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5話
しおりを挟む生徒会の役員が全員辞める、と宣言してマイケルは焦り始めた。
「な、何をふざけたことを……」
「ふざけてはいませんよ。私たちは本気です」
「いや、生徒会を勝手に辞めるなんてありえない。それにローレンス、お前は俺の側近だろ?」
「はい。そうですね。ですが、生徒会は本来有志ですので義務ではありませんし、それに貴方はもう信用できません」
ローレンスの信用できない、という言葉にマイケルは怒りで顔を真っ赤にした。
「なっ!?王子である俺が信用できないだと!どういうことだ!」
「はぁ……ここまで言われてもまだ理解できませんか」
ローレンスは呆れてため息をつく。
「では逆に聞きますが、サラは生徒会の役員ではなく、完全に善意で手伝っていたことを知っていますか?」
「だからどうした」
「十年以上、貴方に対して尽くし、労力を割いていたのにあなたはサラを信じることなく、情のかけらもなく婚約破棄した。そんな人間に、誰がこれから仕えたいと思うんですか?」
今までサラが積み上げてきた努力も信頼も、最近知り合ったばかりの男爵令嬢の言葉を信じたのだ。
これからマイケルの下で働いても、ちょっとしたことで切り捨てられるなら、誰もマイケルの下で働きたいとは思わない。
「……」
正論を言われてマイケルは悔しそうに歯噛みする。
「しかし、生徒会の仕事はあいつが勝手にやっていたことだ。俺には関係ない!」
「サラが行っていたのは、あなたがサボっていた仕事ですが?」
「……は?」
マイケルは驚いた顔をしていた。
ローレンスは何を言っているんだという顔でマイケルに質問する。
「何を言っているんです?当然生徒会長なんですから、仕事があるに決まっているでしょう?何度も仕事をしてくださいと言っていましたよね?」
「いや……」
マイケルは言えない。
王子だから、生徒会長だから他の生徒に仕事を任せていても大丈夫だと思っていたことなど。
「正直、もう我々も限界です。生徒会に来ても仕事をしないし、紅茶だけを飲んでやる気を削るだけ。それにその男爵令嬢という部外者まで招き入れて騒ぐだけ」
ローレンス以外の生徒は静かに怒りの表情で頷いている。
マイケルはそれを見て自分が取り返しのつかない行動をしていたのではないかと思い始めた。
「あなたと仕事していては将来に差し障ります。ですので、私たちは生徒会を辞めさせていただきます」
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