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5話
しおりを挟む理不尽な言いがかりだった。
そもそも証拠なんて無いのに犯罪者呼ばわりなんて、あり得ない。
「ふざけないで! そこをどきなさい!」
「ですから、王子の命令で通せません。それに犯罪者のあなたが傷を治療しようなんて、図々しいのでは?」
そう言って目の前の生徒は短剣を取り出した。
学園では武器を持ち込むのは禁止だ。
だが目の前の人物はそれを平気で無視していた。
「なっ!?」
「っ!?」
エリナとセシルは驚愕して距離をとる。
「あまり騒ぐなら、王子の命令で実力行使しても構わないと言われています」
そして分かりやすくエリナ達を脅した。
「……セシル。ここは引きましょう」
「ですが、その傷は……!」
「しょうがないわ。相手が何をするか分からないもの」
学園内で武器を取り出し、公爵令嬢を脅すという蛮行をする人間だ。
どんなことをするか分からない。
「私の傷は時間が経てば大丈夫だから」
「……分かりました」
セシルは渋々納得したようだった。
そしてエリナは医務室を離れ、教室に戻った。
そしてそのまま時間は流れ、昼になった。
エリナは毎日食堂で昼食を食べているので、いつものように食堂へと向かった。
しかし食堂の前にも二人の生徒が立っていた。
どちらもマックスの取り巻きの中で見たことがある顔だ。
エリナは食堂に入ろうとする。
「待ってください」
「あなたはここを使用できません」
そして二人はエリナを止めた。
セシルがムッとしたが、エリナはそれを止める。
自分のために怒ってくれるのは嬉しいが、冷静に対処しなければならない。
「なぜですか。規則により学園の施設は生徒が平等に使えるはずです」
「王子の命令だからです」
「この学園の規則を定めたのは国王です。あなた方は国王よりも王子を優先するのですか?」
エリナはいくら何でも国王の名を出せば引き下がるだろうと思っていた。
しかし二人は激高した。
「マックス様を侮辱するか!」
そして二人は腰から剣を抜いた。
明らかに犯罪を犯しているが、二人は気にしていない。
二人は今にもエリナへと襲いかかろうとしていた。
エリナとセシルは身構える。
「何事だ!」
その時、マックスが現れた。
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