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7話
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マイケルは王宮へと帰ってきた。
使用人に制服の上着を放り投げながらため息をつく。
「はぁ……まったく。今日は疲れた……」
これも、全てはサラとローレンスのせいだ。
国王になったあかつきには絶対に復讐してやる、と決意する。
すると、使用人が連絡してきた。
「マイケル様、国王様がお呼びです」
「何だ。俺は疲れているんだぞ……!」
疲れているところに国王からの呼び出しがかかり、マイケルは苛立ちを覚えた。
「父上には今日は疲れているのでまた今度にするように言ってくれ」
「至急来るように、と仰っております」
「チッ!面倒臭い」
流石に第一王子といえど国王からの緊急の呼び出しを無視するわけにはいかない。
より一層不機嫌になりながらも、マイケルは渋々と国王の元へと向かった。
「一体何ですか父上。いきなり呼び出したりなんかして」
マイケルは苛立ちの色を隠さずに国王へ質問する。
「質問したいのは私の方だ。どういうつもりだ、貴様?」
しかし国王の方はもっと不機嫌な声色でとんとん、とこめかみを叩いたので、マイケルはぐっと息を飲み込んだ。
と、同時に国王が何を言いたいのかマイケルは理解した。
「サラのことでしょうか」
「そうだ。国王の決めた婚約を勝手に破棄したそうだが……何を考えているんだ?貴様のせいで公爵家との仲は最低といえるほどまでに冷え切った。最悪、国政が立ち行かん。これをどう説明するつもりだ?」
国王の詰問にマイケルは対して気圧された。
しかし、今回は自分に正義があると首を振って気合いを入れた。
「ですが父上。サラは大きな罪を犯したのです。私の婚約者として相応しくありません」
「ほう、罪か?」
国王はマイケルの話を聞く姿勢を見せた。
そのことにマイケルは自信をつけて、勢いよくサラの悪行を語っていく。
「そうです!サラは私と仲良くしているララに嫉妬して、私に近づかないように脅迫し、あまつさえ手をあげたのです!どうです、婚約者として相応しくないでしょう!」
「ふむ……そうか」
国王は少し考え込んだ。
マイケルはこれで父も自分の正当性を理解できただろう、と胸を張った。
しかし、それは次の瞬間崩れ去る。
「──それは、何が罪なんだ?」
使用人に制服の上着を放り投げながらため息をつく。
「はぁ……まったく。今日は疲れた……」
これも、全てはサラとローレンスのせいだ。
国王になったあかつきには絶対に復讐してやる、と決意する。
すると、使用人が連絡してきた。
「マイケル様、国王様がお呼びです」
「何だ。俺は疲れているんだぞ……!」
疲れているところに国王からの呼び出しがかかり、マイケルは苛立ちを覚えた。
「父上には今日は疲れているのでまた今度にするように言ってくれ」
「至急来るように、と仰っております」
「チッ!面倒臭い」
流石に第一王子といえど国王からの緊急の呼び出しを無視するわけにはいかない。
より一層不機嫌になりながらも、マイケルは渋々と国王の元へと向かった。
「一体何ですか父上。いきなり呼び出したりなんかして」
マイケルは苛立ちの色を隠さずに国王へ質問する。
「質問したいのは私の方だ。どういうつもりだ、貴様?」
しかし国王の方はもっと不機嫌な声色でとんとん、とこめかみを叩いたので、マイケルはぐっと息を飲み込んだ。
と、同時に国王が何を言いたいのかマイケルは理解した。
「サラのことでしょうか」
「そうだ。国王の決めた婚約を勝手に破棄したそうだが……何を考えているんだ?貴様のせいで公爵家との仲は最低といえるほどまでに冷え切った。最悪、国政が立ち行かん。これをどう説明するつもりだ?」
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「ですが父上。サラは大きな罪を犯したのです。私の婚約者として相応しくありません」
「ほう、罪か?」
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「そうです!サラは私と仲良くしているララに嫉妬して、私に近づかないように脅迫し、あまつさえ手をあげたのです!どうです、婚約者として相応しくないでしょう!」
「ふむ……そうか」
国王は少し考え込んだ。
マイケルはこれで父も自分の正当性を理解できただろう、と胸を張った。
しかし、それは次の瞬間崩れ去る。
「──それは、何が罪なんだ?」
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