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3話
しおりを挟む「はぁ!? 何を言っているんだ! 金庫を開けれないなんてことがあるはずないだろう!」
私が怒鳴ると管理人は困ったように苦笑いをした。
「しかしそう言われましても、アリス様に言いつけられておりますので……」
「バカを言うな! 私はこの家の当主なんだぞ! 当主の命令がたかが小娘一人の命令に劣る道理があるはずないだろうが!」
「え?」
管理人はきょとんとした表情になった。
「何を申されているんですか? この家の当主はアリス様ですよ」
「はぁ!?」
「ふざけるな! 僕たちはこの家の主人だぞ!」
「そうよ! 何を考えているの!」
私は管理人の胸ぐらをつかみあげる。
「ふざけたことを抜かすな! 今すぐその首を叩き切ってやってもいいんだぞ!」
「で、ですが本当のことで……!」
「まだ言うか!」
私は管理人を殴りつけた。
当主を間違えるという大罪を犯したのだ。別に罪悪感はない。
「痛っ! やめてください!」
「なら早く開けんかぁっ!」
「それは出来ません!」
「な、何だ何だ!」
騒ぎを聞きつけたのか、衛兵がやって来た。
私はちょうど良かったと衛兵に命令する。
「ちょうどよかった! おい! 今すぐにこいつの首を叩き斬れ! 私に対して金庫の扉が開けれないなどとバカなことを言ったのだ!」
「な、何ですって!」
衛兵が驚いた表情になる。
そうだろう。当主たる私に対してそんな不遜な行為を取るなんてあり得ない。
衛兵は表情を強張らせる。
そして私に槍を向けた。
「今すぐにそんなことはおやめください! これ以上乱暴すればアリス様より切っていいと言われています!」
「な、なんだと!?」
「な、何を言っているんだ!」
「私達はこの家の主人なのよ!?」
「とにかく、これ以上金庫の前で騒がないでください! 次に手を触れようとすれば安全は保証できません!」
「ぐっ……!」
衛兵が私達に差し出した槍がきらりと光る。
「くっ、一旦戻るぞ!」
私は三人に命令した。
「なんで! 何で私達がこんな目に合わないといけないの!」
「絶対に許さないぞ! 顔は覚えたからな!」
そう言いながら私達は戻っていった。
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