お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?

水垣するめ

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2話

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 アリスを追い出した後、私は高笑いをあげた。

「ふはは! やったぞ! これでアトキンソン家の権力も財産も全て私のものだ!」
「見事です父上!」
「さすがねお父様!」

 長男のマークと次女のウェンディが私を褒め称えた。

「これでアリスが築き上げたアトキンソン領の鉱山も資源も金も全て私達のものだ! 一生遊んで暮らせるぞ! ふはは! 奪い取った金ほど最高なものは無いな!」

 私は勝利の高笑いをあげる。

 アリスは領地の実質的な権限を握っていたため天狗になっていたようだが、書類に記載されている大元の権限を持っているのは私だ。
 だからアリスを追い出せば権限を全て私に取り戻すことが出来るのだ!
 それを理解していないからこんなふうに追い出されるのだ。

「ははは! やはりあいつもただの小娘だな。政治というものを全く理解しておらん!」
「その点、父上は一枚上手でしたね!」
「これが年季の差だな! しかし、そもそもアトキンソン領は全て私のものだったはずなんだ。それを奪おうとするなんて、なんて忌々しいやつなんだ!」
「本当よ、追い出してよかったわ!」
「盗人が消えて清々するわね!」

「「「ははは!」」」

 私達家族は皆幸せで笑っていた。
 そしてひとしきり笑ったあと、ふぅと息を吐き出す。

「さて、そろそろ金庫へ向かうか。今まであいつが貯めていた金をひっぱり出してやろう」
「それはいい考えねあなた!」
「とびきり贅沢に使うぞ! なんたってアリスが頑張ってくれたおかげでこれからじゃんじゃか金が入ってくるんだからな!」

 私達はアトキンソン家の金庫へと向かった。
 向かっている間、大量の金を何に使おうかと想像する。
 まずは酒だ。とびきり良いものを買おう。そして毎日盛大なパーティーを開こう。我がアトキンソン家は輝かしく戻ってきたのだと喧伝するために。

 金庫がある部屋へと到着する。
 その前にはアトキンソン家が雇っている衛兵と管理人が座っていた。
 管理人は私達に気づくと挨拶をした。

「これはアラン様」
「久しぶりだな」

 私は管理人に挨拶をする。
 私がアトキンソン領の経営を離れてからここに来ることはほとんど無かった。

「それで、皆様勢揃いで……どのようなご用件でしょう?」
「金庫にくる目的など一つしかないだろう。今からその金を使うから金庫を開けてくれ」
「え?」

 管理人が固まる。

「どうした。何の問題もないだろう。早く金庫を開けてくれ」

「ええと……、申し訳ありませんがそれは出来ません。アリス様にそう申し付けられておりますので……」

「はぁ!?」
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