権が一位の自分の地位は揺るがないと思っていたため、今まで改善などしてこなかった。
「エリナの注意でいくらかマシになったかと思ったが、どうやら全くの勘違いだったようだな」
国王はマックスを冷たく見下ろす。
マックスは冷や汗をかいていた。
今まで自分の地位は安泰だと考えてきたマックスは、初めて取り返しのつかない事態になっているのかもしれない、と考えていた。
「も、申し訳ありません!」
マックスは国王に謝罪する。
しかしその謝罪は今謝っておけばこの場を逃れられるだろう、という考えが透けて見える薄っぺらい謝罪だった。
当然、国王はそんなマックスの魂胆など見抜いていた。
「もういい」
「っ!」
マックスは自分が許してもらえたのか、と顔を上げる。
「お前からは王位継承権を剥奪する」
しかし次の言葉でマックスは絶望に叩き落とされた。
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