冤罪で婚約破棄したくせに……今さらもう遅いです。

19話

「サラ……どうしてこに！」

「ずっと見張りを置いていたんです。どうせ逃げ出すと思っていましたから」

　サラはマイケルを馬鹿にしたように笑った。
　マイケルはサラへの恨みを思い出し、サラへと襲いかかろうとした。

「サラ！お前が！お前が俺を陥れたからこうなってるんだ！絶対に許さない！」

「はぁ……今度は私に責任転嫁ですか。あなたが選んだ選択の結果を私に押し付けるなんて、恥ずかしくないんですか」

　その時、報告を受けてララの父であるゴードンがやって来た。
　そしてサラとマイケル、それにこの惨状を見て目を見開く。

「なっ、何事だこれは！」

「これはゴードンさん。初めまして、サラ・ゴーマンです」

「ゴーマン！？こ、公爵家！？何故こんなところに……！」

「分かりますよね？私が何故ここにいるのか」

　当然ゴードンはララがサラを冤罪に陥れたことを知っていた。

「聞いていますよ、私を冤罪に陥れるようにあなたが指示していたことは。後ほどしっかりとお話させていただきますね」

　サラがそう言うとゴードンは黙った。
　サラの言った言葉は真実だったからだ。

「サラ！」

　マイケルが叫ぶ。
　サラはマイケルへと向き直った。

「後悔させてやる！俺の人生をめちゃくちゃにしやがって！全部台無しだ！俺の人生を返せ！」

　マイケルは暴れながらサラへと怒鳴る。

「人生が、めちゃくちゃ……？」

　しかしサラはそれ以上の怒りを抱えていた。

「ふざけるな！人生を台無しにされたのは私の方だ！」

「え？」

　サラはマイケルの頬を思い切り平手打ちする。
　今までサラに暴力はおろか、怒鳴られたこともないマイケルは呆けた表情になった。

「私が今までどれだけの犠牲を払っていたと思ってるんですか！」