冤罪で婚約破棄したくせに……今さらもう遅いです。

水垣するめ

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12話

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「父上、何を──」

 マイケルは驚愕していたが、国王はそんなマイケルの様子を気にも留めずに謝罪を続ける。

「私の息子がした非礼は私の責任でもある。本当に申し訳ない」

 国王は誠意を込めて謝罪する。
 アルバートは暫く無言だったが、ずっと頭を下げたままの国王を見て頷いた。

「その謝罪を受け取りました」

「感謝する」

 国王は顔を上げる。

「それでは、サラもそれでいいな」

 アルバートはサラに同意を求める。
 サラも同様に国王の謝罪を受け入れる。

(王族が軽々しく頭を下げるなんて……)

 マイケルは国王の行動を見て、軽蔑していた。
 国王が謝罪する羽目になったのはマイケルのした行動によるものなのだが、マイケルはそんなことを忘れていた。

「私からの謝意として、慰謝料、領地は公爵の望み通りにしよう。それでいいか」

 マイケルの心の中など知らずに国王は次の話題に移った。
 しかし事前にある程度やり取りがあったので、話し合いはつつがなく進む。

「はい、それで大丈夫です」

「では、次はマイケルの扱いについてだが、──マイケルは王族から除籍の後、ゴーマン公爵家の配下とする、でいいか?」

 マイケルの耳に聞き捨てならない言葉が入ってきた。
 マイケルは椅子から立ち上がる。

「な、何ですかそれは!」

「言葉の通りだ。公爵の要望により、お前の身柄は男爵家という地位にあるが、完全に公爵家に引き渡すことになった」

「そ、そんなの聞いていません!」

 マイケルは抗議する。

「私は奴隷じゃないですよ!そんな、身柄を引き渡すだなんて……」

「安心してくれ。身柄を引き渡すといっても、何も暴力を振るったりするわけじゃない」

 アルバートが笑顔でマイケルに話しかける。
 その表情を見て、マイケルは一瞬安堵した。
 しかしそれは次の瞬間、崩れ去る。

「私の手足となって少し危険な仕事をしたり、私の命令通りに働いてもらうだけだから」

 それは実質のところ、遠回しな奴隷宣言だった。
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