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11話
しおりを挟む「自由に生きていい」
父であるアランはそう言っていた。
ソフィアがライアンから解放された後、ウィリアムズ公爵領に行く前にそう伝えられた。
ガラガラと音を立てて走る馬車の中でソフィアは外の景色を見ながらため息をついた。
自由とは何か、分からなかったからだ。
今まで決められた人生を歩んできた。
だから今更自由を与えられたソフィアは、それを持て余していた。
馬車がウィリアムズ公爵領に入る。
久しぶりに訪れた公爵領は王都にも引けを取らないぐらいに発展していた。
ソフィアの目が少し開いた。
今までは決して届かないと思っていた物。しかし届くと知った今、それらはキラキラと輝いて見えた。
(外に出て、歩き回ってみたい……!)
ソフィアは強烈に心を動かされた。
そして外の景色に目を奪われている内にソフィアは屋敷へとついた。
早速ソフィアは「外へ出てみたい」と使用人に告げた。
しかし否定される。
「それは出来ません。ソフィア様の体調を鑑みて、一ヶ月間は屋敷の庭より外へは出さないように、とのご当主様からいいつけられていますので」
ソフィアはここ最近、ライアンから受けたストレスで何度も熱を出し寝込んでいた。
そのため、アランはそのように告げたのだろう。
ソフィアを縛るための言葉ではなく、単純にソフィアの体調を気にして言った言葉だった。
しかしソフィアにとってアランの言いつけは邪魔な鎖でしか無かった。
そして、ソフィアはあることを思いつく。
それは今までなら考えなかったこと。
言いつけを破って、外へと出かける。
普通の子供ならとっくに経験しているはずの、親への反抗心だった。
(私は、自由になりたい……!)
手にした自由を謳歌するため。
今まで自分を閉じ込めていた殻を破るように。
ソフィアは自分を縛る鎖を引きちぎり、外へと飛び出した。
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