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8話

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「え……?」

 マックスは一瞬セシルが何を言っているのか分からなかった。

「エリナに、虐められていない?」

 そんなはずは無い。
 だって、証言はいくつもあって、現に自分はエリナがセシルを虐めた現場を見ている。

「だ、そうだが?」

 国王がマックスを向く。

「セ、セシル? もうここでは嘘をつく必要なんて無いんだぞ? 真実を言ってくれないか?」

「私は嘘はついていません。エリナ様にそんな仕打ちを受けてことは、一度もありません!」

 セシルは大声で宣言する。

「そんな馬鹿な!」

 マックスは叫んだ。
 目の前のあり得ない事態に対して。

「本人がそんな事実は無いと言っているようだが?」

「あ、あり得ない! これは何かの間違いだ! きっと脅されているから真実を話せないんだ!」

 マックスは頭を掻き毟る。

「ここで真実を話しても外には漏れないから絶対に安全だ、と言ったのはお前自身だろう」

「ぐっ……!」

 先程真実を話しても問題無い、と言ったのは自分自身だった。

 言葉の通り、ここでもしエリナがセシルを虐めたと分かったら、国王も全力でセシルを保護するだろう。

 と言うことは、セシルが話したことは真実で……。

「違う違うっ!」

 マックスは自らの思考を遮った。

 そしてエリナを睨みつける。

「そうだエリナ! お前がセシルを脅しているんだろう! どんな言葉で脅したんだ! それともセシルを洗脳したのか!」

 最早マックスの言い分は支離滅裂だった。

「こんなことをして許さないぞ! 絶対に極刑にまで追い込んでやる!」

「もう黙れ」

 国王がマックスの言葉を遮った。

「ち、父上」

 マックスの言葉を無視して国王はエリナに質問する。

「片側だけの言い分を聞くのは不公平にあたる。ではエリナ。お前の言い分を聞かせてくれ」

「はい」

 ついにエリナの番が回ってきた。
 エリナはマックスに受けた仕打ちを話し始めた。
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