8 / 9
8話
しおりを挟む「どうかしましたか?」
私が不思議そうな顔をしてユーティに質問すると、ユーティは私に怒鳴り始めた。
「せ、千枚なんてそんなの払えるわけ無いじゃない! 違法よ!」
私は笑ってしまった。
違法だなんて、先に不倫したのはそちらだろうに。
よくも私のことを咎めることが出来るものだ。
「別に慰謝料の上限は定められていませんよ。それに、違法と言いますが先に法を犯したのはそちらでは?」
ユーティは私の真っ当な指摘に唇を噛んだ。
「それに、払えるかどうかなんて知りません。払ってください。だって慰謝料なんですから」
一切取り付く島はない。
私はユーティにそれを示した。
「逃げようとしても無駄ですよ? 伯爵家の力をあまり舐めないことですね」
最後に私はユーティに釘を差す。
するとユーティはついに逃げれないと理解したのか、絶望した。
「……い、嫌よ。私が何でこんな目に合うのよ!」
ユーティは自分の境遇を嘆き始めた。
「……」
しかし、誰もユーティには同情していない。
何せ、自分の行いが招いた結果であることは火を見るよりも明らかだったからだ。
ユーティはそのまま「なんて私は可哀想なの」と泣き続け、ついには兵士に追い出されていた。
132
お気に入りに追加
1,235
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄はしたいけれど傍にいてほしいなんて言われましても、私は貴方の母親ではありません
すだもみぢ
恋愛
「彼女は私のことを好きなんだって。だから君とは婚約解消しようと思う」
他の女性に言い寄られて舞い上がり、10年続いた婚約を一方的に解消してきた王太子。
今まで婚約者だと思うからこそ、彼のフォローもアドバイスもしていたけれど、まだそれを当たり前のように求めてくる彼に驚けば。
「君とは結婚しないけれど、ずっと私の側にいて助けてくれるんだろう?」
貴方は私を母親だとでも思っているのでしょうか。正直気持ち悪いんですけれど。
王妃様も「あの子のためを思って我慢して」としか言わないし。
あんな男となんてもう結婚したくないから我慢するのも嫌だし、非難されるのもイヤ。なんとかうまいこと立ち回って幸せになるんだから!
虐め? そんな面倒なことしませんよ?
真理亜
恋愛
卒業パーティーで謂われなき罪の元、婚約破棄を告げられた公爵令嬢は「虐め? そんな面倒なことしませんよ?」と冤罪を主張する。なぜなら「私がその女を目障りだと感じたら、我が公爵家の力を以てして髪の毛一本残さずさっさと始末してますよ? その女が五体満足でこの場に居ることこそ、私が虐めなどしていない証拠です」と、そう言い切ったのだった。
【完結】「妹が欲しがるのだから与えるべきだ」と貴方は言うけれど……
小笠原 ゆか
恋愛
私の婚約者、アシュフォード侯爵家のエヴァンジェリンは、後妻の産んだ義妹ダルシニアを虐げている――そんな噂があった。次期王子妃として、ひいては次期王妃となるに相応しい振る舞いをするよう毎日叱責するが、エヴァンジェリンは聞き入れない。最後の手段として『婚約解消』を仄めかしても動じることなく彼女は私の下を去っていった。
この作品は『小説家になろう』でも公開中です。
見た目を変えろと命令したのに婚約破棄ですか。それなら元に戻るだけです
天宮有
恋愛
私テリナは、婚約者のアシェルから見た目を変えろと命令されて魔法薬を飲まされる。
魔法学園に入学する前の出来事で、他の男が私と関わることを阻止したかったようだ。
薬の効力によって、私は魔法の実力はあるけど醜い令嬢と呼ばれるようになってしまう。
それでも構わないと考えていたのに、アシェルは醜いから婚約破棄すると言い出した。
【完結】私と婚約破棄して恋人と結婚する? ならば即刻我が家から出ていって頂きます
水月 潮
恋愛
ソフィア・リシャール侯爵令嬢にはビクター・ダリオ子爵令息という婚約者がいる。
ビクターは両親が亡くなっており、ダリオ子爵家は早々にビクターの叔父に乗っ取られていた。
ソフィアの母とビクターの母は友人で、彼女が生前書いた”ビクターのことを託す”手紙が届き、亡き友人の願いによりソフィアの母はビクターを引き取り、ソフィアの婚約者にすることにした。
しかし、ソフィアとビクターの結婚式の三ヶ月前、ビクターはブリジット・サルー男爵令嬢をリシャール侯爵邸に連れてきて、彼女と結婚するからソフィアと婚約破棄すると告げる。
※設定は緩いです。物語としてお楽しみ頂けたらと思います。
*HOTランキング1位到達(2021.8.17)
ありがとうございます(*≧∀≦*)
婚約破棄? そもそも君は一体誰だ?
歩芽川ゆい
恋愛
「グラングスト公爵家のフェルメッツァ嬢、あなたとモルビド王子の婚約は、破棄されます!」
コンエネルジーア王国の、王城で主催のデビュタント前の令息・令嬢を集めた舞踏会。
プレデビュタント的な意味合いも持つこの舞踏会には、それぞれの両親も壁際に集まって、子供たちを見守りながら社交をしていた。そんな中で、いきなり会場のど真ん中で大きな女性の声が響き渡った。
思わず会場はシンと静まるし、生演奏を奏でていた弦楽隊も、演奏を続けていいものか迷って極小な音量での演奏になってしまった。
声の主をと見れば、ひとりの令嬢が、モルビド王子と呼ばれた令息と腕を組んで、令嬢にあるまじきことに、向かいの令嬢に指を突き付けて、口を大きく逆三角形に笑みを浮かべていた。
【完結】婚約破棄だと殿下が仰いますが、私が次期皇太子妃です。そこのところお間違いなきよう!
つくも茄子
恋愛
カロリーナは『皇太子妃』になると定められた少女であった。
そのため、日夜、辛く悲しい過酷な教育を施され、ついには『完璧な姫君』と謳われるまでになった。
ところが、ある日、婚約者であるヨーゼフ殿下に婚約破棄を宣言されてします。
ヨーゼフ殿下の傍らには綿菓子のような愛らしい少女と、背後に控える側近達。
彼らはカロリーナがヨーゼフ殿下が寵愛する少女を故意に虐めたとまで宣う。這いつくばって謝罪しろとまで言い放つ始末だ。
会場にいる帝国人は困惑を隠せずにおり、側近達の婚約者は慌てたように各家に報告に向かう。
どうやら、彼らは勘違いをしているよう。
カロリーナは、勘違いが過ぎるヨーゼフ殿下達に言う。
「ヨーゼフ殿下、貴男は皇帝にはなれません」
意味が分からず騒ぎ立てるヨーゼフ殿下達に、カロリーナは、複雑な皇位継承権の説明をすることになる。
帝国の子供でも知っている事実を、何故、成人間近の者達の説明をしなければならないのかと、辟易するカロリーナであった。
彼らは、御国許で説明を受けていないのかしら?
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる