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10話
しおりを挟む「わ、私が男爵家……!?」
マイケルは動揺した。
自分に下される罰は、重くても謹慎程度の罪で、まさか王子である自分が男爵家に堕とされることになるなんて、全く考えていなかったからだ。
「ま、待ってください!」
「何だ」
「い、いくらなんでも男爵家は……」
もごもごと不満を呟くマイケルに対して国王は呆れてため息をついた。
「話を聞いていないかったのか?お前がしでかした罪を考えれば、これでも軽いくらいだ」
「しかし……」
「しかし、何だ?国の執政に大きな影響を与える公爵家との仲を最悪にし、浮気して、人望もなくなったお前を、王族に残しておくメリットはどこにある?」
国王はマイケルの不満をスッパリと断ち切る。
マイケルは国王に罵倒されたことに怒りを覚えたが、保身のために我慢した。
そしてマイケルはどうにか王族に残ろうと考えを巡らせた。
「で、ではチャンスをください!」
「は?」
「もう一度私に人望を取り戻すためのチャンスをください!父上もそれを望んでいますでしょう?私を王族から追放したいとは思っていないはずです!」
「……」
今度は国王が絶句する番だった。
マイケルは未だ自分の過ちは取り戻せると思っていた。
まだ、それほど重い罪を犯したとは思っていなかったのだ。
「マイケル、無理だ」
国王は断言する。
「なっ」
驚くマイケルに対して子供に諭すようにゆっくりと話しかける。
「お前が王族に戻る唯一の方法は男爵家としてやり直し、功績を何代にも積み上げ、家格を上げ、王族との婚約者を出すことだけだ」
「そんな……」
「それがお前が犯した罪に対する正当な罰だ。それに私はお前を王族から追い出すことを全く躊躇していない。問題ばかり起こすお前よりも、優秀な兄弟が他にたくさんいるからな」
「っ!?」
マイケルは怒りのこもった表情で国王を睨みつけた。
「あなたには人の心が無いのか!実の子供向かって必要ないなんて、親失格だ!」
自分を客観的に見つめることなく喚き散らすマイケルの姿は子供そのものだった。
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